2011年10月24日月曜日

It is not what you say,but what they hear.

金曜日の北米時間にはドル円が急落し、前回安値の75.94をあっさり抜けて75.79まで円高が進みました。これは円の対ドルでの史上最高値の更新になります。

USDJPY DAILY⇒金曜日に大陰線


私はその時間に会社にいましたが、あちこちで電話が鳴って、中には直接為替に触っていない人間からもコメントを取ろうとする記者まで出てくる始末で、記事を書かなければならない立場の人達も大変だなーと思いました。

さて・・・・やはり金曜日の北米時間と言うところが味噌なのかなーと思うのですが、週末のポジション調整で円高に振れたと言う事は、やはり先週は前半からむしろ円売りで構えていた市場参加者がかなり多かったと思ってよいのではないでしょうか。

ドル円は相当期間膠着相場が続きましたが、徐々に76円台ミドルの固さが共通認識となり、チャート的にもsaucer bottomというお皿の形に底打ちしていくパターンを形成し始めていると言う見方も増えていました。週央には、戦機は熟したと見た勢力が円売りを仕掛けて77円台を攻め上る展開となりましたが77円ミドルの激しい攻防で失速し77.45を高値に76.60まで反落して揉み合う展開となっていました。金曜日にはこの攻防の名残で結構な円売りポジションが出来ていたのだと推測出来ます。

これが週末の円高の伏線でしょう。

では、引き金は・・・・と言う事になりますが、二つあるのではないでしょうか。

①QE3への期待と不安の再台頭。
②本邦当局の円高対策への評価と解釈。

①に関しては、先週FRBの追加緩和の可能性に言及した人々をざっと上げるだけでも、以下の面々がいました。
Fed Governor Daniel Tarullo、Fed Vice Chairman Yellen、Chicago Fed Evans、Boston Fed Rosengren、St. Louis Fed Bullard・・・

ドルが売られる流れ自体は何の不思議も無いですね。

もっと大きかったのはやはり本邦の円高対策の中身でしょう。解釈と評価は私の周囲でも色々有るのですが、特に日本の豊富なドルリザーブを利用して本邦企業の海外進出や海外企業の買収を支援しようと言う施策に対しては、ある記事に出ていた以下のような解釈が広がっています。

The measures are viewed as a sign that the Japanese government is increasingly resigned to adapting the economy to a strong yen, rather than fighting yen's appreciation.

日本政府は円高を反転させようとはしておらず、日本の産業界を円高と共存出来るような構造に改革する事を考えていると言う解釈です。

個人的には色々と思うところがありますが、もしもそうではないのならば、やはり説明が不足していると言う事でしょう。そう思われても仕方が無いと思いますし・・・個人的にはそうであってもそういう事を明言するべきではないと思いますが・・・・兎に角これまでの市場とのコミュニケーションの取り方には大いに改善の余地が有ると思います。

It is not what you say but what they hear, that really matters.

と言う事ではないでしょうか。