2009年6月22日月曜日
Stars know what we don"t......?
2009年6月14日日曜日
故三沢光晴氏へのレクイエム
Does "shoot" look greener ?
為替市場における大きな潮流と注目材料について自分なりに整理してみました。
1 金融危機とドル高( ~2009年3月?)
2007年のサブプライム問題、2008年のリーマンショックなどの予期せぬネガティブサプライズによりドルは一旦売られたものの結局はディレバレッジ等のリスク縮小や資産のキャッシュ化によるドルのレパトリを受けてドルは一転上昇に転じました。
米国発の混乱で何故ドルが買われるのかという困惑が当初は多くの為替ディーラーからも聞かれたものですがどうやら4月以降はこの潮流は収まったかに見えます。
2 その後のドル反落の三つの要因(2009年4月~)
4月以降のドル安については主に以下のような材料があったと思います。
1 ドルのリザーブ通貨というステイタスの危機
2 米国の財政赤字膨張速度への懸念
3 所謂”Green Shoot”的な回復楽観論によるリレバレッジ(De-leverage⇒Re-leverage)。
リスクアセットへの再投資によるドル売り。
ドルインデックスは次々にサポートを破られて一時は大暴落寸前でしたがここへ来て一息ついた感じで、体制を立て直して反発に転じる可能性を示しています。
3 直近の市場ドライバー ⇒長期金利とイールドカーブ
金融市場の台風の目は米国の長期金利ですが、10年債利回りが4%台に乗っていくかどうかと言う点に加えて長短金利差が拡大するのか縮小するのかというイールドカーブの動向も為替市場への大きな影響力を持っています。
① 長期金利上昇とイールドカーブのSteep化 ⇒ ドル売りになり易い。
② 短期金利上昇とイールドカーブのFlat化 ⇒ ドル買いになり易い。
長期金利の水準は価格軸、時間軸の両面で分岐点に来ている可能性大という感じです。
更にある米銀のレポートで指摘されているのですが、長期金利は6月にその年のピークを打って反落する傾向があります。
10年債イールドの高値 2005年⇒6月15日、2006年⇒6月28日、
2007年⇒6月13日、2008年⇒6月13日
今年の6月16日にはBRICS会合、23日からはFOMCも予定されており要注意ですね。
4 デレバレッジによるリスクマネーのレパトリによるドル買いの動向について。
上述の通り運用主体の資産配分状況や市場のフロー分析等から判断してこの動きは一旦終了したものと考えられます。
しかしこれは還流するべきリスクマネーが還流しきったという状況ではなく市場は最悪期を脱したという楽観論に基づく小休止或いはリスク資産への再投資の動きによるものであり今夏以降に過去2年のような金融危機第三波的な動きがあればドルのレパトリが再開する可能性は十分にあるでしょう。
5 日本版HIAのモラトリアム的な状況。
当初は大きな円高要因となりうると世界中から注目された日本版本国投資法については当初は積極利用に意欲を見せていた本邦勢の利用状況も低調な状況であると考えられます。
各種ヒアリングに対しても当初制度利用に意欲的な回答を寄せた企業からも最近は明確な意欲後退を示唆する回答が寄せられるようになっており、フロー分析からは寧ろ本制度が適用となる4月以前の方が本邦勢のレパトリ規模は大きく、4月以降は逆に大きく減速している印象があります。海外資産のレパトリについては税制優遇要因よりも足元の資金繰りコストの方が大きなファクターとなっているものと考えてよさそうです。資金繰りがタイトなら海外から資金を引くが、税制優遇はそのインセンティブにはなっていないということです。
来そうで来ない円高の遠因の一つは間違いなくこれではないでしょうか。
6 今後の展望
最近は楽観論が強まる傾向でGreen ShootからGreener Shootという言葉すら目にする機会が増えていますが、①実体経済が市場の期待にこたえられるのか、②ハイパーインフレを起こさない形で現行の量的緩和政策に終止符を打つ出口政策が可能なのか、③株価の大幅反落は本当に無いのか、④長期金利は株価や景気を壊さないのか・・等の不透明材料も多く、今夏以降の金融混乱第三波によるVolatility上昇のリスクは市場の備えを遥かに上回る実現可能性を秘めていると考えても決して大袈裟ではないように思います。株価、コモディティ価格、欧州通貨、コモディティ通貨などが対ドル、対円で下落に転ずる方向に大きな潮流が逆流する展開も十分に頭に入れておきたいところです。
最近は以下のような気になるデータも増えていますが、この動きの引き金を引くのは①株価の反落、②中国経済の失速、③欧州経済の問題の露呈、④回避されたと思われた米国景気の底抜け・・等が考えられるのではないかと思っています。
US imports down 30% YOY
China Exports (YOY)down 26% in May; -23% in Apr; -17% in Mar、 Imports(YOY) down 25.2% in May; -23% in Apr
Germany Exports for Apr -4.8% from Mar; -28.7% yoy Industrial production -2.9% from Mar; -29.3% yoy
Japanese machine orders Apr -12.7% mom; -42% yoy
US mortgage refinancing back to Nov 2008 levels when Fed started campaigning to lower rates
最近は一方向の動きが一日持たずに乱高下する相場となっていますが、6月中には少し風向きがはっきりしてくる可能性が高そうですね。
Stay Tuned.
