よく日本のMusicianなどが海外公演を成功させたとか、海外でもCDを出すなどという話があります。アジア域内では実際に日本人の活躍は目覚しいものがあるし、同時に国内でも韓流ブームが起きるほどアジアの音楽、映画などが受け入れられていますが、欧米では一部あるいは一時的な例外を除けば実態は今ひとつという感じではないでしょうか。
活動の場をNYやLAに移したなどと言われながら実は時折寿司屋や蕎麦屋で目撃される意外は現地のメディアに取り上げられることも無い人達や世界のXXと言われ、CDが世界同時発売等と宣伝されながら実際には相当大きな音楽店ですらそのCDとやらを一度も見たことも無い”大御所”も居ます。
ま~この辺りはプロモーションの関係で必ずしも当人たちには責任は無いケースも多いのでしょうしファンの人達にしてみれば実質その程度のことは百も承知で応援しているので大きなお世話と言ったところでしょう。
逆に日本で思われている以上に世界で名前が知られていると言う芸能人や文化人も居るわけですが、その代表的な人物の一人に大前研一氏が居ます。私は、この人が元々外資系の経営コンサルタントだったことや一時平成維新の会なるものを作って政治活動をしていたという程度の知識しかありませんでしたが米国に居る間にこの人の”世界度”を知るようになりとても驚きました。
この人は最初から世界に向けて英語で論文や著書を発表することが多く、日本で出版されている彼の書籍はその翻訳本だったりする位なのですが、私も彼の洞察力には何度も目から鱗が落ちる思いをしてきました。
米国の巨額の赤字は米ドルを暴落させるという通説があります。ほとんど宗教のようにこれを信じる人々が多い中で、過去数十年それが実現していないと言う事実はかつて相当長期間大いに私を困惑させ続けていました。①巨額の赤字だけでは米ドルは暴落しない(必要条件だが十分条件ではない)、②何か米ドルを支える別の要因が存在する、③その両方、④そのどれでもない・・・・・という自問自答が私の脳味噌を激しく循環し続けていました。
この何故米ドルは暴落しないのかという疑問と、そもそもグローバリゼーションと言われる過程の本質は何なのかという二つの命題に明確な回答と深い洞察力を提示してくれたのは大前スパゲティ、いや大前研一氏でした。ともに分厚いのですが、彼の新資本論や新経済原論は自信を持ってお勧め出来ます。
彼はグローバル化により出現する新たな経済空間というか世界的な経済連合体を The Invisible Continent (見えない大陸)と名付けて分析していますが、結局は世界の金融当局者たちはこの見えない大陸への対処に苦労し、有効な処方箋を見出せないまま新興経済圏ではPlainな経済バブル、先進経済圏ではややExoticな金融バブルを発生させて、それらを弾けさせてしまいました。
先進国経済には成熟した安定を、新興国経済には貧困の除去と生活水準の抜本的な引き上げを同時にもたらす導管体(Conduit)として機能するはずだったこの”見えない大陸”と言う架け橋(あるいは新世界秩序)は今荒海の果てに沈没しようとしているかのように感じます。
米国経済が混乱しても世界経済は大丈夫と言うDe-coupling論は既に影を潜めており、その反対のRe-coupling論をベースにDe-leverageやRe-patriationという否定や逆流の接頭辞を付されたキーワードが溢れるようになりました。
要するにGlobalization の頓挫なのだと言うことで、私はずっとDis-globalizationという造語で一連の混乱を説明しようとしているのですが、このような単語を使用するたびに私の頭の中では、ますます見えにくくなる”見えない大陸”が霧の彼方に遠ざかっていくようなイメージが浮かびます。
このLighthouseから、この大陸を照らし出して行きたいと思うのですが、この遍く福音をもたらすことが期待出来た見えない大陸の可視化は少なくとも年単位での時間軸の修正を余儀なくされてしまったようです。
まだまだ混乱は続きそうですね。
金融市場の混乱はトレーディングで乗り切る事が出来ますが、実体経済の大規模な衰退は治安の悪化や歴史的にはテロ行為、社会動乱から最悪のケースとして国際紛争につながることがあるのでとても心配しています。
Please protect yourselves at all time. May you all be protected by God.