狂乱の一週間。
オプション市場のVolatilityは軒並み98年のロシア危機とそれに続くLTCM崩壊時の水準を越えて上昇しており、事実上史上最高値を更新したと言ってよいでしょう。
世界中の資産価格が暴落し、リスクキャピタルの中央回帰による米ドルと日本円の上昇が続いています。説明の必要は無いかと思いますが、米国や日本が買われているわけではなく両国の投資家による敗戦処理的なRepatriationも加わり、両国の株式市場が世界の株式市場の下落を先導している状況です。
大相場の予感はありましたが、最早金融の枠組みを超えた世界秩序の破壊と再構築と言う歴史の転換点に差し掛かっているのだという思いが確信に変わってきています。
歴史を見て気が付くのは、気の遠くなるような時間を要するダーウィンの進化論に代表される生物学とは違い、人類の文化、文明の転換は実に短期間で寧ろ唐突に起きているということでしょう。
・大きな変化は極めて短期間に起こる。
・大文明の終焉は時として滑稽ですらある。
この2点を頭に入れて行きましょう。
さて、Volatilityの代表選手と言えば米株市場のVIX指数です。これは過去に50という数値を超えた事は18回ありましたが、毎回一ヵ月後には大幅に下落をしていました。
それが今回は10月初旬に57台の史上最高値を更新してから50台を割り込むことは無く、遂に80台まで上昇してしまいました。
通貨オプションでもドル円の一ヶ月物が45%で取引されて98年当時の40%を越えてきていますし、最も動きの激しい通貨の1つである豪ドルの短期物は3桁のVolatilityで取引されるようになりました。これは大変な事です。
商品市場も大混乱で、先週直近の最安値を更新した銘柄は、copper, aluminum, nickel, zinc, tin, gold, silver, platinum, palladium, crude oil, propane, lumber, sugar, coffee, cocoa, oats, canola, and live cattle・・・・となっており、商品市場全体のインデックスとドルインデックスのクロスレートのWeeklyチャートは断崖絶壁状態です。
目先の注目点は各国の金融当局の行動であり、特に世界レベルでどういう協調行動が取れるのかに注目が集まります。
最早アイスランドは破綻し、東欧は壊滅状態。資源価格高騰を背景に大国復帰かと思われたロシアですら最早見る影は無く、同国の債務のCDS(Credit Default Swap)の水準はアイスランドがIMFに支援を要請する前の水準を遥かに上回るレベルです。
年末に向けて相当数のヘッジファンドの破綻も不可避と思われる中、勝ち逃げ組やダメージの浅いファンドの中には全て現金化した上で年内は休業するという連中も出始めています。
金融市場は一時的な安定や調整的な反発を消化しながら相当期間の混乱が続く事を覚悟する必要があるでしょう。
ここからは我々も現金比率を高める事で機動力の確保を優先するべきです。そして次には勇気ある戦略的な決断をする時を待ちましょう。
この未曾有の混乱の後には未曾有の投資機会が待っていると確信しています。
グローバル化の頓挫の後に来る新しい世界秩序をどう読むかですね。