2017年10月8日日曜日

Employment Loss vs Wage Increase.

経済指標の流行り廃りは時代と共に移ろうもので、元号が昭和だったころの為替市場では、雇用統計というものは注目度が低く、市場の注目は圧倒的に貿易統計だったそうです。

貿易黒字の国の企業は外貨をたくさん獲得しますが、自国通貨で利益確定をするので通貨が上昇します。貿易赤字なら輸入超過状態なので、外貨を調達して支払いに充てるため、通貨が弱くなるわけで、貿易統計が大きく市場を動かしていた時代はある意味非常にわかりやすい時代でもあったのだと思います。

やがて平成になると、貿易統計は影響力を失い始め、その地位を雇用統計に明け渡す流れとなりました。

面白いのは、その雇用統計の中でも、当初は失業率が注目され、やがて非農業部門雇用者数の増減が圧倒的な影響力を持つようになりました。そして少し前から、平均賃金の伸びというものが雇用者数の増減を大きく脅かす影響力を獲得してきました。

10月の米雇用統計を受けた為替市場の値動きは、まさにこの変化を象徴するような値動きだったのではないでしょうか。

指標発表と同時に各メディアがヘッドラインニュースを飛ばしますが、雇用者数がまさかの減少となっていた事から市場は一気にUSD売りで反応してもよかったのですが、直後の値動きはUSD買いで、平均時給改善を好感した動きとされています。
 その後、ハリケーン被害のせいだとわかってはいても流石に雇用者数のまさかの減少でUSD急騰はないだろうという巻き戻しが入り、多くの為替トレーダーがむち打ち症になるような逆行現象が起こりましたが、非常に難しい相場だったとしか言いようがありませんね。(実は誰かのオペミスだったというオチはあるのでしょうか・・)
EURUSD 1H

USDJPY 1H
USDCHF 1H
まともな投資家は、米雇用統計の日には自動売買を止めていますが、逆にこの日だけ動かす自動売買用のプログラムを走らせる個人FXトレーダーが増えていると思います。短期決戦で動いた方に逆指値を使って大きめのポジションで乗っかるという単純な仕組みですが、今回は瞬時に利益を確定できなければ、強烈な鉄拳制裁を食らうような流れだったのではないでしょうか。

いずれにしても時代の変化には色々な感慨がありますね・・・