2007年11月29日木曜日

Time for Liquidation and Repatriation.

バタバタして更新をサボっている間に随分と相場が乱高下していました。

107円を割り込む勢いだったドル円で見ても、今これを書いている29日木曜日の午前5時前の時点で110円台前半まで反発しており、年内は105円ー110円レンジかと思った私の相場観も仰向けに倒れたと言う感じです。(きゃー)

幾つかのファクターがあるのですが、やはり時期的に多くの参加者が決算期や年度末を控えてポジションを手仕舞って資金を手元に戻す動きが本格化しているという背景がありそうです。
 この動きはもう少し緩慢且つ段階的なものになると思っていましたが、やはり今年は夏場以降かなり荒れていましたので体力温存を図る意味でも多くのファンドや金融機関が前倒しで動いていると言う事情もあるのではないでしょうか。

今週で11月も終了し、なんと来週はもう12月ということになります。多くの金融機関やファンド業界の動きを見ていると、年内にもう一勝負仕掛けてやろうと言うよりは、この際今年は膿を出し切ってしまおうというディフェンショブなバイアスの方が強まっているような気がします。

原油価格とドルインデックスの逆相関が約90%という驚異的な数字なのですが、この数字のままで今は原油価格が急落してドルが反発すると言う逆流が起きており、1バレル100ドルに迫る原油価格上昇の背景が実需だけではなく莫大な投機や投資の資金流入であった事も最早明確になったと言えるでしょう。これは同時に将来の100ドル突破の可能性をも示唆しているわけですが。

この手仕舞い(Liquidation)と資金の取り戻し(Repatriation)が主役になった時の金融市場は予測が極めて困難です。いつもの事ですがL&Rにはあまり逆らわない方が無難です。

" ~は、どこまで戻ると思いますか?" と言う質問が飛び交うわけですが、チャートなどのテクニカルポイントを回答してお茶を濁すしかないですね。調整幅が大きいと、それに対する二次的な調整も入りますので現在進行中のL&R相場は乱高下を演出し続けるでしょう。

私は今日も会社でお茶を濁す前に、今からお茶を飲んで風呂に入ります。

ではまた。

2007年11月25日日曜日

Anyway the wind blows...

突然決まったと言う感じだったのですが先週はアジアに出張してきました。

米国かぶれ、米国贔屓を自覚する私ですが、春以降久しぶりに日本から見る米国にも色々と考えさせられる部分も有りました。
 今回は、米国や日本から見ていたアジアの風を身をもって感じるとともにアジアから見た米国、そして日本と言うものにも色々な発見があり、結果としてはとても有意義な旅となりました。

アジア出張と言っても回ったのは2カ国だけで、その二つがあらゆる切り口で全く違う事にも驚きましたが、この分だと一口にアジアと言っても奥行きと多様性は相当な幅が有るのでしょう。

勢いだけではなかった・・・・・・。

今回のアジア出張で確認出来た最大の収穫はアジアに吹く風が本物だという感触を自分なりに感じられたことでしょうか。

また直ぐに次の出張があるのですが、これから私が見てきた事などを書いていこうと思います。

百聞は一見に如かず・・・でしょうか。距離を置いて見た方が良いことも多いのだとは思いますが、一度は実際に見て、感じる事も重要なのだと認識させられた想いがします。

世界は本当に広いですね。

2007年11月11日日曜日

Behind surging oil prices.

私が米国にいる時から近所のガソリンスタンドに表示される価格は上昇する一方だったわけですが、今年の3月以降も原油価格は上昇し続けているわけですから今頃は幾ら位になっているのだろうと時々考えています。

向こうは1ガロン辺りの値段で、日本はリッター辺りの値段なので一々換算して比較するという事はしていませんが相当上がっていることでしょう。最近ではテレビのニュースでも為替市場や株式市場同様にガソリン価格高騰のニュースがよく流れます。業務上恒常的に給油する運送業者などが渋い顔で登場するやつです。

原油に関しては、世界は産油国と消費国に大別されますが、後者の中心は先進国であり、最近の新聞には複数の産油国のコメントとしてかつて原油価格が低迷している時に自由市場で決定している価格であると言う理由で自分達の悲鳴を無視した消費国たる先進諸国が最近の原油上昇を受けて自分たちに何とかしろと言ってきているのは笑止千万であるという内容が出ていました。投機資金の流入による価格高騰は産油国の責任ではないしまさに価格は自由市場で決定されているのだからと言うものですが、反論の余地は無いようにも思えますね。

さて・・・・

反論と言うか、それは拙いんじゃないの?・・・・と思える話を1つ。取引先の石油会社にも確認した内容ですので間違いのない事実です。

実は我々が負担している原油、石油、ガソリンなどの価格の大半は、実は税金なのです。もっと言ってしまえば実に我々が支払う金額の60%以上が税金なのだそうです。

構成要素は、関税、石油税、ガソリン税、揮発油税、地方道路税・・・今思い出せるだけでもこれらの諸税金がありました。そしてこれら税金の合計が我々が支払っているガソリン代などの60%以上を占めていることになるのです。当然ですが、原油価格上昇はこれら税金の上昇を伴っており、今後不可避といわれる消費税の引き上げにより既に価格に内在されているこれら諸税金も自動的に増税されると言う我々消費者にはまさに負の増税連鎖が起こる事になります。

この事実上の二重増税は、一部では既に問題視されていると聞いていますが、こういう事にもっと大きく騒ぐ事こそメディアの方々に大きく期待したいしたいところです。

石油やガソリンは我々を冷え込ませるのではなく、飽くまでも暖めてくれるものであって欲しいと思いますよね。

風邪を引かない程度に節約しますか。

Summer Time vs Winter Time.

