2011年9月19日月曜日

Sad Fallacy of JAPANIZATION : CAN THEY TURN JAPANESE?



The Economist誌が掲載した"Debt and politics in America and Europe"と題した記事は、"Turning Japanese"という表現で欧米の"日本化”の問題を取り上げており、冒頭の風刺絵はかなり有名になりました。

この記事では主に膨張する国家の負債に加えて政治のリーダーシップが弱体化していく傾向を述べていますが、これ以前にも日本の"失われた10年(20年とも?)"と呼ばれる経済の長期低迷プロセスが欧米にも訪れるのではないかと言う危惧が主に"Japanization"という言葉で語れるようになっていました。

But Wait..........

Turning JapaneseでもJapanizationでも良いのですが、それを恐れるどころか欧米は果たして日本になれるのでしょうか? 日本がそうして来たようにひたすら我慢強く、苦難の連続にも決して折れずに何とか泳ぎ続けると言う芸当が欧米に出来るのでしょうか?

現状欧米が直面している問題を細かく見ながら、かつて確かに類似の状況に置かれた日本が90年代以降に繰り出してきた様々な政府の施策や民間の創意工夫を最低でも真似る事が彼らに出来るのだろうかという疑問を最近強く感じるようになってきました。

日銀の量的緩和は、それを促したと自負している本家本元のBen Bernanke議長が米国で実施した二度にわたる大規模オペ(QE,QE2)よりも遥かに効果的だったと思います。


・ジャパン プレミアムという言葉が注目されたように銀行間市場で邦銀がドル資金の資金繰りに苦労していた為にMOFはウルトラCとして預託金と言う預金の形で金融機関にダイレクトに外貨をデリバーしました。これはいくら流動性を増やしてもクレジット悪化により資金が取れない現状の欧州系金融機関とは全然違う話です。


・民間も欧米が忌み嫌うデフレを素直に受け入れて"価格破壊"という前向きのコンセプトに昇華させてデフレを一種のビジネスモデル化するという柔軟性を示しました。

以上はほんの一部ですが、国の借金であるJGBの殆どを国内の機関投資家が引き取っていると言う事もある意味日本人の国民性というか一種の特性である事は間違いないと思います。今の欧州を見ると自国政府の国債を我先に売り逃げしている自国民が多いし、国を支えると言うより国が破綻するのに備えて国債を売って金を買うと言う自国民が多い事は明らかです。

東日本大震災の被災地の人々が、何年かけても、放射性物質のリスクがあっても、自分はもといた場所に帰りたい、そこに住みたい・・・と言う意向を表明している事に大いに感銘を受けているのですが、これは欧州の人々がいざとなれば金を持って国を出て行こうというスタンスとも対照的です。

以上のような事を考えれば、経済危機に直面している今の欧米が"日本化"を危惧し、回避しようとしている事は少し違うのではないかと言う気になります。課題先進国としてウルトラC的な解決策は無くとも有効な対処策を豊富に蓄積してきた日本にこそ彼らが謙虚に学ぶべき布石が有るのではないかと思うのです。