2009年1月26日月曜日
A seed of sky blue.
2009年1月25日日曜日
Reverse-Beauty Pageant.
敢えて世界経済としたのは、これまでは米国経済の悪化に注目が集まる中で上手くその影に隠れてきた米国以外の地域の悪化が明るみに出ることが目に見えて多くなってきているからです。
ちょっと最近の状況を纏めてみるとこんな感じではないでしょうか。
1 米国が傷んでいるので積極的にドルは買えない。
2 しかし世界経済成長への大口資本の提供者が米国と日本であった為に米国と日本の失速は、日米への資本還流を齎して円高、ドル高となっている。
3 そこにアジア、新興国の失速が表面化してリスク回避モードが更に上昇し、円とドルの上昇を加速させている。
4 アイスランド、アイルランド、スペイン、イタリアと欧州各地の悪化が表面化して国際決済通貨としての米ドルの代替機能が期待されるユーロの足元にも火がつき始めている。
5 失速著しい新興国市場へのエクスポージャーに関しては米国よりも欧州の方がかなり大きいという認識が広まるにつれてユーロも積極的な買い材料に乏しい通貨となっている。
6 英国経済の根深いダメージが次々に表面化しており、2007年にサブプライム問題が表面化した直後の米ドル下落では最大の受益者の一つであった英国ポンドが急落している。
7 米国経済も引き続き悪化しているものの、金融市場は一旦織り込んだ米国経済の悪化への市場の反応は鈍く、むしろ新鮮味のある英国や欧州の問題に対してネガティブな反応をし易い傾向を強めている。
8 通貨市場の不美人投票的な状況が強まるにつれて、通貨のライバルである商品市場に底入れの気配が出始めている。
先週の動きを振り返ると、GBPが対ドルで23年振り安値、対円では史上最安値まで下落しましたが、週末時点での下落幅が対ドルで936pips、対円で1129pips(11円以上!)という暴落状態でした。米ドル回避を主張し続けてきたコモディティのグル、ジムロジャース氏も「UK is finished」という物騒な宣言をして英国ポンド建て資産を全て売却したことを明らかにしています。英国は米国と似ていて不動産市場と金融ビジネスで繁栄していたのですが、破綻したアイスランドを含む世界中からの資本流入が逆流している中で唯一の頼みが北海原油と言う状況に陥っており、これが世界に数ある油田の中で最初に枯渇すると予想される油田の一つである事や最近の原油価格の不振などが先行きに暗い影を落としています。
そのジムロジャース氏の推奨通貨が日本円なのですが、こちらは急騰しており、対ドルで87円台まで上昇した他、ドル以外の通貨に対しても全面高となりました。特に世界中の株式市場が下げ足を早めた週の半ばにかけて円高が加速し、オバマ政権発足と新財務長官に就任したガイトナー氏による本邦当局への介入牽制発言などを通して一時はそのまま走り切る気配さえ見せていました。週末には株価が下げ渋ったためにやや失速して取引を終えていますが当分円高加速は要注意でしょう。
ところで、英国のデイリーメール紙に” We are a nation on the brink of going bankrupt”という記事が出ていましたが、英政府の失敗は、昨年10月に公金投入を中心とする金融救済策を打った際、米国と歩調をあわせて銀行の株を買って国有化するとともに、政府が銀行に無制限の保証を行うことを決めたことだと断定しています。また英大手銀行のうち、ロイヤル・スコットランド銀行グループ(RBS)一つだけで、英国の経済規模の2倍以上の2兆ポンドの債権を持っているなど抱え込むリスクも半端ではありません。事実同銀行グループが2008年度決算で$41bioの損失を計上し、ブラウン首相が政府は金融機関救済の為に追加で$142bioもの資金を投入する用意があると表明したところ上述の通り英国ポンドは急落し、RBS株が68%、Lloyds TSBグループ株が54%,Braclays銀の株が40%も急落しました。先週末発表された指標では2008年第4四半期の英国経済は1980年以来最大となる規模で縮小していた事が明らかになっており英国の失速は当分続きそうです。
混乱はユーロ圏にも飛び火していますが、欧州統合のコンセプトは攻めに強く守りに弱いという側面を露呈しており、景気後退時には好調時には表面化しなかった様々な「統合の歪み」が表面化しています。先週後半にはギリシャの国債は同じ条件のドイツ国債よりも300ベーシスポイント(要するに3%)も高い利回りとなっており、このスプレッドは1999年の欧州統合以来最大の開きです。
