2010年7月26日月曜日

Financial marlet is stressed and tested after the Stress Test.

皮肉なもので注目された欧州のストレステストは、金融市場に大きなストレスを残して無難に終了したと言う印象があります。

ストレステストの結果が予想外に悪いものである可能性は無視出来ない状況でしたし、無難な結果が出たところで、そもそものテスト基準が節穴だらけじゃないかということで金融市場が否定的な反応をするというシナリオも十分実現性の高いものだったと思います。
 このような状況下、恐らく為替市場のポジションは大きくユーロ売りに傾いた上体で本番の発表を迎えたのだと思うのですが、発表直後から注文通りにユーロ売りが出たものの大してフォロースルーも無かった事で市場では徐々にユーロショートの炙り出しが始まったようです。週末なので最後は手仕舞って越週しようという参加者も多かったと思うのですが、このあたりの市場のドタバタした駆け引きは金曜日の一時間足のチャートに如実に現れています。


チャートの右半分がストレステスト前後の攻防と言う事になりますが、一度ぐんぐん下げてから、するする買戻しが入って痛み分けのような値動きで終了している事がわかります。




週明けからはユーロが対ドル、対円でどこまで戻せるのかが注目されますが、失速すると一気に売り込まれる可能性もあるので注意が必要でしょう。

欧州懸念は一服したのであって払拭された訳ではないのです。

それにしてもStress Testの後はマーケット全体がStressed and Testedという感じですね。

2010年7月25日日曜日

Weekly Movers.

先週の為替市場における週次での値動き上位は以下の通りです。

通貨ペア  Current   Last    Change(Pips)  Change(%)

AUDCHF  0.9441   0.9125   +316      +3.35%
EURAUD  1.4408   1.4874   -466       -3.23%
NZDJPY   63.54   61.49    +205       +3.23%
CADJPY       84.41      81.79         +262                  +3.10%
AUDUSD     0.8954    0.8687        +267                  +2.98%
NZDCHF      0.7663   0.7459        +204                  +2.66%
CADCHF     1.0177    0.9923        +254                  +2.50%
EURNZD     1.7741     1.8181       -440                    -2.48%
EURCAD    1.3366      1.3677       -311                    -2.33%
NZDUSD     0.7268      0.7102      +166                   +2.28%

総括すると、欧州通貨は持ち堪えたということと、それ以上に資源国通貨が急騰したと言うことに尽きると思います。リスク回避の時に上昇するUSDとJPYは全てAUD,NZD,CADの引き立て役での登場と言う事になりました。

この投資意欲の回復傾向がここからの夏相場を駆け抜ける形での株式市場などにおけるRisk資産のSummer Rallyというのは、ちょっと出来すぎた楽観シナリオであり、個人的にはこのセンチメントが崩れる所が非常に怖いと言うViewなのですが、8月第一週の金曜日の7月の米雇用統計あたりまでが一つの勝負となるのでしょうか。

The pednulum of the sentiment continues a wild swing.

