2010年5月16日日曜日

There's so much we do not know yet.

現状の市場センチの悪さの背景の一つに極度の不透明感があると思いますが、その少なからぬ部分は結局足元で起きている事の背景にある”何か”が見えてこないと言う事から来ていると思います。

1 先週木曜日の株価の下落は実際何だったのか?

2 株価が998ドルも下げた後で700ドル程急回復した背景は何か?

3 週末の大規模なギリシャ支援策と欧州の債券買取発表の背景は何か。特に数日で宗旨替え  
  をした格好のECBに決断を迫ったものは?

1に関しては当初FAT FINGER(電子端末上の誤注文)と言う噂が流れていました。それもCITIのトレーダーによるもので、売り注文の入力でmillionとbillionを間違えた等といかにも尤もらしい話になっていたのですが当のCITIが調査までしてこれを明確に否定し、一転AlgorithmやRobotと言われるプログラムトレードの誤作動もしくは同時多発的な損切り執行注文のせいだという説が有力になりました。  
 当局の調査は継続中ですが現時点で明確な見解は出されていません。その後はCITIの名義と信用を借りて市場に出てくる(Prime Brokerという契約方式です)ヘッジファンドの誤注文だったと言う説も出ていましたが週末にはWaddillというミステリアスな名称のEntityから大量の売り注文が執行されていた事が判明したと言う報道が出ています。このWaddillというのがどういう人(達)なのかは調査が継続されるようですが、何か非常に込み入った背景がありそうです。

2に関してはBlack Monday以降に仕組みが出来上がったと噂される急落防止システムが発動したと言う憶測が根強く広まっています。これはWhite Houseも関与する殆ど国家機密レベル(?)の仕組みでありPlunge Protection Program等と呼ばれる事もあります。

3に関しては事態を放置すると(=つまり週末に思い切った施策を発表しないと)週明けにも破綻する組織があり、それを回避するために緊急的な対応をしたと言う説や最近では週末に行われたG7による電話会議で既存の枠組み内で事態に当たろうとしていた欧州当局者の認識の甘さを日米(特に米国が)厳しく糾弾してインパクトのある数字を出させたという話も出てきています。

1に関しては私もFat Finger説は消えたと思っています。Waddillというのは殆ど覆面組織と言う気がしますが注文の規模からして結構な大所のAgentの可能性がありそうです。2に関しては噂されているようなプログラムの発動があった可能性は個人的には高いように思います。市場はそれを確かめに行くような再下落を見せるリスクも否定出来ないのではないでしょうか。3に関してもいかにもありそうな話です。

いつかそう遠くない将来には真相が判明しているのだと思うのですが、このような灰色の霧に覆われた金融市場においてあっさりとRISK-ON相場が回復する可能性は殆ど期待出来ないものと考えます。

当面はInvestorもTrader並みの機動力が求められる状況が続くのではないでしょうか。