また、よく実は米国よりも欧州の方がハイレバレッジ状態にあるという指摘がありますが、具体的に金融セクターの負債合計とGDPの 比率はこのようになっています。
Banking System Liabilities to GDP:
Eurozone 335% [約 $41 trillion]
United States 65% [約 $9.8 trillion]
このレバレッジドマネーは特に新興国や準新興国へ投資されているようで, あるデータによればこれら経済圏の負債合計$4.8bioのうちの実に$4.4bioが欧州からの投資であると言う試算もあるようです。
さて・・・
米国、英国、欧州と問題が山積している中で不美人投票的な円高が進行していますが、日本経済も経済指標の悪化や雇用問題の深刻さは例外ではありません。
ポジティブな評価を競う美人投票ではなく、減点主義的な不美人投票でスタートした2009年ですが、年内にイメージを転換させることに成功して不美人集団から抜け出す美人が登場するかどうかが今年の大きなテーマとなりそうです。
結局それはGoldを代表とする貴金属だろうというシナリオが幅を利かせているのですが、これについても近々掘り下げてみたいと思います。
金だけに、掘り下げます・・・というのは下手な洒落のようですが。
2009年1月12日月曜日
History
2009年は株式市場を中心にやや楽観的なスタートを切った金融市場ですが、年初の正念場は9日の金曜日に発表される米国の2008年12月雇用統計でした。
悪い内容は織り込み済みという事で、年初来のリスクテイク意欲復活シナリオが維持出来るかどうかが最大の焦点でした。
復習しておくと年初来の動きは、以下のようなものです。
株高、貴金属高、資源高、債券安、欧州通貨高、コモディティ通貨高、ドル安、円安。
さて、注目の12月雇用統計ですが、やはり楽観的にはなれない内容でした。
非農業部門就業者数(NFP)が、単月で▲524千人。2008年は第四四半期で▲1.5百万人以上となり、通年では▲2.6百万人以上となりました。これは1945年に第二次世界大戦終結を受けて軍隊の任務を解いた時以来の水準であり、失業率も一気に16年振りとなる7.2%まで上昇しました。
金融市場の方は上記の流れが逆流し、2008年度にVolatilityが爆発的な上昇をした時の絵柄に回帰する形で週の取引を終了しました。
株安、貴金属安、資源安、債券高、欧州通貨安、コモディティ通貨安、ドル高、円高と言う流れですが、例によって強さの度合いから言えば円高、ドル高という順番ですね。
株式市場は今、この市場だけはゼロサムゲームではないとする神話の真偽を試しに来ているといえます。
世界中の余剰資本を吸収し続けた米株市場は、この10年でFlatという水準までっ調整しました。
そして米国をどうこう言っている場合ではない日本株ですが、これは25年間でFlatというより厳しい現実に直面しています。(Buy&Holdの場合です)
ところで、世界中の株式市場がほぼ忠実に米国市場の動向を追いかけている訳ですが、ここまでの買いの主体は、面白いことにインサイダーが中心のように見えます。
個別に見ると2008年度の問題セクターであった金融と資源に関してもインサイダーは緑始めていると言う印象があります。
私が目にする殆どの投資推奨サービスにおいて、現状は人生で一度あるかないかの株の買い時であるとなっています。
ポイントは、景気はまだまだ悪化過程にあると言うことがイコール株式市場はまだ下落すると言うことを意味しないと言うことであり、歴史的にはそれは確かに正しいのです。株式市場は景気拡大の最終局面で弱気相場に入り、景気回復に先んじて底入れすると言うことですね。
新聞を見てもニュースを見ても辛いニュースばかりであり、ここで株を買い始めるというのは勇気がいることなのですが、過去何十年も結局それをやった人が資産を数倍に増やしたと言うのは事実です。(冒頭の通り、Holdしていたら元の木阿弥ですが)
悠久の歴史は繰り返すのか、ここは大きな経済史の曲がり角なのか。
Historyというのは面白い単語で、歴史という意味からの派生で、生存や活動を終えたものと言う意味で使われることもあります。
アニメで流行った、「お前はもう死んでいる」というのは英語では、”You’re already history”と約すのが臨場感が出るわけですね。
さて、どのHistoryを追いかけましょうか?
