2008年12月21日日曜日

When Deserts Have Snow of Vanity...

先週後半は、実に30年振りにあの常夏の街ラスベガスに降雪があったという異常気象でしたが、結局東海岸でも大雪となりNY辺りも大変な事になっていると言う連絡がありました。雪嵐が来るということで学校などは朝から休校となったようですが出勤しなければならなかった人々は大変だったのではないでしょうか。

そう言えば今年はイラクのバグダットにも降雪があった筈ですが、あちらは確か100年振りだったようです。なんという年なのでしょうか2008年というのは・・・

2008年は年初直後から3月までが大荒れ、4月~6月の調整過程を経て7月以降が再び大相場となりました。ファンド業界の壊滅的凋落、株式市場、商品市場の崩壊的下落、新興国経済の後退、中国、アジアの失速、Wall街のビジネスモデル(投資銀行というやつですね)の崩壊と消滅(全て破綻か普通銀行へ転身してしまいました)、そして大部分の市場参加者の予想に反する米ドル急上昇などの波乱に次ぐ波乱という年だった訳ですが、天候の方も数十年振りというレベルの事象が頻発していると言うことでしょうか。

やはり全ては包括的な天のシナリオの時間軸の中で起きている事なのでしょうか? 個人的にはそのような感慨が強まるばかりです。そしてその枠組みの中で今年に入ってから自分自身や自分の身の回りで起きた事を見直してみると時空を超えたメッセージが読み取れる・・・・? なんて事もあるのかも知れませんね。


さて、先週の金融市場ですが、週初からいきなりFOMCがやってくれました。1%まで引き下げてきたFF金利(Fed Fund Rate)を大方50bp、一部が75bpという予想利下げ幅を飛び越えて誘導目標金利を0%0.25%に設定すると言う事実上のゼロ金利政策への転換を宣言し、住宅市場のサポートとして大量のエージェンシー債やMBSを購入する旨も明記してバランスシート拡大という米国型の量的緩和政策を明確にしました。


ややこしいので補足すると、これはかつて日本が行った「量」を目標とする量的緩和とは異なるアプローチであり、FRBのバランスシートの拡大は市場機能の目詰まり現象により機能停止状態となったアセットに直接息吹を吹き込んで機能回復を働きかけると言う手法です。

これで追い込まれたのが週末に政策決定会合を控えていた日銀サイドでした。世界中が手本のように考えているかつての日本のゼロ金利政策と量的緩和と言うアプローチについては、政治サイドやMOFサイドが国際舞台で日本の経験をアピールするのとは対照的に日銀サイドではどうも悪夢の記憶として位置付けられているかのように見えます。


FOMCの大胆な踏み込みに加えて、大幅に悪化した日銀短観という材料を抱えながらも日銀内部にはゼロ金利や量的緩和はおろか今回既に0.3%しかない政策金利を更に引き下げると言うことにすら大いなる抵抗があったようです。


かつてのゼロ金利や量的緩和は飽くまでも異常な状態であって、その後の正常化プロセスには多大な時間とコストが掛かったというトラウマからイデオロギー的に拒否反応があるというところでしょうか。


JGB市場は完全に利下げを織込んでいたのですが、二日間の日程の初日を消化した時点でどうも雲行きが怪しいという話が出た為に二日目に入り市場の織込みは60%くらいに後退するという動きとなりましたが、結果として政治サイドと日銀サイドの妥協点だったかのような0.2%の利下げ(0.1%だけ残しました)と予想通りのCP買取および輪番オペの拡大と言う結果となりました。


記者会見では「ゼロ金利とは違うし、量的緩和でもない」、「長期債の購入はするが長期金利を低下させる意図は無い」等と相変わらずイデオロギー論を展開していたのですが、円債市場からも言動不一致が指摘されるなど評価はお世辞にも高いものではなかったようです。


大きな注目を集めた上で結婚式と披露宴までやっておいて、記者会見で実はこの人が好きな訳ではないとでも言ってしまったかのような印象を私も抱きました。


さて・・・・・

世の中で起きた事は、なんと言っても①米国債バブル、②ユーロバブルの二つでしょう。



①の米国債バブルですが、かつてGreenspan議長が短期金利(FF金利)をいくら引き上げても長期債が買われて長期金利が低下してしまうジレンマをConundrum(難問)という言葉で表現した事に対するウルトラC的な対応としてBernenke議長はバランスシート拡大の中で長期債の購入等にも道を開いて長短金利差のイールドカーブその物を金融政策の操作対象としてしまいました。これを受けて一部でマイナス金利なども話題となった米国債市場のバブル的な上昇は継続中です。


 


 この角度はバブル・・・ですね。

②のユーロの上昇ですが、正式には乱高下と言うべきでしょうか・・・


週初のFOMCの決定後に加速したユーロ上昇は凄まじい勢いでした。



今年のユーロの動きをおさらいすると最高値が1.6038715日)、最安値が1.23291028日)で、そこから徐々に切り返してきた相場が今週加速したわけです。


1210日⇒1.30回復。1215日⇒1.35回復。1216日⇒1.40回復。1218日⇒1.4720まで上昇。1219日⇒1.3819まで下落。


上昇も凄いのですが、最後は一日で900ポイント以上の反落をしています。


米債といい、ユーロといい・・・どうですかこれ?


砂漠に雪が降る時にはこういう事が起こるのでしょうか。英語では滅多に起こらない事の例えで、When hell freezes over(灼熱の地獄が凍る時に・・)という表現を使う事がありますが、今後は、When deserts have snow等と言ってみようかという気になる一週間でした。

この雪はちょっと虚しいのですが・・・