先週は金融市場における数々の”ゆらぎ”の周期が、まさにPerfect Storm的な一致を見せた週だったような気がします。
・マクロとミクロのDilenma ⇒ 弱い経済指標(マクロ)と良好な企業決算(ミクロ)の組合せという悩ましい投資環境が続いていましたが、先週はは前者(マクロ)が改善傾向を強めた事で市場は楽観方向のバイアスを強める結果となりました。
・米国と欧州のDilenma ⇒ サブプライム問題やリーマンショックなどは米国発の問題とされますが、結果としての不良債権やバランスシートのレバレッジ規模などの問題は寧ろ欧州系金融機関の方が深刻であるという評価の為に2007年以降の動きは当初は米国売り欧州買い(=ドル売り)に振れた後、米国買い欧州売り(=ユーロ売り)に振り子が逆に振れた格好になっていました。このような状況下で先週は昨今の米国の経済指標の新たな失速感と欧州が曲がりなりにも金融機関のストレステストを無難に断行した事からドル売りユーロ買い方向の流れが強まるとともに、株式市場などリスク資産の多くに力強く反発が見られました。
・新興市場のDilenma ⇒ 為替市場などでは比較優位だの不美人投票だのという優劣付けがあるものの欧米日という所謂G3経済の低迷は明らかな状況で実際に特に欧米への輸出依存の大きい中国など新興国が成長を維持できるのかと言う命題が新興市場に重くのしかかっているのですが、先週は上述の如き悲観の一服により新興市場も強気相場的な風が吹きました。
マクロ指標を見ると英国の第二四半期GDPが大きく伸びていた事や欧州圏のPMIやドイツのIFOと言ったセンチメント指標が予想外に改善されていてまさにUpside Surpriseとなった事、そして米国でも週央にはバーナンキ議長のハト派的な内容の議会証言もありましたがそれ以上に多くのBlue Chip企業から予想を上回る業績発表があった事で株式市場が乱高下を経て週の高値圏で終了しました。
欧州で行われた金融機関のStress Testですが、91行中資本不足と判定されたのは7行のみで、いずれも事前に名前の出ていた金融機関でした。これらの金融機関が不足と判定された資本の要増強額は事前予想の30bioユーロを大幅に下回る3.5bioユーロにとどまっており、こちらも金曜日には大いに好感される結果になっています。資本不足とされた7行はスペインの5行、ドイツとギリシャで1行ずつと言う結果ですが、この規模の資本増強は各国政府にとって容易であり、既に設立されている欧州の安定化基金440bioユーロで余裕を持って対処できる範囲内です。
欧州株式市場では特にGDPが予想外に強く、Stress Testでも問題行無しとされた英国市場が好感されている感じでFTSE市場は上値抵抗線を越えたレベルで越週しています。 
 
米株市場も同様で、先週の数百ドルレベルの乱高下相場を週の高値圏且つチャート的にも上値抵抗線を上抜けした水準で越週しました。
 
その他リスク資産市場も総じて堅調推移で越週していますので、今週も少なくとも序盤戦はこのRisk-on的な楽観相場で幕を開けることになると思います。

The detail of Stress Test.

注目された先週最大のイベントである欧州金融機関のStress Test結果が発表されました。同テストの基準自体が甘いとか、対象金融機関のトレーディング勘定のみをテスト対象としており、より大きなバンキング勘定の満期までの保有を前提とした債権は対象外としている点などが批判を浴びていますが事前の予想やリーク通りの内容であり、取り敢えずは大きなイベントリスクが消滅したと言う事実の方が好感されたような市場の反応が目を引きます。

内容の議論などは今後もくすぶるとして欧州はひとまず大きな峠を越えたということになるのでしょうか。

CEBS(Commitee of European Banking Supervisors)による今回のStress Test結果の詳細情報は同委員会のサイトに今後暫くUpdateされ続けていくようですので私も引き続きチェックして行こうと思っています。以下のサイトになります。

http://www.c-ebs.org/EuWideStressTesting.aspx

市場はイベントリスクの消化を好感していますね。週初も株式市場が上値をトライする展開が先行するものと思われますが注目していきましょう。

2010年7月19日月曜日

Cross-roads in sight now.

