2009年5月11日月曜日

Is Inflation raising its ungly head now?


ところで・・・・

株式市場の急回復を見て ⇒ ちょっと楽観的過ぎないのではないか?

商品市場の急回復を見て ⇒ 本当に商品需要は急回復しているのだろうか?

ドル安、円安を見て ⇒ リスク許容度の回復と言うけどホンマかいな?

と言う思いを抱く勢力にとってもう少し受け入れやすいシナリオがあります。それは他ならぬインフレシナリオなのです。

世界的な金融緩和と財政出動は確かに通貨供給量を爆発的に増加させる効果を持ちますのでインフレーションという副作用は不可避であることは間違いなのですが、何せ世界経済は甚大なダメージからの回復に相当な時間を要すると考えられて来たために、先ずは足元のデフレリスクの回避が最優先であり、将来のインフレリスクに関しては未曾有の金融緩和に関する一定の出口政策を議論しておく必要はあるがいずれにしてもまだまだ先の話であるという認識が一般的でした。

しかし、最近の金融市場の動きの殆どはこのインフレシナリオで説明出来てしまいます。確かに長期金利の上昇にしてもドル安、円安にしても株式市場や商品市場の急回復も全てインフレシナリオに即した動きであることは間違いありません。

インフレーションの元では通貨価値が下落して現物資産の価値が上昇する訳ですが、実は歴史的に見てインフレ対策資産として最も有効なアセットは株式です。貴金属でもないし、原油や食物と言った商品でもありません。

私自身も正直最近の市場の動きの背景がインフレシナリオの急騰であるかどうかは良くわかりませんが、少なくとも現象面的にはインフレシナリオの上昇と言うことにしておけばほぼ全てのアセット動向の説明は付いてしまうのも事実です。

デフレ、リセッションというシナリオが急後退して一気にインフレシナリオが台頭するには世の中のダメージの急速な修復が大前提となりますが、実はリスクアセット間の相関の上昇と各アセットのオプション市場で建値されているImplied Volatilityの急低下という現在進行形の現象は世の中のダメージの急速な修復を示唆するものです。

時間軸的にはまだまだ先だと思われていたインフレーションシナリオの再台頭というものも一応頭に入れておきましょう。