現時点で私は少し迷っていると言うのが正直なところなのですが、この大きなテーマを今後もしっかりと追いかけていきましょう。
Historyというのは、His storyが詰まった物であり、His(神の)story(話=思惑)なのです。神は金融市場にもう一度機会を下されるのでしょうか。
Oh No......
2009年1月6日火曜日
Happy New Year.
明けましておめでとうございます。いよいよ2009年が始まりました。
金融市場のみならず世の中全体が2007年の秋口から2008年を通して大きな激震を経験したといえると思うのですが、2009年からの数年間は新しい世界への過渡期=橋渡しの時期になるのではないでしょうか。
あらゆる事象は相互に連関するものであり、社会全般、国際及び国内政治、金融市場動向などあらゆるものを貫く共通のベクトルを探して、何事にも早めに対処出来るように心がけていけたらと思っているのですが、その為にも視野の拡大とポイントの把握・分析力を強化するべく頑張って行きたいと思っていますので、引き続き色々と教えて頂ければ幸いです。
1月20日にはいよいよ米国でBush政権が終焉してOBAMA政権が誕生しますが、この新政権の動向と諸政策の成否がきわめて重要なファクターとなることは間違いなさそうです。
時に、今年は丑年(Year of the Ox)ですが、資料を調べるとこの年の説明は次のようなものになっています。
Year of the Ox = This period simolizes for prosperity through fortitude and hard work.
"不屈の精神力と勤勉な努力によって齎される繁栄を象徴する期間"とでも訳せるでしょうか。この干支の定義付けはまさしく2009年の位置づけを明確に示しているように思えてなりません。
更に面白いことに・・・・・・・
このタイミングで運命的にセンターステージに登場するOBAMA新大統領ですが、なんと今年彼は年男のはずなのです。彼は1961年生まれの丑年なのですね。ますます運命的な巡り合わせを感じてしまうのですが、この丑年の人々の公約数的な資質と言うのが同じ資料によると、“invariably solid and dependable” , “excellent organizers”, “systematic in their approach to every task they undertake.” なのだそうです。"軸がぶれず頼り甲斐があり、群集を率いる統率力が高く、どのような課題に対しても清々粛々と取り組むことが出来る"・・・・そんな人達という事ですね。
同じく未曾有の危機に対処するべく未曾有のバランスシート拡大に乗り出すFRBはBernenke議長が就いていますが、こちらもかつて日本に対して積極果敢な量的緩和を提言しHelicopter Benと呼ばれた人物です(大量に日本銀行券を刷りまくってヘリコプターでばら撒く如く資金供給を続けるのだと言う提言内容から来ています)。奇しくも米国自身が量的緩和を行う羽目になった時にこれ以上の配役が可能でしょうか? ここにも運命的な巡り合わせ=天の配役を感じてしまいます。
日本でも総選挙がAnytimeという状態ですが、今年はとにかく世の中が変わり始める時期です。しっかりと追いかけて行きましょう。我々自身にだっていつ運命的な巡り合わせが訪れるかわかりませんしね。
さて・・
今年の元旦の初詣は少し寒かったです。境内のお地蔵様も少し寒そうでした。とにかく2009年もよろしくお願いします。