2008年9月15日月曜日

The fact gets even stranger than fiction.

ある程度の金融恐慌が不可避である事、そしてある程度の業界の再編劇が不可避である事は予想していましたが、今の世界経済及び金融市場は予想よりも速いペース、且つ予想したよりも劇的な道筋でその過程を歩んでいる事は間違いありません。

米当局の希望的観測では、先週末のフレディ・マックとファニー・メイの政府系金融住宅公社2社の事実上の国有化の発表を持って金融恐慌を回避する為の大きな山場を乗り切ったという認識だったのではないでしょうか。この話の詰めの段階で人生で初めて眠れぬ夜を過ごしたと言う財務省のPaulson長官の述懐には一種の安堵感もあったはずです。

その後市場の関心(ターゲット)は、米国第4位の投資銀行Lehamn Brothersにシフトしましたが、飽くまでも民間の金融機関と言う事で米政府・金融当局は公的な救済はしない方針を固め、既に交渉中であった複数の金融機関との合併交渉を後押しすると言う方針を取ったのですが、この後事態は急展開する事になりました。

一度はWashington Post紙が既に条件面でも合意に達した事実上の仮調印状態とまで報じたBank of Americaへの事業売却が何故か撤回され、あろう事かBank of Americaはこの週末にLehman Brothersの隣人である米国第3位の投資銀行Merril Lynchの買収を発表してしまいました。

先週は月曜日から金融恐慌回避ムードが徐々に強まり、木曜日にはテクニカル分析上も株価とクロス円の下落に反転を示唆するシグナルが点灯。そして金曜日には週末にもLehman救済の動きが表面化するとの思惑から時間切れ的なポジション縮小から株式市場と為替市場のクロス円の買戻しが席巻した金融市場ですが、週末のドンデン返しには大きく翻弄される事になりました。

月曜日は東京市場が休場ですが、為替市場ではドル円、クロス円が急落。大規模な買戻しにより大きく上昇した金曜日の取引レンジと週明けの現時点までの非公式取引レンジを比較してみましょう。

ドル円  金曜日 106.72 - 107.97 ⇒週明け 104.55-106.90.
ユーロ円 金曜日150.60 - 153.56 ⇒週明け 148.57-152.90.

まさに大どんでん返しですね。

取り残された格好のLehman Brothersの破綻処理は不可避であり、同じような立場の複数の金融機関が火曜日以降も市場の攻撃に晒される可能性は極めて大きいと言わざるを得ません。

映画卒業の有名な最終シーンでは、恋人の結婚式に駆けつけた彼氏の元に花嫁が走り去り、スパイダーマン2でも主人公の恋人である花嫁が花嫁衣裳のまま式場から走り去りました。

この週末の出来事は、当日に教会のバージンロードを歩いてきたのは、花嫁の1つ上の姉だったというような大混乱だったと思います。

兎に角、大変な事になってきました。Paulson長官は睡眠不足が続きそうです。