2010年8月29日日曜日

Top FX movers last week.

先週の主要通貨ペアの変動率トップ10ですが、以下の順番になりました。

先週の金融市場を大雑把に総括すると、週の前半では悲観ムードが先行しました。

①株式市場下落、
②長期金利低下、
③スイスフランと日本円の独歩高、
④対円、対スイスフラン以外では米ドル堅調でドルインデックスも上昇

という展開となりましたが、週の後半には調整色の強い膠着相場となり終盤には楽観ムードが回復したとは到底言えないものの過度の悲観ムードが後退する展開に上述の①~④の動きにも結構な調整が入って越週しています。

従って色々な市場が前半と後半(特に終盤)では逆方向の動きをしているために週の始値と終値の比較では意外と変動幅の小さい結果になっている感じです。

 通貨ペア 先週終値 前週終値 変動幅(pips) 変動率(%)


AUDCAD   0.9442   0.9359    +83     +0.88%

NZDCAD   0.7460       0.7398         +62             +0.83%

CADJPY        81.07         81.68           -61              -0.75%

EURCAD      1.3405        1.3310        +95              +0.71%

GBPCHF       1.5958       1.6067        -109             -0.68%

GBPNZD       2.1832       2.1965        -133            -0.61%

GBPAUD      1.7269        1.7370        -101           -0.58%

USDCHF      1.0278        1.0338        -60             -0.58%

NZDUSD      0.7104        0.7063       +41            +0.58%

AUDUSD      0.8988        0.8937       +51           +0.57%

危機モードで買われる傾向が定着しているCHF,JPY,USDがリスト上のペアの下落する側の通貨として登場する回数が多い事が特徴的で、それだけ最後はリスク回避ムードが緩和されていく展開になっていた事がわかると思います。
 
背景は、本邦当局による円高阻止の追加金融緩和と市場介入への警戒、米FRBのバーナンキ議長による必要に応じて追加の緩和を行うというメッセージ、ただし議長自身は景気動向に関しては先走る市場ほどには悲観的ではなかった事等が上げられると思います。
 
今週は週初から日銀の臨時会合と新たな金融緩和策の発表や市場介入を巡る官邸、財務省、日銀の動きに注目が集まりますが、月末に向けた需給は円買い方向に傾いている可能性が高いので要注意でしょう。
 
週央に月が替わってしまえば、一気に金曜日の米雇用統計へと焦点が移ると言う非常に神経質な相場展開となりそうです。

2010年8月23日月曜日

Lessons we should take to heart.

Druckenmiller氏の過去の言動の多くは彼のLegacyとして金融市場に引き継がれていくことでしょう。そしてその幾つかは、たとえ New Normal とやらで金融市場の在り方が大きく変化したとしても不変の重要性を持ち続けるのではないでしょうか。

前回に続いてDruckenmiller氏の言葉を咀嚼してみたいと思います。
"I have leaned many things from Mr.Soros, but perhaps the most significant is that it is not whether you're right or wrong that's important, but how much money you make when you're right and how much you lose when you're wrong."
(意訳)⇒ソロス氏からは多くを学んだが、恐らくその中でも最も大切な事は、重要な事は自分の戦略が正しいか間違っているかではなく、正しかった時の収益をどれだけ極大化出来て、間違っていた時の損失をどれだけ食い止められるかだと言う事だろう。

投資やトレーディング以外のビジネス全般にも適用出来る教えだと思います。また私はこれを読んだ時に、直にMartin Luther King Jr.(キング牧師)の次の言葉を連想しました。

"When you are right, you cannot be too radical; When you are wrong, you cannot be too concervative."
(意訳)⇒あなたが正しい時には積極的過ぎる事はない、あなたが間違っている時は控えめ過ぎる事はない。

う~ん・・・マンダム・・・(古い・・) と思うのでありました。まだまだ学ぶべき事が多いし、理解はしていても実践出来ていないことも多いのは恥ずかしい限りです。

Salue to Mr.Stanley Druckenmiller : Seeing off another legend.

