2010年1月24日日曜日

Another look at the Obama shock.

今回のオバマショックの背景は色々考えられるのですが、やはり先般のマサチューセッツ州で行われた上院議員補欠選挙における民主党の敗北が相当こたえているのではないかという説が有力です。

これは先般他界した故エドワード・ケネディ上院議員の議席を埋める選挙だった訳ですが、ここで無名の共和党候補者が勝利したと言うことには私も正直言って驚きました。マサチューセッツ州はあのケネディ家の地元であり数少ない共和党支持者はそれを普段は隠しているし、それを表明することは"coming out"だと言われているところです。つまり同性愛者だと告白する(coming out)くらい勇気が要るということです。大統領選でも当時のオバマ候補は共和党のマケイン候補に当然圧勝しています。

そんなところで無名の共和党候補が勝利してしまったと言うことは支持率が急落しているオバマ大統領にとって相当なショックだったはずです。そこで高額報酬への固執などにより国民感情的な悪役となっている大手金融機関に厳しい態度を取ることで有権者に擦り寄る作戦だったのではないかと言う事です。

しかし・・・腑に落ちないのは米国が金融立国であり米国景気の浮揚も金融セクターの復活に掛かっている中で、その業界を弱めるような政策が打てるのかと言う疑問もあります。米国はある時点で製造業などは中国などにGive-upしてしまっており、サービス業、金融業を生業とする社会となっている訳ですから今回のオバマ政権の真意は様々な憶測を呼んでいます。

ワシントンの友人の話が一つのヒントになるかもしれないと思うのですが、彼曰く、陰謀説的に見れば今回の規制案が実現した場合に困るのは比較的棲み分けの進んでいる米銀よりも調達サイドに預貯金の比率の多い邦銀や欧州系ユニバーサルバンクであり結果的に米銀の独り勝ちとなるというシナリオもあるとか・・・

確かに米銀の場合はゴールドマンなどのような元々投資銀行だったようなグループは預貯金ではなく投資先というイメージですし、ヘッジファンドのメッカも米国です。預金調達が多く今後自己トレーディングを控えるべきかゴールドマン的な業態を選ぶかで迷うところも勿論ありますが最初から比較的棲み分けはできているような気もします。(ただCITI,JPChaseやBOAなどは悩ましいですね・・特にBOAはメリルまで買わされて置いて今回の話ではたまらないでしょう・・・)

この前に発表されていた大手金融機関への金融危機を招いた責任料としての特別課徴金にしても米国内で業務を行う欧州や邦銀等の外銀も対象となる訳ですから実はオバマ政権はちゃっかり計算高く動いているだけなのかもしれません。

予想外の展開なので様々な憶測も出ていると言うお話でした。