2008年5月26日月曜日

Burning the midnight oil.

週末の相場は欧米の3連休前という要素もあって最後は調整食が強まってしまいましたが、大きな絵で言えば依然として金融市場混乱の最悪期は脱したと言うテーマと原油や資源価格の上昇を背景とした物価上昇というテーマが底流で綱引きをしている状況に変わりはありません。前者は投資意欲の回復、後者はリスク回避、或いは自己防衛的な投資バイアスの上昇に繫がります。

それにしても原油価格・・・・やっぱりこれの動きが際立って目を引きますね。

旧約聖書に”乳と蜜の流れる国”と記述された約束の地カナン・・・その中東地域こそが最も良質な原油を豊富に有しているという事実に思いを馳せながら今更ながらに原油について色々と勉強しています。

そうすると面白い事に、原油に関しては多くの"通説”が定着して”神話"と化している事がわかりました。原油を考察する時に、聖書とか神話に思いを馳せるのですから、つくづく不思議なものだな~と痛感します。ちょっと幾つか見てみましょう。

1 供給不足説

  世界最大の経済である米国のデータでは、20076月をピークに原油需要は減少し続けており、且つ原油の備蓄量は歴史的にも高水準且つガスの備蓄はこの10年で最高ですのでやはり中国やインドなどの新興経済圏の需要が凄いという事なのでしょうか・・・

 新興経済圏の結構な部分は資源国だという事実を考えると、供給不足説というのもやや誇張されてきた可能性もあるのかもしれません。

2 ドル安原因説

 先進主要国から産油国に増産圧力が掛かるたびに産油国からは現状は原油高ではなくドル安だという反論が出ます。OPECからは原油価格$4が米ドルの1%分に相当すると言う試算が出ており、例えば米ドルが10%上昇すれば原油価格は$40下がると主張しています。

 IMFもこの説を支持しており、現状の原油高の$25分は2002年から2007年までの5年間の米ドル下落によるものだと述べています。

 しかし・・・よく見ると2002年からのドルの下落は約30%なのですが、原油価格の上昇は実に500%。事実は専門家の主張をはるかに凌駕しており、同時に米ドルの30%の下落で原油価格の500%上昇を説明するのは無理だと思われます。

3 OPECによる価格操作

これも意外な事に現在では非OPEC加盟産油国による生産が全生産量の50%以上、つまりOPEC諸国の総生産量を上回っているようです。そういう意味ではOPECの価格操作にも限界があると言う事になります。

4 中国の爆発的な需要説

 上記1とも繫がりますが、中国の消費量は年々増加していますが、増加率は低下しておりこのテーマでもイメージ先行と言う事になりそうです。なんと全体の消費量は2004年にピークアウトしているのですね。

5 気候変動や災害要因説

  気候変動や災害による復興需要などが相当な役割を担っていると言う説があり、今回の中国四川省での大規模地震後の復興需要で原油価格が一層上昇すると言う読みがあります。、ミャンマーのハリケーン被害もありましたね。

 しかし、20058月に米国ルイジアナ州を襲ったハリケーン、カトリーナの影響を見ると原油価格はその後の3ヶ月で約20%下落しています。

6 原油価格と株式価格は最終的にはトレードオフとなるか?

  ジムロジャースの本にもそう書いてあるし、私も基本線はそうあるべしと思っているのですが、少なくともこの20数年で見れば両者の逆相関はかなり曖昧になっていますね。

と言う事で原油に関しては調べれば調べるほど奥が深い世界がそこにありました。

これでは夜なべをしてしますね・・・・

夜なべ、夜間残業、深夜まで試験勉強をする事などを Burn the midnight oil と言うのですが、ここにもoil が出てくるのは面白いですね。

A research of crude oil market is so complicated that you have to burn the midnight oil.

と言う事で、ま~人生は探検と探求ですね。

2008年5月22日木曜日

A burning debate on crude oil.

