2009年6月7日日曜日

Exit Policy ?


理論としては存在しても事実上日本以外は正式な金融政策として採択していなかった量的緩和ですが、ちょっとアトピー治療とステロイド剤の関係に類似した部分があり、効果は期待できるけど副作用も確認されており使用方法とそれ以上にやめ方(出口政策)が難しいと言う問題があります。

米国は明らかな量的緩和を採択していますが、これはFRBのバーナンキ議長が元々世界的な量的緩和政策の権威であるという事情も大きいと思われますが、欧州など多くの先進国は事実上の量的緩和、或いは極めて類似した政策を採択しながら量的緩和政策であると明言する事はかたくなに拒否していると言う状況です。こそこそステロイドを使用していると言うイメージもありますね。

このような状況下、金融市場には量的緩和政策に関する出口政策が準備されているのか、その有効性はどうかというような不安が共有されているのですが、先週金曜日には、意図した訳ではないのでしょうが結果としてこの部分に関する不安を煽るような当局者発言が相次いだ事で長期金利上昇ばかりかこれまで実に効果的に抑制されてきた短期金利の急騰に火がついたと言う側面がありました。

先週の議会証言で米国は適当なタイミングでインフレを招かずに現在の政策に終止符を打てると発言して市場にインフレリスクを思い出させてしまったバーナンキ議長に続いて以下のような発言が出ています。

・カンザスシティ連銀のHoeningが長期金利上昇に懸念を示した上で、巨額の赤字と緩和的金融政策の組合せはインフレーションを招くと言う懸念を表明。

・サンフランシスコ連銀のYellenが、"Great Moderation"は過去のものであり、長期金利の高騰はインフレーション懸念を上昇させると発言。

ちなみにGreat Moderationとは、経済のグローバル化の結果景気の波が小規模化して世界的に経済の安定度が増すという現象ですが、一連の発言は結局は米国も現行政策の確固たる出口政策を用意している訳ではなく、如何にインフレーションリスクを制御できるのかと言う部分に金融市場から懸念をもたれてしまったと言うことになりそうです。

ハイパーインフレーション懸念が顕在化するのなら足元の金利上昇要因による買い戻しの後は再度激しいドル安が来る可能性も残りますが、同様のリスクは世界中に共有されていると言う意味では全通貨が現物資産に対して価値を下げる流れも有り得ます。コモディティの時代が来ればジムロジャースの予言の実現となるわけですが、将来の話として意識はしておきたいものです。

私自身もそろそろ真剣に負債を持つべきか・・・・借金して不動産でも買うべき時かなと仲間内で真剣に話しています。