2007年4月30日月曜日

軍師とストラテジスト

Global Macroの中心地であり続ける米国市場で珍しいDecouplingが進行中です。

史上最高値更新を続ける株式市場と複数あるドルインデックスの一部が史上最安値を付けると言う現象が同時進行しているのですが、これは非常に珍しいことです。
 2005年度の日本市場における日経平均の上昇と円安進行のMIXは、類似点も多いのですが、双方が史上最高値や最安値を更新するというものではありませんでした。

Ample Liquidity と Friendly Credit を車の両輪として米ドルと日本円に対して世界中のAsset市場が上昇するという全体像の中で、上記のDecouplingが起きているのです。

通常は、株式市場と通貨のパフォーマンスは同じ方向を向くものなので、このDecouplingも株が反落するか米ドルが反発するかで解消されるのが普通なのですが、今回はこの見極めが特に難しいということでヘッジファンドや金融機関のストラテジスト達も非常に苦労しています。

そんな事を考えながら週末の大河ドラマ風林火山を見ていて思ったのですが、中世の軍師というのはまさに現代のストラテジストといってよいのではないでしょうか?

軍師の代表格である山本勘助は、海津城の武田軍と妻女山の上杉軍の睨み合いが長期化する困難な状況下で有名な”啄木鳥作戦”を考案しますが、これを上杉軍に完全に読みきられた事で武田軍は前半戦で壊滅的なダメージを蒙り、山本勘助も責任を取るかのように討ち死にしました。

”あてずっぽう”や”えいや”で物事を決めることを表す”山勘”という言葉の語源になったと言われている事は不本意かもしれませんが、やはり不透明な状況の中で仮説という絵を書いてさらにそれを実行に移すという大仕事を成し遂げた事は絶賛されてしかるべきではないでしょうか?

個人的には上杉謙信を崇拝する私ですが、金融市場でも戦争でも・・・そして人生でも・・・勝負どころでは決断力と実行力が全てだと思っているので、山本勘助も見事だったと思います。

現代におけるストラテジストという仕事も全く同様ですね。