Financial Times紙等にも詳しく取り上げられていますが、世界的物価上昇の中心とも言える原油価格高騰の裏に投機や買占めなどによる価格操作は無いのかというテーマの上院公聴会が火曜日にワシントンで行われ、活発な議論が展開されました。

多くが昨年度の個人所得で$10mioを超える石油メジャーと言われる企業の経営者たちは異口同音に新興国需要を背景とした純粋な需給によって価格が上昇しているだけで何ら問題はないという主張をしていたようですが、一部の参加者からは年金やミューチュアルファンド等の比較的新しい市場参加者が "Accidentally"に現代のHunt兄弟の役割を果たしていると言う側面を指摘する意見も出ています。

Hunt兄弟と言うのは、かつての米国の石油王で、1980年に銀を大量に買い占めて実にほぼ10倍規模の急激な価格上昇を演出したものの、その後の急落で呆気なく破産した一家です。

流動性の少ない小さな市場に莫大な資金が流入すれば価格は暴騰し、時価評価でも莫大な収益が計上出来ますが、それを確定しようとするとNaturalな買い手は押し潰されて市場が暴落する事になるわけですが、確かに図式としては似ていない事は無いですね。

一方で著名投資家で原油市場では教祖格のBoone Pickens氏は昨年大きく設けた後に2008年度はショート戦略に転じて散々たる第一四半期を過ごしたものの4月以降はロングで息を吹き返した自らの経験を背景に原油価格の$150突破を予測しています。現在世界中で必要な原油が1日当り87百万バレルなのに、産油国がフル稼働して生産出来るのが85百万バレルしかないと言うファンダメンタルズの問題なので大きく崩れるリスクも無いと見込んでいるとか・・・

今は、債券市場、株式市場、為替市場と金融市場全体が原油価格を見ながら動いている部分があり、一方でその割には商品市場というのは未だにFamiliarではないという困った状況にあるのだと思います。正直申し上げて私自身も完全にこういう状態なのです。

色々と情報を集めていますが、ちょっと面白いデータがありました。2000年5月からの8年間の原油価格上昇を複数の通貨建てで検証したものです。

         2000年5月22日     2008年5月20日     上昇率

ドル建て        30            128.93         330%
ユーロ建て      32.35           82.34         155%
カナダドル建て    45            127.93         184%
Gold建て       0.104          0.140           35%

究極の通貨とも考えられる金をベースに見ると、8年間で35%の上昇に留まっており、且つこれだけが史上最高値水準にも到達していません。

今のインフレヘッジで金や他のコモディティを保有すると言う事が如何に有効であるかの証左ともいえますし、個人的には原油はGold建てでも最高値を取るまでは今の流れが継続するような気もしています。

金と原油の綱引きと言う構図も意識していきましょう。

Do you want to BURN or SHINE ?  

2008年5月21日水曜日

They have my deepest sympathy.

今月の12日に最初に中国の四川地方で大きめの地震があったという情報が入った時点ではかなり情報が交錯していました。

恥ずかしい話ですが、私は地理的な感覚が弱く、アジアの地図も把握し切れていないのですが、タイのバンコックでも揺れが感じられたと言う話があるかと思えば上海の事務所は全く普通に業務を行っていると言う状況で、結果的には大した事にならずに済むのかと思っていました。

ところが、その後の情報では現地の被害が予想以上に甚大であり、数万人規模の犠牲者が出る事は間違いないという大惨事となってしまいました。

そんな驚きも覚めやらぬ中で、本日不覚にも以下のニュースに涙腺が大いに刺激されてしまいました。

成都(中国四川省)】「お母さんのことを忘れないで」。身をていして赤ちゃんを守り、冷たくなった母親の手にあった携帯電話には、最後の力を振り絞った1行の遺書が残されていた。20日の国営新華社通信が報じた。
 この母親は最大被災地の一つ、四川省綿陽市北川(ほくせん)県で、地震発生翌日の13日、四つんばいになった格好で遺体で発見された。遺体は倒壊した建物に圧迫されており、救援隊は立ち去りかけたが、何となく気になり、ふと遺体の下のすき間に手を差し入れたところ、温かいものに手がふれた。
 「赤ちゃんが生きている!」。救援隊員が叫び、救出作業が再開。生後3~4カ月とみられる無傷の男の赤ちゃんが毛布にくるまれて発見された。
 救援隊員が母親の体を調べると手に握られた携帯電話の画面に、1行のショートメールが残っていた。「赤ちゃん、もし生き伸びてくれているのなら、私があなたを愛していたことを絶対忘れないで…」。子を思う母親の愛の深さに、救援隊員も思わず涙を落としたという。


その子供が立派に強く成長し、この母親を尊敬し感謝し続ける事。母親の遺志が、その子供を守り続ける事。いつか天国で親子が再開できる事・・・・・それらを強く願いながら神様にお祈りをしました。

最近は餃子問題、チベット問題、オリンピックの聖火騒動、パンダの貸与オファーなどで個人的には時折中国に対して批判的な思いを抱く事もあったのですが、親の愛情などは国や民族を超えた共通の想いであり、被害者の方々が充分なケアを受ける事や地域の復興を祈らずにはいられません。

My deepest sympathy goes out to all the people affected in the region.