現在金融市場を二分するような議論は複数ありますが、個人的に極めて興味深いと思うのはそのテーマの多くが非常に根本的なことであり、その結論が明確に認識された時には相当大きな変化が起こるようなものが多いと言う事です。
例えば、ドル下落トレンドが明確な時にドルショートの対価を何にするのかというのは小さな議論ということになります。ドル安と言う大きなテーマの中で、EURなのかCHFなのかAUDなのかJPYなのかを議論するのは大した事ではありませんね。
 それに対して例えば今であれば、世界の2台リザーブ通貨であるUSDとEURの力関係がはっきりしません。元々USD安というテーマでEURが上昇してきた訳ですが今年は欧州経済が大幅失速し、しかもそれが米国と同じソブリン懸念であり、発端はギリシャ等のPIIGS諸国でしたが独仏などの中枢国や欧州連合の外側ですが英国なども財政危機が深刻であると言う事が急速に表面化した時点で市場参加者や特に自国の外貨準備をコントロールする各国中央銀行や政府系運用機関の多くはEURもUSDと大差のない通貨であり、USD偏重の外貨準備を必死にEURに振り替えて来た努力が実は同じ穴の中で狢を比べていたのだという事実に直面したことで一気にEUR売りが加速しました。
結局ここで資産の裏付けのない現在の通貨制度の脆弱性に疑問を持った勢力の資金が一気にGOLD市場に雪崩れ込んだ事で大変なGOLDの上昇相場が実現しました。
 少し歴史をおさらいすると、かつては金本位制という体制の下で各通貨は根源的価値の源と考えられていたGOLDとの交換比率が定められていました。換言すれば貨幣の価値はGOLDによって裏書されていたと言う事になります。全ての通貨は兌換(GOLDへの交換可能)通貨だったわけです。これが主に第二次世界大戦後の各国の疲弊により維持が難しくなるとブレンウッズ体制と言うものに移行します。これは最大の 金保有国であった米国は金本位制を維持し、他国は米ドルに自国通貨をPEGして間接的な金本位制を保つようなイメージです。
 これが諸事情あって1971年に米国が突然 このブレトンウッズ体制を放棄した事から直接、間接を問わず金本位制という概念は木っ端微塵に吹き飛びました。ここで全ての通貨は兌換(交換可能)通貨から不兌換、或いは不換通貨になったのでした。英語では前者がConvertible Currency,後者がFiat Currencyとなりますが、最近はこの両者(特に後者ですが)を色々な文献で見かける機会が急増しています。それは何故かと言うと、そもそもUSDもEURも全ての通貨が不換通貨であればこそGOLDが買われるのだという解説のためです。
金融危機の為に世界中の殆どの金融当局が財政を緩めて政府部門の赤字を増やし、殆どの中央銀行は低金利⇒超低金利⇒量的緩和という段階のどこかにあります。結果として外貨準備として保有する外国貨幣の多くが印刷機でがんがん刷り捲られる事になりこの通貨供給量の増加からインフレーション⇒ハイパーインフレーションというリスクシナリオに晒される事になりますので世界中の中央銀行はGOLDのBullion(金塊、延べ棒)で購入してきました。また機関投資家は多くが金関連株(Gold stock)と言う形で、富裕層を中心に個人投資家レベルでは金貨の購入が一大ブームとなっています。
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 中国は国家戦略として資源を油田や鉱山ごと買収しまくっていますし、今年の金融危機の震源地である欧州では金貨の製造が追いつかない状況になっており、今ではドイツなどでは金貨の自動販売機があったりギリシャでは調達が間に合わない中で買い注文が殺到し、同国の金市場は市場価格を一時$500程も上回る1オンスあたり$1,700という以上価格まで出現しました。
そのGOLD価格がここに来て急落しています 。    

そしてここで冒頭に述べた大きなテーマに戻るのですが、実はここから起こる事はインフレーションなのかデフレーションなのかという論争があるのです。双方に言い分があり、その殆どが実に論理的で反論の難しいものなのです。これだけ主要国が量的緩和を長期間放置して従来はなかった紙幣を印刷機で刷り捲って世の中に放出し続けている限りインフレにならないわけがないという主張に対して、実は東京が大量に供給した資金は全く回転していない、流通も限定的で実質滞留しているのみなのでインフレにはならないというのがデフレーション派の論点です。実際に資金が回ってこないので不動産などの資産を売りに出しても世間が手元にプールしているお金を動かさないので中々買い手が付かないという事例を出されると、確かにそうかもしれないと思わされます。
 インフレ論者は金や銀の購入を事あるごとに推奨しており、事実そのように貴金属市場は上昇してきました。商品市場が不調でもGOLDだけは上昇すると言う現象は最早珍しくもなくなっています。そのGOLDの足元の大幅下落は調整以上の意味合いがあるのかどうか・・・・・
注目された米国企業の4月ー6月期の決算が非常に良好な内容でアナリストの事前予想を上回るものも目立っています。企業活動と収益性の活発化であればインフレーション派に有利な材料ですね。一方でこのようなミクロの好調に反してマクロは不調なのです。国全体の経済指標は総じて事前予想を下回るものが多く、消費者信頼感や消費者物価指数などは実際に数ヶ月連続で下がっているのでこちらは明らかなデフレーション兆候です。
OK,We are caught here....... マクロとミクロ、インフレとデフレ、ユーロとドル・・・・
これもそう遠くはないと思われる重要変化日に市場が答えを出してくれるのではないでしょうか。     