従来の常識では普通ではない事が普通の事になるという現象があちこちで起きています。当初は一時的な現象として捉えられていたこれらの現象が長期定着し始めると、人々はそれらに適当な理由付けと正当化を行い"New Normal"という表現で常識の書き換えを行ってきました。

金融市場でもNew Normalと呼ばれる現象が色々起きているのですが、こういう時代の変わり目には世代交代も加速されると言う事なのでしょうか。

先週の8月18日(水曜日)にStanley Druckenmiller氏が突如引退を表明しました。George Soros氏の片腕としてヘッジファンド業界の勃興から全盛期の生き証人でもある同氏の引退は同業界が今後縮小期に入っていく事を暗示しているのかもしれません。

実は、同氏の引退表明はこれが二度目で、一度目は2000年にSoros氏のQuantum Fundを離れる時にも一度は引退を表明していた筈です。その年は1989年以来驚異的な運用実績を残してきたQuantum Fundが初めてマイナスとなった年でもありました。

結局Druckenmiller氏は自身でDuquesne Capitalというヘッジファンドを立ち上げて活躍してきたのですが奇しくも今年に入り同ファンドの実績が始めてマイナスとなっている事を理由にファンドを清算して投資家に資金を返還し、自身も潔く引退すると言う道を選択したと言う事のようです。

"While the joy of winning for clients is immense, for me the disappointment of each interim drawdown over the years has taken a cumulative toll that I cannot continue to sustain,"
(意訳)⇒これまで顧客資産を増やしていく喜びは大きいものでしたが、その過程で度々経験して来た資産減少時の焦燥と失望による心身のダメージの蓄積により今後の事業継続を困難と判断しました。

彼が今回投資家に当てたレターの中の言葉ですが、ここに巨額の顧客資産を預かるヘッジファンドの責任者としての重圧が滲み出ているように思いました。

3回ほど彼のファンドを訪問して直接会うという幸運にあやかりましたが、実は同氏を含めて先方のスタッフ誰一人として一度も笑顔を見せたことはなく組織全体に暗い印象を持っていたのですが、今思えばプロ中のプロとして大変な重圧と責任感を絶えず背負い続けていたと言うことだったのかと思っています。

欧米からアジア、新興国の時代へ・・・・世界経済の変遷とともに金融市場でも新たな時代が来ているということなのでしょうか。

Top Fx movers last week.

先週の主要通貨ペアの変動率ベースでのトップ10です。


通貨ペア  先週終値 前週終値 値幅(pips)変動率(%)


CADCHF   0.9867   1.0083   -216         -2.19%

EURCHF   1.3141        1.3402       -261                     -1.99%

GBPCHF       1.6067        1.6385       -318                     -1.98%

USDCHF      1.0338        1.0508       -170                     -1.64%

AUDCHF     0.9239        0.9381      -142                      -1.54%

NZDCHF      0.7302        0.7412      -110                     -1.51%

CADJPY         81.68          82.71      -103                     -1.26%

GBPJPY        132.95        134.40      -145                     -1.09%

EURJPY        108.82        109.92      -110                     -1.01%

CHFJPY          82.78          81.99       +79                    +0.95%

驚くべき事にUSDが登場しません。全てがクロス取引であり、更に1位~9位の全てのペアにCHFかJPY上昇する側の通貨として登場しています。そして極めつけは10番目にこのCHFとJPYの直接対決があるのですがCHFに軍配が上がっています。

先週はドル円、ユーロ円などスイスフラン円以外では全てが円高であったと言う事になるのですが、CHF円だけは陽線だったと言う結果になっており、CHF(スイスフラン)が猛威を振るったという週であったことが分ります。

Reality is taking over....

 先週は横綱級の経済指標こそ無かったものの、発表された関脇・大関クラスの経済指標が大きく景気減速を示す内容だった事を嫌気してリスク資産から安全資産への資金移動が加速しました。この資金は主に究極の安全資産と言う位置付けの米国債に雪崩れ込んだ為に米国市場内では米債が上昇(利回り低下)、米株は下落、米ドルは上昇となっています。以下は米国30年債の価格チャートですがこれはもう債券バブルと言うしかない状況になってきました。
米国の失速は素直にドル売りになる時と先週のようにドル買いになるケースがありますが、前者は世界経済は好調で米国は失速という環境下で起こり易く、後者は米国以外の地域も悪いと言うケースで起こります。先週は後者のパターンになっていますが、これはストレステスト消化後に強味を見せていた欧州経済に息切れが目立ってきた事やECBの中でもタカ派として知られているWeber理事から かなり弱気な発言が相次ぎ、ECBが緩和措置を長期間継続せざるを得ないという見通しが示された事が大きいでしょう。この人は実際にTrichet総裁の後任となるECB総裁レースの筆頭候補ですので影響も大きかったという事でしょう。
  全体的には、欧州のストレステストの消化を境に一時は楽観ムードが先行していた金融市場において、徐々に楽観ムードが後退し先週辺りから明確な悲観ムードも再台頭してきている状況です。

ストレステスト後は急速に縮小していた欧州内の周辺国とドイツ国債のスプレッドも最近は再び拡大傾向が鮮明になってきました。 先週は特に木曜日の北米時間に発表された先週の米失業保険新規申請者数 が久し振りに500千人を越え、フィラデルフィア連銀景況感指数も2009年7月以来となるー7.7%という予想外の悪化となりました。これで米株市場は急落、米国への資金還流から米ドルは上昇と言う流れになっています。

