2009年3月22日日曜日

What the market is cooking.

ドルインデックスのDailyチャートの動きを見てみましょう。



最後の3本が先週のFOMC後ということになります。


水曜日に大陰線、木曜日も下落止まらずで金曜日には流石に陽線を出して終了していますが、FOMC以前の強気相場は完全に破壊された格好です。


最近愛用しているVantage Pointという分析ツールを使って引いた移動平均線が黒い実線で、このツールが示す予想移動平均線が青い実線です。このチャートでは予想移動平均線が実際の移動平均線をFOMC1週間ほど前に上から下にクロスしており、先週もずっと乖離幅を拡大しているので米ドルのベア転換を先読みしていたツールが米ドル下落バイアスの継続を予想していると読むことが出来ます。


FOMCの長期国債買取りの実施が持つ大転換の可能性の一つがドル安の始まりであると言う事に疑いの余地は無いようです。

今は例外なく世界中の景気が悪いので、Relative Gameと形容される通貨市場では不美人投票的な状況が継続してきました。かつては美人投票で積極的に買われる通貨が決まるという形でトレンドが形成されましたが、サブプライム問題を契機に世界経済が大きなダメージを負ってからは、不美人投票で積極的に売り込まれるべき通貨を探して攻撃すると言うパターンが定着し、新興国通貨や円以外のアジア通貨が攻撃対象となってきました。


主要通貨では米国以上に新興国へのExposureが大きいと指摘された欧州通貨が攻撃対象となり、相対的に米ドルの上昇が演出されてきました。まさに通貨はRelative Gameです。

それがFRBの長期国債購入で何が変わるのかと言えば、それが明確な量的緩和政策だからです。


国が債券を発行し、民間がこれを購入すると言う場合は民間から政府に資金移動が起こり、政府がこれを公共投資などで民間に再投資するという事になりますが、資金量事態は移動するだけで変化はしません。


ところが中央銀行が国債を購入するとなると、民間の資金はそのままで国債が政府から中央銀行に渡り、中央銀行が新たに造幣局に命じて印刷したお金が政府を通して民間に投資される事になるために世間に流通するお金の量は純増する形になります。

これはまさに量的緩和であり、単位あたりの資金価値は希薄化するので通貨安バイアスが掛かることになります。更に将来景気が回復してクレジット市場が修復しはじめた時には中央銀行が適時的且つ速やかな資金吸収を行わないと物凄いインフレーションが起こる事になりますが、中央銀行にとってそれは至難の業です。


バブルの発生は予想することは不可能ではじけた時の対応策があるのみだというグリーンスパン前議長の言い訳とも取れる説明は、的を得た事実なのです。


先週の金融市場における激しい米ドル売りは、このような背景を織り込んだ動きだったと言えますが、FRBは金融市場の先手を打つことを優先する対価としてドル安のリスクを敢えて取ったとも解釈出来る節もありますので、今後金融市場がそのあたりをどのように評価し、消化していくのかは極めて大きな材料になっていくことは間違いありません。


インフレの匂いを嗅ぐと上昇するのがGOLDですが、同様に先週の水曜日以降が物凄いチャートになっています。



チャート的にはやる気満々というか、始まったばかりとも解釈出来る訳ですが、ちょっと荒い値動きとなりそうですね。