Marble-Coloured Currents of the Market.

それにしても暑いですね~・・・
金融市場に関しても結構ヒートアップし始めているように見えなくもないのですが、まだまだ序曲といったところでしょうか。
 今年は「夏枯れ」相場にはならない⇒特に7月と8月の切れ目前後で大きな変化が起こる可能性もあるという見方を堅持しているのですが、足元の市場の動きには何かそのタイミングに向けた濁流が渦を巻いているかのような不気味さを覚えます。
 金曜日は米国のConsumer Sentimentの発表がありましたが、依然として世界経済の胃袋とも言える米国の個人消費のマインドが前月の76.0から11ヶ月ぶりの低水準となる66.5まで急落(市場予想は74.5でした)しており、多くのRiskアセット市場の足元を揺るがした格好になっています。 
1 株式市場
これは先ず第一に多くの国の市場が9回裏にサヨナラ負けをしたようなパターンで陰線となってしまっているのがよくないですね。象徴的なのが米株で、金曜日の北米時間にひっくり返ってしまいました。Dowは先週$10,407まで上昇した後に$10,097で終了し,前週の終値の$10,198も下回って週足が陰線になってしまいました。S&P500も週の高値が$1,099.46で$1,100の回復に失敗した格好で$1,064.88まで反落しています。
 資金滞留の原因とされていた中国農業銀行の大規模IPOですが、これが終了すればアク抜け感から株式市場に上昇圧力が掛かると言う楽観論もあったのですが、どうやらそれは希望的観測だった可能性があります。
2 債券市場 
実は従来の取引レンジを抜けて明確なトレンドが出始めた可能性もあるのが債券市場で、・・・というか長期金利の動向といった方が良いのでしょうか・・・・要するに長期金利が完全に下向きになってきました。
 長期金利ということ指標銘柄的に使われるのは主に2年と10年でしょうか。2年物の金利はRecord Lowとなる0.5765%まで低下して0.59%で越週(週の高値は0.61%)しており、10年は3.06%レベルの攻防が金利低下方向に決着したようで2.93%まで大きく下げて越週です。
 ここのポイントは、発表される経済指標の大部分が事前予想を下回っている事、インフレ指標が弱い事、4月ー6月期の決算発表は悪くない企業が多いものの新たな資金重要が生じていないと言う事でしょうか。
3 商品市場
これも冴えません。金曜日は原油価格は1バレルあたり$75.93まで下落(▲0.9%)、Goldも1オンスあたり$1,220の抵抗線に阻まれて反落して$1,192.5まで反落しています(▲1.26%)。
4 為替市場
 これも濁流ですね。大きく分けると①EURの大反発、②ドル売り、③円高、④資源国通貨の急落、という要素になります。
 ①のEURの大反発については23日に欧州系金融機関のStress Test結果が発表になる事が大きいのですが、当初危ない銀行は対象としないのではないかと言う疑念が指摘された事を受けて欧州当局が正式に中規模行も含めた91行を対象とする事を発表した事で市場が欧州当局の姿勢を評価した事、またかつて同様の調査をした日米の金融当局のように検査結果資本不足と判定された銀行に対しては何らかの資本注入策を合わせて発表する可能性が高い事が大きいと思われます。
 ②に関してはEURの買戻しの影響とドル金利の低下要因が大きく、③についてもこの金利差要因と株や商品の下落によるリスク回避的な動きが背景でしょう。
 大きく目を引くのが④の資源国通貨の急落です。従来から欧州売り/資源国買いというクロス取引が多かった事からその巻き戻しで欧州買い/資源国売りとなっていると説明するのは簡単なのですが、資源国通貨の下落の規模は明らかにそれだけではないものを感じさせるように思います。
EURCADの反発
 