 また資源国は堅調かと言うとカナダのCPIが予想外に弱かった事が影響してしまい、米国や欧州から資源国に資金が移動する所謂Risk-onというような潮流を作る事は出来ませんでした。為替市場でもユーロとカナダドルが最弱通貨を競い合う展開の中でドルと円が上昇すると言う流れが定着していきました。
 1.1875から1.3336まで急反発した後は反落傾向だったユーロはテクニカル的にもサポートを割り込んでおり、今後は下げ足を早める可能性が高そうです。

15年振りの水準を達成している円高については別項で考察しましょう。

2010年8月15日日曜日

Food for thoughts.

Current Affairs. Economic Policy?

So many things, both good and bad,positive and negative, keep coming and going in front of our eyes in the financial market. Here is one of those things that was in circulation last week. Read on and you will be the judge.

It is tough times and everybody is in bebt and lives on credit.

Suddenly a rich tourist comes to town.
He enters the only hotel, lays a 100 Euro note on the reception counter and goes to inspect the rooms upstairs in order to pick one.

The hotel owner takes the 100 Euro note and runs to pay his debt to the butcher.

The butcher takes the 100 Euro note and runs to pay his debt to the pig grower.

The pig grower takes the 100 Euro note and runs to pay his debt to the supplier of his food and fuel.

The supplier of food and fuel takes the 100 Euro note and runs to pay his debt to the town prostitute that, in these tough times, gave her service on credit.

The hooker runs to the hotel and pays off her debt with the 100 Euro note to the hotel owner to pay for the rooms that she rented when she brought her clients there.

The hotel owner then lays the 100 Euro note back on the counter so that the rich tourist will not suspect anything.

At that moment, the rich tourist comes down after inspecting the rooms and takes his 100 Euro note back into his wallet.

"None of the rooms here was to my liking." says the torist and leaves the town.

Nobody earned anything, however, the whole town is now without debt and looks to the future with a lot of optimism.

Does it scare the hell out of you if that is exactly how the big economies now are doing business today ??

Top FX movers last week.

前項でも述べましたが先週はユーロ反落、米ドル反発、日本円上昇、資源国通貨失速という絵柄になっています。週を通した主要通貨ペアの終値ベースの変動率トップ10は以下のようになります。

通貨ペア 先週終値 前週終値 変化幅 変化率(%)


EURUSD      1.2753         1.3278        -525      -4.12%


NZDUSD      0.7054         0.7329        -275      -3.90%


EURJPY        109.92        113.52        -360      -3.28%


NZDJPY         60.80          62.66         -186      -3.06%


EURCHF       1.3402        1.3794        -392      -2.92%


AUDUSD      0.8927        0.9180        -253      -2.83%


NZDCHF      0.7412         0.7611       -199      -2.68%


EURCAD      1.3284         1.3637       -353     -2.66%


NZDCAD      0.7345        0.7523        -178     -2.42%


GBPUSD       1.5592        1.5940       -348      -2.23%

Top10の変動が全て下落方向なのですね。そしてペアの中で下落する側の通貨として登場するのが欧州通貨が5回、資源国通貨が5回となっています。上昇する側で登場する通貨は米ドルが4回、日本円が2回ですので、いかに先週は日米が欧州や新興国を圧倒したかがわかると言うものです。

繰り返しますが、円高に関しては相当周辺が騒がしくなってきました。本邦東京による円高阻止の姿勢が明確になってきているので2004年以来の為替介入の有無を巡る思惑に円が翻弄される1週間が始まろうとしています。

A Week of Potential Reversal.

