大荒れの金融市場。
各市場とも大荒れと言う展開ですが、最もドラマティックな動きをしている物のひとつが米国株式市場でしょう。
特に激しいDow Jones Industrial Averageの最近の動きを振り返ると今でも眩暈を覚えるようです。
9月15日(月)⇒2001年9月のテロ以来最大となる$504.48もの大幅下落。
9月18日(木)~19日(金)⇒2日間で$700以上の反発。連続する2営業日の上昇幅として1987年以来最大。
9月29日(月)⇒$777.68もの史上最大の大暴落。2001年9月17日の下落幅$684を大幅に更新。
9月30日(火)⇒$485.21の大幅反発。
10月1日(水)、2日(木)、3日(金)と続落し、先週は結局$817.75の大幅下落で終了。
米国財務省のPaulson長官が起案した総額$700bio規模の経済救済案が土壇場で下院で否決された事で市場が完全に壊れてしまった事が発端ですが、驚愕した民主党、共和党、財務省が一部修正をした法案を今度は上院が可決。再度下院送りとなった法案が3日(金)に下院で可決されましたが一度壊れてしまった市場心理は最早修復不可能で、株価の回復には繫がりませんでした。
“天のシナリオ”とでも言うべきでしょうか。少なくとも週初に$700bioの救済案が下院で予定外の否決という事態になっていなければ、法案の円滑な可決を好感して先週の株価は一旦かなり上昇していた可能性があると思うのですが、結果的に上院、下院を通過したとはいえ一旦は下院で否決され、歴史上最大の下げ幅を示現したことで、その後の市場心理も株価も全く修復はされませんでした。
天が予め定めたシナリオなのでしょうか・・・以前も書いたとおりグローバリゼーションという名で呼ばれる米国型市場経済の世界的拡大とレバレッジを掛けたリスクマネーの拡散は急速に頓挫し、足元の資金繰りすら苦しくなった運用主体によりリスクマネーは雪崩を打って米国に還流しています。
例えば・・・・・
欧州エマージングの旗手として10%を越えるCD等で世界中の余剰資金の受け口となっていたアイスランドからも資金流出が止まらず、アイスランドの通貨(アイスランドクローネ)が急落しています。以下は米ドルがアイスランドクローネに対して急上昇しているチャートです(米ドルの急上昇=アイスランドクローネの急落です)。グローバリゼーションのなかで2000年以降大きく下落(米ドル下落、アイスランドクローネ上昇)していた相場の2008年に入ってからの反転は尋常ではありません。
次は、米ドルの唯一の代替としての地位の確立が不動のものとも思えた欧州統合通貨ユーロの対ドルの動きを見てみましょう。以下の通り完全にサポートを割り込んでいます。
ユーロは1.37台で週末を迎えていますが、個人的にはここから短期間で最低でも1.33台を試すものと考えています。
兎に角、物事の進行速度が予想以上の急展開を見せています。一時は完全に不可逆な動きと思われたグローバリゼーションの動きでしたが、ここへ来て勢いを増しているその逆行のプロセスこそが、今は不可逆なプロセスだと感じられます。