2008年5月22日木曜日

A burning debate on crude oil.

Financial Times紙等にも詳しく取り上げられていますが、世界的物価上昇の中心とも言える原油価格高騰の裏に投機や買占めなどによる価格操作は無いのかというテーマの上院公聴会が火曜日にワシントンで行われ、活発な議論が展開されました。

多くが昨年度の個人所得で$10mioを超える石油メジャーと言われる企業の経営者たちは異口同音に新興国需要を背景とした純粋な需給によって価格が上昇しているだけで何ら問題はないという主張をしていたようですが、一部の参加者からは年金やミューチュアルファンド等の比較的新しい市場参加者が "Accidentally"に現代のHunt兄弟の役割を果たしていると言う側面を指摘する意見も出ています。

Hunt兄弟と言うのは、かつての米国の石油王で、1980年に銀を大量に買い占めて実にほぼ10倍規模の急激な価格上昇を演出したものの、その後の急落で呆気なく破産した一家です。

流動性の少ない小さな市場に莫大な資金が流入すれば価格は暴騰し、時価評価でも莫大な収益が計上出来ますが、それを確定しようとするとNaturalな買い手は押し潰されて市場が暴落する事になるわけですが、確かに図式としては似ていない事は無いですね。

一方で著名投資家で原油市場では教祖格のBoone Pickens氏は昨年大きく設けた後に2008年度はショート戦略に転じて散々たる第一四半期を過ごしたものの4月以降はロングで息を吹き返した自らの経験を背景に原油価格の$150突破を予測しています。現在世界中で必要な原油が1日当り87百万バレルなのに、産油国がフル稼働して生産出来るのが85百万バレルしかないと言うファンダメンタルズの問題なので大きく崩れるリスクも無いと見込んでいるとか・・・

今は、債券市場、株式市場、為替市場と金融市場全体が原油価格を見ながら動いている部分があり、一方でその割には商品市場というのは未だにFamiliarではないという困った状況にあるのだと思います。正直申し上げて私自身も完全にこういう状態なのです。

色々と情報を集めていますが、ちょっと面白いデータがありました。2000年5月からの8年間の原油価格上昇を複数の通貨建てで検証したものです。

         2000年5月22日     2008年5月20日     上昇率

ドル建て        30            128.93         330%
ユーロ建て      32.35           82.34         155%
カナダドル建て    45            127.93         184%
Gold建て       0.104          0.140           35%

究極の通貨とも考えられる金をベースに見ると、8年間で35%の上昇に留まっており、且つこれだけが史上最高値水準にも到達していません。

今のインフレヘッジで金や他のコモディティを保有すると言う事が如何に有効であるかの証左ともいえますし、個人的には原油はGold建てでも最高値を取るまでは今の流れが継続するような気もしています。

金と原油の綱引きと言う構図も意識していきましょう。

Do you want to BURN or SHINE ?