2009年6月7日日曜日
Exit Policy ?
From Green Shoots to Red Flag ?
From Green Shoots to Red Flag ?
6月5日(金)に発表された5月の米雇用統計は、金融市場に激震をもたらしたばかりかどうやらその結構な潮流を反転させ始めた可能性があります。
5月に加速したトレンドをおさらいして置くと以下のようになります。
1 株高、商品高
2 ドル安
3 円安
4 新興国通貨、コモディティ通貨高
5 欧州通貨高
6 米国長期金利上昇
7 欧州長期金利上昇
8 世界的金利イールドカーブSteepening(長短金利差拡大)
9 世界的株高
これらは総括してしまえば世界経済が急回復はしないまでも少なくとも最悪期は脱して回復期に入っているという金融市場参加者が最大公約数的に共有するメインシナリオに基づく動きでした。雪どけ後の春の新芽の芽吹きに例えてGreen Shootsと呼ばれてきました。
この状況で6月に入り月初のイベントとして迎えた5日(金曜日)の雇用統計ですが市場の事前予想は非農業部門新規就業者数(NFP)が▲530千人、で失業率は9.2%まで上昇と言うものでした。
これに対して北米東海岸時間の午前8時半に発表された実際の数字はNFPが▲345千人と上記予想を大幅に下回る減少数となり、1月の▲741千人からも大幅な改善となりました。失業率のほうは予想の9.2%を上回る9.4%と実に26年振りの高水準にまで上昇してしまいましたのでNFPの改善と痛み分けかと思いきや市場は暴力的にこの内容を好感する動きに出ました。
ここで上記の5月のトレンドは大きな濁流に洗われ始めました。
1 株高、商品高 ⇒ 乱高下
2 ドル安 ⇒ ドルの急反発 ⇒大幅上昇へ
3 円安 ⇒ これは加速 (日本人としては複雑・・)
4 新興国通貨、コモディティ通貨高 ⇒ 急落モードへ
5 欧州通貨高 ⇒ 急落モードへ
6 米国長期金利上昇 ⇒ 加速 ⇒米10年債利回りは4%に肉薄へ。
7 欧州長期金利上昇 ⇒ 加速
8 世界的金利イールドカーブSteepening(長短金利差拡大)
⇒急Flattening ⇒長短金利差暴力的な縮小。
9 世界的株高 ⇒ 黄信号?
最も強烈な濁流は金利市場で生じています。米国10年債利回りは上記の通り一時3.905%まで上昇(終値は3.862%)、30年物T-bondイールドも一時4.718%まで上昇(終値は4.656%)、Fed Fundレートは年内12月までに50bp、来年2月までに75bpの利上げを織り込む水準にまで急騰してしまいました。
失業率が上昇しながらFFレートを引き上げると言う事は歴史的にも常識的にも考えにくい事ですが、金曜日終了時点で市場はそれを見込んだ状態になっていると言う事です。
週明けからの金融市場では各市場でこの雇用統計後の逆流の持続性(定着)と未だ予断を許さない濁流の行方に注目する必要があります。特に何があっても堅調を維持してきた株式市場に変調が起こるのかどうか、その場合はテクニカル的にはトレンド加速初期とも見える円安バイアスは我が道を行けるのかという点が為替市場では焦点となるでしょう。
このオープンインタレストの急増を見てもドル売りも行き過ぎていたと言う事でしょうか。
Green Shootsシナリオは乗り遅れる恐怖をばら撒きながら当初懐疑的だった投資家やトレーダーをその渦の中に取り込む形で勢力を増してきました。週末は明け方にカナダドルの損切りオーダーがついて私のGreen Shootsも終わりました(笑)。長期金利上昇のダメージをイールドカーブのSteep化(短期金利は低いまま)で凌いできた世界経済や株式市場は金曜日の短期金利の急騰のダメージをどのように消化するのか。
From Green Shoots to Red Flag.
6月相場待ったなし・・・・でしょうかね。