(A rough translation of the article)..... I hope the baby will be ok and she..can rest in peace.

In the hardest hit neighborhood in Sichuan, China...a lady was found dead under the debris of collapsed building on May 13th, the next day of the biggest quake. Her body was crumpled down on her face , on all fours, as if to hide or protect something. A rescue team searched below her dead body to find a small baby still alive...maybe 3mth to 4mths old. The dead mother had a cell phone in her hand and there was a short line of her dying wishes left on the screen......" Please survive and live on my little baby....and do remember that I loved you more than anything". The report says many rescue workers were moved to tears.

2008年5月20日火曜日

Step back and enlarge your vision.


原油価格が1バレル当り$129台にまで上昇し$130に迫っています。一時は1オンス当り$850を割り込むかと思われた金価格も$920に迫ってきました。

コモディティのブル相場が完全復活の様相を呈し、AUD,NZD,CAD と言ったコモディティ関連通貨の立ち上がりにも目を見張ります。前回書いたAUDは、対ドルで96セントを突破するなど実に24年振り高値圏での取引が続いており、コモディティ通貨群を引っ張っています。

米ドルと米株が守勢に回っており、依然レンジ取引の域を出ませんが、これらの下落が加速していくようだとマクロの図式にトレンド色が強まる事になり注意が必要です。

特に米ドルの上昇と原油の上昇の両立が崩れるまでは所詮はレンジ取引と見ていたわけですが、米ドルの失速⇒反落と言う展開が開けるかどうかですね。

実はこの週末に読んだ本に興味深い記述がありました。景気の停滞と物価の上昇は景気サイクルの中で交互に訪れる物であるという大原則から、両者が同時に起こる事はありえないという固定観念を払拭出来ずかつては世界的な経済学者でもStagflation というものを否定し続けていた時期があったと言うのです。
上記の通り、米ドルとコモディティ相場が並列で強気相場を作る事はないと言う私の考えも柔軟に見直していく事が必要なのかもしれないと考えさせられました。

コモディティ市場(商品先物市場)が、為替市場に続いて独立したアセットクラスに昇格したと考えられる事、過去の景気後退時の約8割が実はドル高になっている事等を考えても、Stagflationとなる可能性が否定できない現状で、Stagnation(景気停滞)のヘッジで米ドルが買われ、Inflation (物価上昇)のヘッジで原油や金が買われるという図式もあってもおかしくないのかなと今は思う次第です。

一歩引いて、視野を広げて、大きな絵を考え直す事も重要ですね。

Let's step back once in a while and enlarge our visions.

Currencies go different ways.

4月後半はドル円が落ちると見せかけて上昇に転じ、逆に5月は上昇すると見せかけて反落。 52日の105円70銭、14日の105円45銭でダブルトップフォーメーションを形成した格好ではありますが、今月の動きだけを見てもかなりトリッキーで、105.7052日)102.57512日)105.45514日)104円割れ・・・という流れですのでトレンドが出ている状態とは言い難いものがあります。

ユーロも1.6020でトップアウトしたことは明らかですが、下値を大きく切り下げる事が出来るのかどうかは極めて微妙な状況となってきました。

為替市場は、主要通貨に明確なトレンドが出ている状態ではないというのが正直な感想です。

・米国経済は必ずしも確固たる回復軌道に乗っている訳ではないが、市場が性急に織り込んでしまった"最悪の事態"には少々行き過ぎ感があった。

・欧州経済などにも減速の兆しが出てきた。

・中国の四川地震等の不測の要素による市場のリスク回避バイアス上昇がドルをサポートしている。

等の要因がMIXしていると言ったところでしょうか。

通貨オプション市場の主要通貨ペアの一ヶ月物Volatilityの多くにテクニカル上のベアシグナルが出ており、特に長短の移動平均線の交差を見るクロス分析で、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下にクロスするDead Crossシグナルが出ている事は現状のこう着状態の継続を示唆するものとして注目されます。これは昨年の7月に短期が長期を下から上にクロスするGolden Crossというブルシグナルが出て以来始めての事のようです。

