2007年8月19日日曜日

The last man standing: もう1つの本丸

これは心から驚くべき事であり、敬意と賞賛以外の感情は待ち得ません。

Old soldiers never die, they just fade away.

老兵は死なず。ただ消え去るのみ・・・と言ったのはマッカーサーだったと思いますが、この人の場合は
The old investor never dies, he is always there standing firm. とでも称えれば良いのでしょうか。

Oracle of Omaha.(オマハの賢人)という愛称をも持つWarren Buffet氏の事です。

普段から優良銘柄の購入対象をリストアップしておいて、市場で予想外の事象が起きて相場全体が文字通り糞味噌一緒に値下がりする局面で人々が恐怖感から損切り覚悟で放り出す優良銘柄を拾い捲ると言うValue投資の大御所的カリスマですが、今回の大幅な下げ相場の中でこの人の凄さが際立っているのです。

今回もこの人が株を買い捲っていると言う事ではなく、恐怖感から何をして良いかわからなくなった投資家たちが助けを求めるようにこの人にお金を差し出していると言う図式が見えるのです。

数字で示すとこうなります。株価の下落が加速し始めた7月16日の週からの丁度一月ほどの期間のデータです。

Dow jones ▲7.3%
S&P500  ▲8.0%
Berkshire Hathaway +3.2%

このBerkshire Hathaway というのは、Warren Buffetの経営する投資会社の株です。前稿では世界中の株式市場が下げる中で涼しい顔をして来た中国株をGlobal Investorの最後の砦であり本丸であると書きましたが、今回の騒動の大元であるSubPrime問題の震源地でもある米国の株式市場における同社株のパフォーマンスの異常ともいえる突出振りは説明の必要はなく、まさにもう1つの本丸であると言えるでしょう。

株式市場に投資をしている人は、利用しているWEB上で、そうでない方でも例えば http://www.cnbs.com/ 上などで銘柄コード(Symbol)→ brk.a という銘柄を指定してチャートをご覧ください。

一株が118,500ドルという水準で金曜日の取引を終了していますが、これは同社の株価としても52週高値を更新するレベルです。強調しますが、この状況下で高値を更新する銘柄と言うのはカリスマと言う以外に形容のしようがあるのでしょうか?恐らく一株で10万ドル以上と言うのも依然この会社だけではないでしょうか。
 彼は木曜日の夜にインタビューされて、"Every turmoil is a great opportunity"という名言を吐いているのですが、これも多くの投資家をして自分は最早ノーアイディアだけどこの人に任せれば何とかなるのではないかという気持ちにさせたのかもしれません。

Value投資の保守本流と言って良い同氏の数ある名言の中で、好きな言葉の一つに以下のような発言があります。

The price is what you pay, the value is what you get.

投資という意味でも重みのある言葉ですが、人生の全てにおいて拡大適用出来るし、自分なりの解釈で運用する事も出来ると思っています。

例えば、10人が同じ物を同じ値段で購入したとすると、各人が支払った金額は1つでもそれぞれが得た効用は10通りであると読む事も出来るし、失敗を教訓として生かすと言うような局面でもそこから何を学び取るかは各人次第であると言う意味でも使えるでしょう。

こういう深みのある言葉が、薀蓄とか含蓄とかいうのですかね?

人生でも投資でも自分の価値観を磨いて成長し続けたいものです。

その蓄積があれば、Buffetのように老齢になっても難局でこそ真価を発揮できるようになるのでしょう。

カリスマValue InvestorのValueの凄み。 今回はそんな話でした。 

頑張りましょう。