CADJPYの急落
 
欧州売りに一服感が出ていますが、実は資源国市場からの投資引き上げの方が大きな潮流となっている状態で、投資環境は緩和どころか厳しさを増していると考えるべきでしょう。リスク回避の動向と共に足元の円高の動きも予想以上の規模、速度で進行するリスクは否定出来ないように思われます。円に関しては本邦財政などの弱みもある一方で欧州や米国への不安増大と新興国市場への規模や制度面の不安感から大量の資金移動の受け皿となっているという側面がありそうです。一時GOLDに集中しすぎた資金の一部が円に雪崩れ込み始めている事も間違いなさそうです。
 足元は斑模様の金融市場はこの夏の大きな変化の序曲かもしれないという意識を共有しておきましょう。

2010年7月11日日曜日

Collective Resiliency of Japanese Retail Investors.

先週の主要通貨ペアのパフォーマンスを見るとベスト10が以下のチャートのようになります。
Current BarCurrentLastChange(Pips)Change(%)
AUDJPY77.7473.81+393+5.06%
GBPNZD2.11772.2053-876-4.14%
NZDJPY62.9560.37+258+4.10%
AUDUSD0.87730.8414+359+4.09%
GBPCAD1.55661.6135-569-3.66%
EURAUD1.43991.4924-525-3.65%
AUDCHF0.92780.8940+338+3.64%
CADJPY85.6882.57+311+3.63%
NZDUSD0.71040.6880+224+3.15%
USDCAD1.03361.0622-286-2.77%

特徴やトレンドを抽出すると、以下の様になるでしょう。
1 ドル、円、欧州通貨負け組み。
2 AUD,NZD,CADのコモディティ通貨が勝ち組。
特に本邦個人投資家が損切るどころか果敢に買い下がってロングポジションが空前の規模にまで拡大していたAUD円が一番上昇していると言うのはある意味で凄い事です。市場は間違いなくここのダムを決壊させるような動きを仕掛けていた訳ですので、ある意味かつては1992年には英国中銀、その後1997年にはタイやマレーシア等のアジア通貨を狙い撃ちして堤防決壊的な下落相場を仕掛けて成功させてきた勢力が日本のリテール投資家の集合体に挑んだものの攻め切れず、最後は逆襲にあってダメージすら蒙ってしまったと言う図式が垣間見える気がします。
本日投票が行われた参院選では予想通り、或いは予想以上に民主党の苦戦を伝える速報が出ています。今週はどこかで株式市場などが息切れを起こして反落する可能背もあるのですが、逆にそういう展開がないとするなら結構円安が進みやすい環境が整ってきている可能性も否定できないでしょう。
Ms.WatanabeやKimono Traderという風に言及されることの多い集合体としての本邦個人投資家達が大いに気を吐いていると言う図式だとするなら、日本の民間部門の資産規模と体力は依然として世界有数の一大勢力であるという胸を張りたいような事実が浮き彫りになる思いですね。
それにしても、というかであればこそなのですが、もう少しマシなキャッチコピーはないものでしょうか。個人的にはMs.WatanabeだのKimonoトレーダーだのという名称は全く好きになれないのです・・・・

Good week for risk assets.