日本でも採択が検討されては見送られ続けている制度ですが、欧米では日照時間を最大限に有効活用する目的で初夏から晩秋にかけての数ヶ月の間に時計の針を一時間進めた状態で過ごす習慣があります。

所謂、”夏時間”と”冬時間”と言うやつですね。

実はこの制度を導入している地域間においても、その実施期間は、欧州大陸、英国、米国と週単位のずれがありますので切り替え時期における国際電話などでは相手方の現地時間をよく確認する必要があるのですが、丁度一番最後の米国が切り替わったところで少し面白いことに気がつきました。

Winer Time という私の言葉にロンドンの英国人もNYの米国人も非常にトンチンカンな対応しか出来なかったので、よくよく確認してみると英国にも米国にも”冬時間”という概念は存在しないのだと言うことに気がつきました。

米国に10年以上滞在した私が今更書くのも赤面ものですが、今回海外の同僚たちと確認した内容は整理すればこのようになります。

1 英国 ・・・・BST(British Summer Time) と GMT(Greenwich Mean Time) があるだけ。

2 米国・・・・ DST( Daylight Saving Time)があるだけ。

英国時間は基本的にGMT(世界標準時間)であり、夏の間は時計の針を一時間進めてやがて元に戻す。米国も夏の間だけ時計の針を一時間進めますが、やがて元の時間に戻すと言う事で英国でも米国でも標準に戻すと言うだけで冬時間と言う概念は無いと言う事のようです。

従って、”夏時間は終了したのか?”という質問はあっても、”冬時間は始まったのか?”という質問は基本的に通じないと言う事になります。

従って、”もうそっちは冬時間だっけ?”という私の質問に対しては、ロンドンの英国人の同僚はしばらく沈黙し、NYの米人の同僚は、”そうだね、大分寒くなってきたね”という反応を返してきました。

夏時間と冬時間と言う二つの基準を切り替えていると言うよりも夏の間だけ少し特別な事をしていると言うのが彼らの感覚なのではないかと思ったのですが、この辺りの感覚の違いもちょっと面白いのではないかと感じました。

欧州通貨統合とは一線を画し、夏時間の開始や終了でも独自のスケジュールを変えない英国。更に米国も独自のスケジュールで動きつつ、Daylight saiving time というコンセプトでの運用をする。

今後日本国内での運用にも個人的には大いに期待したいところですが、それにしても米国を出てからこんな事に気が付くとは自分でも少々驚いています。

LighthouseというBlogを書きながら、"灯台もと暗し"と言うネタでは話になりませんね。

Fom the back seat to the drivig seat.

週の後半に円が上申して一躍為替市場における風雲児的な位置付けになりました。
ドル円は週半ばに一旦112円をつけて、一旦113円半ば手間まで戻してから、勢いをつけて110円台半ばまで一気に駆けたという相場展開でした。

多くの大手金融機関の財務内容に関する様々な憶測記事や巨額損失隠し疑惑が市場を駆け巡り、金融セクター主導で日本・欧州・北米の株式市場が地崩れ的な下落を繰り返す中で金曜日にはダムが崩壊したような地滑り的な円の上昇が見られたと言うことになります。

・サブプライム問題を抱える米国金融機関に対する決算懸念から米ドル下落が加速?
・リスク回避心理の上昇を受けたキャリートレードの巻き戻しから円が上昇?
・株式市場下落との相関通りに円が上昇?
・FRBバーナンキ議長の景気回復は2008年度半ば以降という議会証言を悲観した米ドル離れ?
・過小評価されて来た日本円の本領発揮・失地回復?

毎度の事ながら相場解説の世界ほど言論の自由が跋扈する領域は少ない訳ですが、私は今回の円高には、実は欧州と中国によるお膳立てがあったという事実が大きかったと思っています。

週央に政策金利を据え置いた欧州中央銀行(ECB)ですが、その後のTrichet総裁からは数年ぶりに”Brutal"と言う強い形容詞を使用したユーロ高懸念が表明されて市場の注目を集めました。私は当初フランス人のTrichet総裁はフランス語で話をしているものと思ったので通訳者を介した英語表現にどれほどの意味があるのかと思ったのですが、調べてみると彼は最初から英語で話をしていることがわかりました。公の場ではいつも英語で話をする彼自身が何段階か用意しているであろう表現のなかで最上級と考えられる言葉を使っているという事実は市場に重く受け止められたと考えてよいでしょう。

