2008年8月18日月曜日

Things happen when least expected. : USD has legs.

“Things happen when least expected”と言いますが、8月に入ってからの金融市場の動きはこの言葉そのものと言う事になるのではないでしょうか。

米ドルの下落、商品市場の上昇がメインシナリオであり、その逆は短期的な調整で値幅も浅いと言う認識が世界を覆い尽くしていたと言っても過言ではないという状況であったが故に実際に起きている調整以上の値動きは、時間軸上でも価格軸上でも圧倒的な猛威をふるっています。

月初の81()の雇用統計後のドル高を考慮しないで翌週の4()8()の動きを見ても米ドルは圧倒的な底力を見せ付けています。

  1. 1週間のドルインデックスの上昇が過去3年半で最大規模。

  2. ライバルのユーロは1週間で過去3年最大の下落。

  3. 8()のユーロの下落幅は、欧州統一通貨誕生以来単日で最大の下落。

  4. 1週間のカナダドルの対米ドルでの下落幅が1971年以来最大。

  5. 週の終値でGBPが対米ドルで21ヶ月振り安値。

  6. 豪ドルの対米ドルでの週ベースでの連続下落期間が1980年以来最長。

これらの動きは先週も継続されましたが、先週は寧ろ商品市場の下落が米ドル上昇を演出していたと言う印象があります。

金価格はSPOT市場で1オンス$845のサポートを崩して一気に$772.60まで下落し、原油価格も1バレル$120の攻防戦で敗北し、$111.34水準で週の取引を終えています。

ドルインデックスの日足のチャートがこうなっています。

完全なる上抜けですね。

一方で対称として豪ドルの日足チャートを見てみると・・・

こちらは完全な、底抜けですね。

ところで、我々が見逃してはならない動きとしてドル円の110円回復という出来事があります。

 冒頭の”least expected”という意味においても過去約9割の確率で円高ドル安となっていた8月において今回も円高シナリオで動いていた勢力は非常に沢山ありました。

 確かに当初は米ドル上昇のうねりの中で日本円は大健闘をしており、結果としてAUD円、GBP円という所謂個人証拠金取引のスター選手達が大きく下落を始める動きに海外投機筋の多くも高金利通貨売り+日本円買いのポジションメイクに動意して、”Mrs.Watanabe殺し”が市場のサブテーマになりかける局面がありました。

一時高齢層や主婦層が証拠金為替取引で計上した多額の収益を確定申告していなかった事が大きく報道されたせいか、日本の為替証拠金トレーダーは、海外では”Kimono Trader”とか”Mrs.Watanabe”等という呼称が使用されるようになり、最近では後者が定着しつつあるようです。個人的には前者は呉服屋さんみたいで、後者は何故渡辺さんなのかという違和感がありますが、ま~それはこの際良しとしましょう()

この米ドル上昇が更なる上値余地を秘めていると仮定した時に、既に大きく対米ドルで下落している他の主要通貨に対して、日本円の下落は始まったばかりと言う相場観が先週後半から大きく広がってきている事は間違いありません。

今週はお盆休暇明けの本邦勢の動向が大いに世界中の注目を集める事でしょう。

予想される調整が110円を大きく割り込むことなく米ドルの勢いが維持されるようだと月の中盤から終盤に掛けて、ドル円の見せ場が訪れるのかもしれません。

週初はちょっと涼しい今週ですが、相場は熱気を維持できるでしょうか?

Things tend to happen when least expected.

What have you expected, by the way?