前週の金曜日の時点で米株や日経平均など主要国の株式市場は7営業日連続陰線で終値も2010年の最安値だったのですが、先週は一旦この流れを断ち切るような株価の反発がありました。

ダウ工業平均は先週+$511.55(+5.3%)という反発を見せて1万ドルの大台も回復しました。これは2009年7月17日の週以来最高のパフォーマンスということになります。S&P500も同様に+5.4%の上昇と言う事で週次のパフォーマンスはほぼ1年振りの力強さでした。 
問題はこれが本格的な株価の反転なのか、或いはベアマーケットラリーと言われる大きな株価の下落過程における一時的な反発なのかという部分の見極めです。 
1 前週のベアセンチは行き過ぎ状態だった?
ここに面白いデータがあります。前週時点で、株式市場の銘柄数に占める50日移動平均線よりも高値で取引されている銘柄数の割合が昨年の株式市場の最安値であった2009年3月以来の低水準になっていました。この比率が10%を割り込むと反発も近いと言う危険領域なのですが、流石に市場のセンチがベアに傾きすぎていたと言うのは事実なのではないでしょうか。
2 季節など特殊要因
4月~6月の所謂第二四半期が終了し、7月から第三四半期に入りました。ここは市場動向を慎重に判断しながらも資本を遊ばせておく訳にも行かない投資家コミュニティが資金を各アセットクラスに再配分し始めるタイミングです。丁度株価なども割安になっていた事や今週から始まる企業業績の発表への期待などもあり、株式市場が一旦反発しやすい環境は整っていたと言う見方も出来るでしょう。
3 出来高は付いてきていない?
株価の力強い反発を見た先週ですが、どうやら取引高(出来高)はかなり低調だった模様です。特に金曜日は2010年の最低取引高を更新したと言う事なので商いは賑わっていないという状況が気になります。
先週の動きが持続力を持ってサマーラリーという相場を作れるかどうかは、企業業績の発表などを消化しながら今週の株式市場が同動くかと言うことに掛かっているのではないでしょうか。
今週も株式市場最大の注目市場となる事でしょう。   

2010年7月6日火曜日

Happy Independence day

今日は米国の独立記念日の代休で北米市場がお休みです。

今年は7月4日が日曜日だった為に月曜日がお休みになっているのですが、米国の独立は234年前のこの日だったということになります。1776年ですね。この独立を勝ち取る過程を指導した人々をFounding Fathersと言いますが、この独立に関しては二代目の大統領であったジョン・アダムスと三代目の大統領トーマス・ジェファソンの貢献が大とされています。

独立宣言の起草はトーマス・ジェファソンが中心でしたが、1826年にワシントンで予定されていた独立50周年行事への招待を謝絶する手紙の中で彼は、将来の米国人たちが毎年この日の到来を持ってかつて先人達が独立を実現するために払った多大な貢献と犠牲を思い出すことを願っています。

また2代目大統領のジョン・アダムスは、将来の米国人が独立の精神を忘れずにそれを善用する事を望み、そうでなければ天国の隅で自分たちは大いに嘆く事だろうと述べています。実際に大変な苦労と愛国心の産物だったのでしょう。

不謹慎かもしれませんが、非常に興味深いのは、このトーマス・ジェファーソンもジョン・アダムスもこの独立50周年の記念日である1826年の7月4日に数時間違いで他界しています。

7月4日は独立記念日でもあり、両者の命日でもあるのですが、何だか人間のMissionというものについても考えさせられるような話ではないでしょうか。

2010年7月5日月曜日

Mice-driven Rats are jumping ships.