主要通貨、特に米ドルに明確な方向感が出ていない時には、欧州通貨同士、或いはオセアニア通貨同士の"域内クロス"に面白いトレンドが出る事があり、時としてちょっとしたメガトレンドになる事もあるのですが、少し前までのEUROGBP,そして最近では南半球同士ですがAUDNZDの上昇トレンドに大きな注目が集まっています。

米ドル下落局面であれば、競って上昇するAUDNZDですが、現状の米ドルの緩やかな回復局面下で、両者が対照的なパフォーマンスを示しているのです。

先ずは、AUDですが・・・ 先ずはこのカップ&ハンドルパターン(マグカップフォーメーション)を抜けてブルトレンドに乗っています。95セントレベルは結構タフでしたが、今回はしっかり超えてきたようですね。

一方でNZDですが、8%台の主要通貨では最高の政策金利であるわけですが、最近は景気の減速感も強まっており、利下げを織り込む動きも出ており、AUDとは対照的な状況にあります。

ある意味では、"似て非なるもの”とも言える両者なのですが、ある意味では米国と欧州もずっと”似て非なる”関係にあったわけですからやがてドルやユーロに明確なトレンドが出てくるものと思われます。


タイミングは神様が決めるとしか言えないのですが、それまではこのクロスで予行演習でもしておくしかないのでしょう。

 個人的な経験からもAUDは非常に良く働いてくれる通貨ですが、一方でハネムーンで訪れたニュージーランドへの思い入れも強く、NZDにも意地を見せてもらいたいと言う気もあります。


それにしても為替市場は完全に煮詰まってしまいましたね・・・・



2008年5月12日月曜日

Surging oil is re-fueling risk aversion.

Surging oil is re-fueling risk aversion.

ここ10日間ほどの間で、米国を中心とした官民双方の主要な金融市場関係者から昨年後半以来続いてきた信用不安、金融市場の混乱は最悪期を脱したという見解が立て続けに示された事等を背景に米株市場が牽引する形で世界中の株式市場が上昇してきました。

しかし、先週は実に週を通して毎日原油価格が史上最高値を更新するという事態に投資家のリスク回避志向が急速に高まった事で後半から株式市場が反落しています。

原油価格の上昇に関しては、もはや"無人の野を行く"という状況となっており、主要国も止める手立てが見つからないと言う困った状態になっているのですが、私なども真剣にこのままでは間もなくOPEC会合がG7やSummitなどよりも重要な国際イベントになるのではないかと思っているくらいです。

市場間のスプレッドや相関関係の多くが大きく歪んでしまっているというのが大きな特徴となっている今年の金融市場ですが、パターンとしての

リスク回避志向上昇 ⇒ 株価下落 ⇒ 円上昇 という図式は健在であり、ドル円も5月2日(金)の105円70銭を高値に反落し、5月9日の終値は102円台後半となってます。

 ドル円は、これまで6週連続で週の高値が前週高値を上回る"Higher top"となっており、更に3週連続で週の安値が前週安値より高い"Higher Bottom"という状態も保ってきたのですが、この強気の形状があっさり崩壊してしまいましたので、5月12日(月)からの週でももたつく様だともう2円~3円程度の円高となる可能性が高まりそうです。

それにしても、全ては原油価格上昇につきるという気がしますが、なんと5月1日(木)に1バレルあたり$110台にまで大きく調整していたところから1週間で$15上昇したという脅威の軌跡を描いています。

2008年度の世界経済、そして金融市場の安定と復活の大きな鍵を握るのが原油価格の動向だと断言してもよいのですが、現時点では国際的な枠組みや取り組みと言うものも極めて限定的であると言わざるを得ないようです。

世の中あまり良い方向には向かっていないかもしれません。リスク回避傾向は暫く上昇するのではないでしょうか。

2008年5月11日日曜日

Happy Mother's Day.


Happy Mother's Day to all Mothers !!


All the effort that you do is not taken for granted and greatly appreciated.


Stay well and I declare you all are blessed.

All the best.

Robert Henry.

2008年5月6日火曜日

Pokemon rules !!