更に週後半の中国の動きですが、木曜日にNational People's CongressのCheng Siwei議長とPeople's Bank of ChinaのXu 氏の発言に市場が揺れました。

・外貨準備構成の運営に関しては弱い通貨よりもユーロのような強い通貨の保有が望ましい。(Siwei)
・米ドルは世界の基軸通貨としての位置付けを失った。(Xu)

この発言などを材料に金曜日には、直物およびオフショアの先物取引において人民元が2005年7月の変動バンド制移行直後の同年8月以来となる水準にまで上昇ましたが、市場はこれを中国金融当局が度重なる利上げに一向に怯む気配のない国内インフレ抑制策の切り札として一層の人民元上昇容認のシグナルを送ったものと言う解釈をした為にこれまで置き去りにされて来た日本円が一気に冬眠から覚醒したという動きとなりました。

そんなアジアの上昇の中で実は欧州中銀のTrichet総裁発言等を材料にユーロなど殆どの主要通貨は対米ドルで大きく下落しており、その一方で人民元、日本円が対ドルで大きく上昇すると言う組み合わせとなっているのですが、その意味で先週後半の動きは米ドル下落と言う表現よりも欧州通貨やコモディティ通貨に対するアジア通貨の大反発と言う表現が適切だと言えます。
 
長年欧州が切望してきたような構造的な米ドル下落の負荷をアジアにも負担して欲しいと言う流れとなっているわけですが、全く別要因が引き金を引いたような動きの中で欧州はこれをどう見るのか、また世界的な株価不調の先頭を走らされている日本株が日経平均で間もなく年初来マイナス10%に迫る下落となっている中で更なる下落要因となる円高という動きを本邦当局はどう見るのか。

Veteran's day休日で週末3連休となる北米市場ですが、週末の天気予報はなんと雪でした。
この時期にWall Streetに積雪と言うのは・・・・・・・・・・・・・・・・

冬時間の到来は冬景色をも招き入れたのでしょうか。この週末連休の冷え込みは市場の混乱を冷ますのか、あるいはウォール街が凍りつうてしまうのか。

8月の混乱以降、9月、10月と沈静化し始めていた金融市場は俄かに荒れ模様となってきたようです。

金融市場参加者も当局者もここで少しシートベルトを締め直す必要があるでしょう。このLighthouseから照らす海原も少々波が荒くなってきたようです。様々な想いが駆け巡りますが、それらをここにぶつけていこうと思います。

2007年11月4日日曜日

A Huge week left US small.

先週は出だしこそ静かでしたが、週央に米第三四半期GDPの発表やBOJ、FOMCという日米の政策金利決定会合、おまけに週末には毎度お騒がせの米雇用統計の発表のある重要週でした。

まさに、Huge weekと呼ぶにふさわしい週だったわけですが、終わってみれば米ドルの下落が際立つ週だったということになります。

上記以外にも実に色々な材料がありました。
第三四半期GDPにしても雇用統計にしても経済指標的には市場の事前予想を大きく上回る良好な内容で、米国経済全体が風船が破裂するような勢いで縮小すると言う極端な悲観論はかなり後退していると言えますが、一方で諸悪の根源であるサブプライム問題の本質に関する不透明感やこれに端を発した住宅市場の低迷に悪材料出尽くし感が出てこない事へのフォーカスも強まっていると言う状況でしょうか。
住宅関連以外の経済指標は悪化しておらず、原油価格が100ドルに迫るなどインフレ懸念が燻る中でFOMCは追加利下げを断行したことも様々な憶測を呼んでいます。

 またサブプライム問題が引き金を引く形で拡大した一連の証券化ビジネスの混乱で主要な米投資銀行が蒙ったと推測される損失額が発表の都度拡大しており、先週も最大手の一角を占める銀行がかつて邦銀が行っていたような”損失隠し”、”飛ばし”のスキームを行っていた事が主要経済紙にすっぱ抜かれるなど、米国経済に対する不安は範囲は狭まったものの奥行きは予想外に深いという印象を残す結果となりました。
 メリルリンチとシティは既にCEOの辞任が決定しており、流石にここだけは傷が浅そうだと思われたゴールドマンサックスも投資格付けを引き下げられるなどまだまだこの問題は予断を許しません。

わかりやすいのが現象面なのですが・・・・

・ドルインデックスが金曜日に史上最安値を更新。
・金価格が遂に1オンス800ドルを突破。
・原油価格が市場最高値更新。1バレル辺り96ドルを突破。
・ユーロが1.45台の史上最高値を更新し、1.45ミドルのドイツマルク時代の最高値に肉薄。

等など・・・商品市場、為替市場における殆どの構成要素が米ドルに対してその価値を上昇させ続けるという図式が明確に継続すると言う結果となっています。

問題は方向ではなく距離と言う相場になっているのですが、既に多くのコモディティや通貨が米ドル下落の初期段階で到達点と目されたポイントを通過し始めていると言う事実をどう解釈すればよいのか・・・ 11月相場のポイントはこれに尽きると言えるでしょう。

The new month has just begun. Stay tuned.