今の世界の状況は結局日本の失われた10年(20年?)の再現であると言う議論が復活していますが、今の欧州の状況を1992年の英国の状況に例えているレポートも多く見かけます。
1992年、当時の欧州が採用していた通貨システムに参加していた英国は多額の政府債務を抱えながらも参加資格を維持するためにGBPの通貨価値を高く維持するべくあらゆる手段を講じていました。米ドル換算で$50bio規模のGBP買い介入スキームを策定し、海外からの投資資金を呼び込むために金利は10%にまで引き上げられていました。
これに立ち向かったのが当時まだ決して今のような著名人ではなかったジョージソロスなどのヘッジファンド勢でしたが、1992年9月16日には介入資金が底を付いた英国が最後の一手として政策金利を10%から一気に15%にまで引き上げましたが、英国政府が万策尽きたと見た市場はGBPの価値を約半年の間に$2→$1.42まで約30%も暴落させてしまいました。 
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これで巨額の富を作ったジョージソロスは、一気にその名をとどろかせた訳ですが、これは丁度サブプライム問題において巨額のモーゲージ債の無価値化に賭けて一気にスターダムを駆け上ったジョンポールソンの足跡とよく似ていると言えるでしょう。両者とも初期段階では変わり者扱いされていただけで、結果が全てを正当化したといっても過言ではありません。ポールソンに至っては3年以上は負け犬呼ばわりされていたように思います。

最近では世界中の投資家が瞬時に様々な情報を共有してしまいますし、それ以上にインターネットのお陰で国境を越えた資金移動も簡単に行う事が出来ます。ここでも取り上げた1992年のGBP危機にしても1997年のアジア通貨危機にしても後日の統計によると面白い事がわかっています。キャリートレード全盛時の円安も然りなのですが、ある通貨が暴落や大幅に値下がりする過程の中ではほぼ間違いなく自国民による海外への財産非難、資金逃避の動きが確認できます。92年のGBP危機では英国人の、97年のアジア危機ではアジア人の富裕層を中心とした集団が大量の資金を国外に逃避させる動きがあった事がわかっています。
丁度今も、欧州の人々が大量に欧州外に資金移動を行っていると言う動きが指摘され始めていますが、これは特殊能力で船の沈没を予期、察知したネズミの集団が前もって船から逃避すると言う習性になぞらえて表現される事があります。
European rats are jumping ship.
等という見出しを目にしたりしますが、Jumpという動詞が他動詞として直接shipという目的語を取っていることが判りますね。Jumpといえば跳躍を想起しますが、こういう使い方で ~から逃避するという意味になる事がわかります。どうせなら今ではPIIGSなどと不名誉な呼ばれ方をしているポルトガル、スペインなどかつては世界有数の無敵艦隊で世界を征服するような国々であった事などから、
European rats are jumping once unsinkable ships.
等とやっても良いかもしれません。
またインターネット上での瞬時の国境を越えた資金移動は、世界中のコンピュータの前のマウス(これまたネズミです)の操作によって行われている訳ですので、船から逃避する無数のRatsの動きは世界中のPCの前にある無数のMouseによって操られていると言う面白い状況となっていると言えます。
恐ろしい時代というのか、ありがたい時代と言うのか・・・・
日本政府の財政破綻がどうこう言って海外にオフショア口座を作って資産防衛と称する資金移動、財産移転を進めて来た日本の富裕層も最近の円高で資産の目減りが生じている事になります。こういう資金が本国還流する事になれば一層の円高圧力になるのですが、既にある程度は始まっている可能性の高いこのような動きは、Japanese rats are rushing home,too.と言ったところでしょうか。

2010年7月4日日曜日

Everything is relative...

ワールドカップの盛り上がりはたいしたものです。これで日本でもサッカーファンが一層増えることになるのではないでしょうか。

先般カナダのトロントで行われていたG8及びG20においても英国のキャメロン首相とドイツのメルケル首相が会議を抜け出してイングランドードイツ戦を観戦し、疑惑のゴールでドイツに勝利が齎された後はメルケル首相がキャメロン首相を慰めると共に詫びを入れていたと言うなんとも長閑なエピソードが伝えられていますが、実際にこのイベントのエネルギーと求心力には現在世界が直面している深刻な経済問題なども一時的に棚上げしてしまうほどのパワーを感じます。

ワールドカップ序盤はとにかく欧州が不調で、市場ではユーロ売りが進行していたこともあってソーシャルトレンドとしての共通性が論じられたものですが、実際にエマージング経済の方に目を向ければ開催国が南アフリカである事も含めて中南米からの出場5カ国は全てグループ予選を通過してトーナメントに進出するという現象も象徴的でした。