2003年か2004年年だったと思うのですが、NYで金融関係の会合があり、帰りに乗り合わせたリムジンTaxiの中で運転手と同乗者がポーキーマンなる物の話を始めて程なく話を振られた時に、それがポケモンのことである事に暫く気が付きませんでした。

ポケットモンスターというアニメが人気で、"ポケモン"という短縮形で親しまれていると言う事は知っていましたが、それが米国でも凄い人気を得ていることにも凄く驚きました。 ついでに発音がポーキーマンである事も(笑)

なんでも、非暴力的な内容なので安心して子供に見せられると言う話だったのですが、その後自分の子供達がポケモンカードを集めたり関連のゲームなどにはまるようになってみると、その良さがわかるような、わからないような・・という不思議な感じがします。

ただ、人気の凄さは増すばかりと言う勢いである事は間違いなくて、この連休中も足を伸ばした横浜の"みなとみらい"のポケモンショップでは、なんと入場制限をしていました。

隣にある"隣のトトロ"等のスタジオジブリの店等も人気店ですが、入場制限まではしておらず、ポケモンショップの入場制限まで行う盛況ぶりは際立っていました。
 入店は20分待ちでしたが、店内に入っても物凄い混雑で、方々から母親が子供をどやしつける罵声が聞こえてきました。一刻も早く買い物を済ませて出て行きたいという気持ちを皆が共有していたのでしょう。

それにしても恐ろしやポケモン人気・・・・本当に恐れ入りました。

もはやBoomではなく、Phenomenon というレベルですね。

うちの子供たちが集めた米国時代からのポケモンカードコレクションも膨大なものであり、多彩且つ膨大な数のキャラクターを熟知している事にも驚かされます。

日本語の語彙は中々増えないのに・・・

この勢いと持続力はあやかりたいですね・・・

X-day confirmed? Ⅰ

52()に発表された4月の米雇用統計は非農業部門新規就業者数が2万人減小というマイナス実績となりましたが、事前の市場予想が75千人の減少だった事と比較すると大幅に良好な数字であった事や前月分が81千人減少から8万人の減少へと小幅に改善方向に修正された事、そして5.2%に上昇すると思われた失業率が5.1%から5.0%に改善しており、市場にとってはPositive Surpriseとなりました。


週末はこれで断続的に上昇してきた米株と米ドルの上昇に弾みがついて金価格を中心に商品市場にも下落バイアスが掛かるという米国の逆襲シナリオが席巻しました。


今週に入ってからは、先週までのシナリオに対する調整圧力に加えて、米株及び米ドル復権シナリオの最大のリスクシナリオの主役である原油価格が1バレル当たり$120を超える史上最高値を示現するなどの動きが出ていますが、どうやらここで我々は少なくとも世界中の株式市場を道連れに米国市場(⇒特に米株と米ドル)が負のスパイラル状態に下落していくと言う世界的混乱シナリオは大きく後退している事を認識する必要がありそうです。


この世界的混乱シナリオは既にClimaxを経過してそのエネルギーの大半を発散し尽した可能性が極めて高いと思われるのですが、そのXデーは、ずばり317日であったと考えられます。


以下に3つのEvidenceを示します。


1 米株のボトム ⇒317


 

               ↑

              317

X-day confirmed? Ⅱ


2 金価格のトップ⇒317

3 ドルインデックスのボトム⇒317


            

X-day confirmed? Ⅲ

ついでですが、ドル円で見ても9577銭という今回のボトムを付けたのはこの317日でした。


                ↑

               317

この日に外貨両替の為に日本人が行列をなしたと言う現象についてもこのBlogに書いたとおりですが、やはりこの317日は一種のClimaxであり、ドルや株にとっては「陰の極」と言われる状態を迎えていたと考えざるを得ません。


http://eternallighthouse.blogspot.com/2008/03/long-line-of-people-was-behind-long.html


実際には市場ではこの日以降は、徐々に悪いニュースよりも良いニュースに対する反応の方が頻度、値幅共に目立つようになったわけですが、改めて振り返ってみても、①株のボトム、②金のトップ、③ドルインデックスのボトム、④ドル円のボトムが全く同じ日に揃い踏みしている事は非常にPowerfulEvidenceに思えます。


そして、③と④についても、ドルインデックスとドル円が同じ日にボトムを打っていると言う事はRisk Aversionを背景とした円高というコンセプトよりも、単純なドル安相場が主役であったのだと言う解釈も成り立つような気がします。


流石に105円台は売り直し推奨と言う気がするドル円ですが、引き続きその動向は米国次第(米株、米ドル)と言う事になりそうです。


連休明けの本邦勢の動向に注目しましょう。