2008年11月3日月曜日

Trick or Treat ?

ゲ、ゲ、ゲ……マジですか?


と言う感じなのですが、早くも11月ですね。

よく米国発の金融混乱が世界中に拡大したという事が言われますが、より大きな枠組みで見れば、金融市場の混乱が実体経済や政治を含めた従来の世の中の仕組みそのものを揺さぶり始めたというのが2008年の潮流だったような気がします。


10月も非常に密度の濃い月だったと思いますが、世界中の金融当局が一応の協調姿勢を見せた事、預金の全額保護、金融緩和(協調利下げもありましたね)、国有化も含む金融機関への資本注入に動いた事で足元には一定の安定がもたらされた様に思います。


先々週末と先週末の各市場の終値を比較すると嫌になるほどの乱高下を消化しながら金融市場全体に正常化(少なくとも沈静化)のバイアスがかかって来ている事が分ります。特にLIBOR(銀行間Cash取引レート)やクレジット市場の沈静化は金融経済の動脈硬化が改善してきている事の証左ですね。


株式市場も活況でした。世界株式市場全体の通信簿とも言えるモルガンスタンレーの
MSCI World index9.8%の回復。週を通して共に10%以上の回復を見せた米国のDOWS&P
5001974年以来の上昇幅で両者とも先々週の2003年以来の最安値から立ち上がってきました。Europe's Stoxx 6002001年以来となる12%の上昇。MSCI Asia Pacific Indexは日経平均と一緒に6.9%の回復となりました。


FRBBOJの利下げもあって日本円と米ドルの暴力的否上昇に調整が入った為替市場ではCommodity通貨が反発を見せており、先頭ランナーとなったAUD円が11%弱、CAD円、NZD円も9%弱の上昇を見せています。



上記はDXY(ドルインデックス)のチャートですが、8月初めから上昇したドルは9月中旬に折り返して半値弱の戻しをした後に再度上昇に転じて一気に走り抜け、先々週末には対CAD4年振り、対GBP6年振りの高値に到達しましたが、日本円がその米ドルに対して実に13年振り高値となる9087銭まで上昇していた事も特筆に価することです。


GlobalAsset市場の崩壊、信用の傷付いた投資家や信用創造体力の後退した金融機関の業容縮小(De-leveraging)による米ドルと日本円の急上昇は、如何にそれ以前の世界資産バブルの中で両者の果たしていたリスクマネーの供給源としての役割が大きかったかと言う事の証左以外の何物でもないでしょう。


原油価格の上昇は投機ではなく実需だと言う主張も、金融危機の回避に莫大な公的資金を含む流動性が供給される以上将来のハイパーインフレーションは不可避だと言う主張もこのDe-leveragingという現象の前に木っ端微塵に砕け散ってしまいました。特に後者のシナリオでドル売りとGoldSilverの買いに動いた勢力は断崖絶壁から突き落とされたような展開となっているのですが、最近では1929年当時の世界大恐慌(Great Depression)に対してGreat
De-leveraging
という表現が使われ始めている事にも大いに注目したいところです。


バブルが何時弾けるかは弾けるまで分らないというのが定説であるように、逆バブルとも言えるこのDe-leveragingという現象が何時まで続いて、どういう形で終了するのかも現時点では誰にも分らないのだと思います。1つだけ言える事は、国際協調を含む当局の懸命の努力によって足元には一旦沈静化の兆しがあるということでしょう。


今週も主要国の金融政策に注目が集まります。豪州RBA、欧州ECB、英国BOE50bp0.5%)の利下げが有力視されていますが、どの程度株式市場を持ち上げる事が出来るでしょうか? また何と言っても米国の大統領選挙、そして雇用統計も控えています。


抜本的な万能薬が見つからない未曾有の世界経済危機の中で、当局が矢継ぎ早に繰り出す大きな対症療法(Band-Aid)と奥深い所にある病巣との鬩ぎ合いの時間帯に入っています。


丁度Holloweenが終わったところではありますが、金融の世界ではまさにTRICK OR TREATが継続していると言う訳です。何が仮装で何が実態なのかの見極めが肝要ですね。