前項でも触れましたが、市場では一旦ユーロが反発し、新興国は売り叩かれているのですが、それに呼応するかのようにこの週末に出揃ったベスト4の顔触れは、何と欧州が3ヶ国、南米が1ヵ国にまで減っているではありませんか。中南米諸国はトーナメントに入ってから次々に脱落してしまったと言う事で、奇しくもワールドカップと金融市場が呼吸を合わせているかのような状況になっています。

また、事前予想を大きく凌駕して世間を驚かせた国の筆頭は意外と日本かも知れないとも思うのですが、それも現在進行形の円高との相関性を指摘する事が出来そうです。

市場のトレンドというものも実に掴み所のないものですが、社会のトレンド、ソーシャルトレンドというものも実に不思議なものであり、後者は前者をも内包して大きな潮流を作ると言うものなのかもしれないですね。

残り試合にも熱戦を期待しましょう。

July is off to a volatile start.

 先週は、週央に6月末という重要日柄(半期末、四半期末、月末)があり、金曜日には米国の6月雇用統計の発表があると言う注目週でしたが、投資家のリスク離れが止まらないという印象が残る展開でした。

今後も相当長期間にわたって相場の台風の目であり続けるであろう欧州の混乱については、先週は一服感も出ています。7月1日に期限を迎えるECBの1年物資金供給オペのロールオバー規模が注目されましたが、期限を迎える約440bioユーロの3ヶ月物での延長入札規模が約4分の1程度まで減少していた事が好感されており、欧州系金融機関の多くは既に様々な手法でECBに頼らなくても資金繰りのメドが付いていたと言う評価になっています。
 これを受けて為替市場ではユーロがその他通貨に対して反発する動きとなっているのですが、このような欧州の一服感を好感するどころか逆に不安材料としての役割を引き継いだかのように株式市場、コモディティ市場が大きく下落してしまいました。

株式市場はダウ、FTSE、日経平均など多くの国々で2010年の最安値を更新し、米株市場も金曜日までで7営業日連続陰線となってしまいました。通常は大きなベアマーケットでは初期段階で騙し的な反発が起きる傾向がありますが、今回はそれすら起きずにダラダラ下げていると言う指摘があります。(以下のチャートです)
こういう時の頼みの綱は上海市場なのですが、こちらも中国のコンファレンスボードが計算間違いを理由に4月の経済指標を大幅に下方修正したり、先週はその他の中国の経済指標も予想を下回るものが多かった事から中国経済にも慎重な見方が増えてきているようです。特殊要因としては中国農業銀行が大規模なIPOを控えている為に多くの資金がそちらにプールされてしまうという事象が指摘されていますが、足元の市場センチはかなり悪化していると言わざるを得ないようですね。
株式市場、商品市場の不調を受けて先週を通した為替市場のBig Moverは、欧州通貨がコモディティ通貨に対して反発した図式が目立っています。
                
通貨ペア 先週末 前週   変化 変化率
                                   
AUDCHF  0.8940  0.9546  -606   -6.78%


NZDCHF  0.7310  0.7794  -484     -6.62%

AUDJPY   73.81     77.95   -414     -5.61%

CADCHF 1.0000  1.0551   -551     -5.51%

NZDJPY    60.37    63.66    -329    -5.45%

EURAUD  1.4924  1.4149  +775    +5.19%

EURNZD  1.8239  1.7315  +924    +5.07%

GBPAUD  1.8048  1.7225  +823    +4.56%

GBPNZD  2.2053  2.1082  +971    +4.40%

CADJPY   82.57   86.17     -360    -4.36%

 
このように為替市場では、①欧州反発、②資源国不調、③円とCHFが2大王者 という値動きでした。
悲観とまでは見ていませんが、警戒、慎重モードが大きく上昇した状態で7月相場が始まりました。