2009年11月15日日曜日

Time to play it safe ?

米国でお世話になった先輩が先週から日本に出張中で何度か電話をくれました。本来であれば直にでも会うところなのですが私の体調が回復途上なのと彼も四国だ東北だと飛び回っていて中々東京にいないという状況で中々タイミングが合わないのです

大手老舗のHFに身を投じ、ファンドマネージャーとして活躍された彼は今はRM的な立場で国内の機関投資家を回って投資のセールスをしているのです。

 


「大変だけど忙しいのはありがたいことだ」という話をしながら今年のマーケットの話をしたのですが、今年は極端なリスク回避がピークアウトした3月以降はリスク資産が大きく持ち直す流れが約8ヶ月も続いているのですが終わってみれば単純とも思える動きであるにもかかわらずその過程では中々先の読み難い局面が多かったという感想で一致しました。

 実体経済は悪いのに金融資産は堅調という状況下で、恣意的にポジションを取る勢力は大抵はどこかで株を売ったりコモディティで逆張りしたりという事をして火傷をしていますが、恣意性を排除したモデル運用の世界でも今年は意外と不調のモデルが多いと言う話を聞いて少し驚きました。この先輩自身のモデルも昨年は約50%弱というハイマフォーマンスを出したものの今年はマイナス10%を少しきる程度で推移しており、2月に彼の判断でレバレッジを落としていなければかなりマイナス幅が増えていたとの事でした。


運用モデルは年々複合化・複雑化していますので例えば昨今のように金は上昇、原油は下落、株・債券は歴史的なトレードオフ関係を忘れたかのように仲良く上下するという環境ではマルチファクター部分が立ち往生してしまうという事だったのかもしれませんね。

通貨の選択に関して、「不美人投票」という言葉がよく聞かれたのも今年の特徴でしょうが、彼はこれがより広範な資産選択の場で起きており、彼の表現を使えば「消去法の相場」という展開の背景にあるのが「過剰流動性」という事になるのですが、こういう話をすると今回の出張も含めて米国内外の投資家達からは強い賛同が得られるのだそうです。


この過剰流動性というものがある限りお金をどこかに置かないといけない立場の人々はどうせならと言うことでハイベータと呼ばれる高いリターンの見込める領域にお金を置くと言うことで新興国や貴金属が受益者であり続ける構図が出来上がって来たのですが、ここから流れが一時的にでも変わるとすればそれは時間軸要因と言うことになるのではないでしょうか。


海外勢によるサンクスギビング、クリスマス休暇、年末に向けた恒例のリスク縮小は特に流動性の低いところから行われる傾向があります。11月も中旬に差し掛かるこれからはちょっとしたチキンレースが始まるのかもしれません。出来るだけ無難且つ安全にリスクを縮小したいがハイベータ資産に年内もう一段の上昇があるならそれも享受したいという立場での神経戦ですね。


あまり欲張ると美味しかった筈の果実から最後は指を噛まれることになりかねないので注意した方が良いかもしれませんね。

 OUCH!!

Time to wash your hands of some high-beta things now???

日本語では足を洗うのですが、英語では手を洗うと表現するのは面白いですね。これも聖書から来ている表現なのですが。

Stay tuned.