先週は金融市場における重要週となったようです。幾つかのイベントを消化して多くの市場が持続的なトレンドに入った可能性が高いと思います。
先ずは日米の先週の大きなイベントの復習から見て行きましょう。
・FOMC 
今回も予想通り政策金利は0%~0.25%というレンジに据え置きました。更に設備稼働や雇用回復が低水準に留まっている事、将来のインフレ期待が抑制されている事等を理由として明確な景気回復見通しの後退を宣言した声明文を発表しました。
 また注目されていた新たな金融緩和策としては、第一弾として実施されていたMBS証券買取の期日到来分の再投資と投資対象を米国長期債に絞ると言う量的緩和第二段とでも言うべき政策の発表を行いました。
・官邸/MOF/BOJ
菅首相を含む閣僚や高級官僚の多くが夏休みを取っていた期間に円高が進行しました。節目と目された85円を割り込んだドル円は一時84.72まで下落した後85円台に小戻し下状態で揉み合っていましたが、産業界の声やメディアからの批判に背中を押されたのか本邦政治、金融当局の中枢レベルに大きな動きがありました。
 休暇中だった菅首相が仙石官房長官に電話で指示を出したとの事で、その後は多くの政治家や官僚レベルからの口先介入や当局から金融機関への状況紹介(一般にレートチェックと呼ばれる行為)が繰り返されました。わざわざ休暇明け直後の野田財務相が緊急会見を開いたり、週明けには菅首相と日銀の白川総裁が意見交換をするという発表が行われており、週明け以降の動きからも目が離せなくなってきました。
これらの動きを受けた金融市場ですが、特に注目される動向として以下の動きが挙げられるでしょう。
・株式市場の反落
 株式市場は大きく反落に転じています。FRBの第二ステージの量的緩和を好感するシナリオもあったのですが、結果的には高値を付けてから反落と言う動きとなりました。背景としてはFRBがそこまでやらなければならないほどに景気実態は脆弱なのだと言う事実に市場が気が付いたからという分析と市場はFRBにもっと踏み込んだ対応を期待していたので失望売りが出ていると言う解説に分かれています。
・為替市場の反転
為替市場ではユーロが反落、米ドルが反発という展開になっています。豪ドルなど資源国通貨も対米ドルで失速しており、あらゆる通貨に対して広範な円高相場となっています。
・長期金利 続落
長期金利は世界的に続落。さらに金利低下(=債券の買い圧力)が長期ゾーンにシフトして来ています。投資家的に表現すればデュレーションの長期化ということになります。米国債券の10年物利回り低下は3%を切っても止まりません。本当に2.5%を目指しているものと思われます。
・商品市場は斑模様
商品市場は金価格が安定感抜群と言う感じで堅調推移を保っている一方で原油価格などは大き目の下落をしています。またロシアの年内輸出禁止などの措置により一時は高騰しかけていた大麦、小麦などの穀類の価格も上値が重い展開になっています。インフレよりデフレのリスクが台頭しているとあっては商品価格の上値が限られるのは当然とも言えるでしょう。
以上のような流れが先週の動きですが、株、商品、為替においてトレンドに転換が見られています。今週の動向にも注目が必要ですが、特に為替市場における円高の動きに関しては今週は非常に重要な週となりそうですね。

2010年8月9日月曜日

Top Movers Last week

先週の通貨ペアの変動率上位10ペアは以下のようになります。

通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(Pips) 変動率(%)


EURUSD  1.3278   1.3050    +228      +1.72%

GBPUSD  1.5940   1.5684    +256      +1.61%

EURCHF  1.3794   1.3585    +209      +1.52%

AUDUSD  0.9180   0.9043     +137               +1.49%

EURCAD    1.3637      1.3434         +203              +1.49%

GBPCAD    1.6374      1.6144         +230             +1.40%

GBPCHF     1.6557     1.6326         +231             +1.40%

AUDCAD    0.9431     0.9306        +125             +1.33%

AUDCHF    0.9528     0.9411        +117             +1.23%

USDJPY     85.48       86.45            -97              -1.13%

ドル円がやっと10番目に登場ですね。国内で騒ぐほど円高でもないと言う事になりますが実際に円高が目立つのはドル円のみでその他通貨は特に円高の様相は呈していません。クロス円も結構上昇していたりする訳ですね。
 
また実はこのドル安の中で反発を強めているのが欧州通貨のGBPとEURなのですが、欧米のボロ出し合戦の中で円以上に伸びていきそうな期待も強い資源国通貨や新興国通貨は明らかに劣後している事もわかります。先進国が没落しても新興国が世界を牽引していけるという所謂Decouplingといわれる現象にも今一つ確信がもてないでいる投資家が多い事の証左ではないでしょうか。

Another bad job..............

 先週の目玉は何と言っても金曜日に発表された毎月初恒例の前月の米雇用統計と言う事になるでしょう。この時ばかりはサッカーに例えれば市場全体がフーリガン状態になり、一夜限りの盆踊り大会的な様相を呈することもしばしばです。
今回も弱い数字が予想されていたのですが、結果は予想以上に悪い内容で、且つ今回も過去月分の下方修正がありましたので尚更印象が悪いものだったと言えるでしょう。
 7月はNFP(Non-farm payrolls)が▲131,000人で6月に続いて国勢調査(Census)要員の政府系臨時雇用者数が▲143,000人となった事の影響を受けていますが、それ以上に重要な民間部門の雇用者数が+71,000人に留まり、5月と6月の数字を合計で97,000人分下方修正していますので過去の数字も水脹れしていたと言う事になりました。失業率は9.5%で横ばいでしたがない世y的にはかなり深刻な状況と言えるでしょう。
 これを受けて市場の方では以下のような反応になっています。
債券市場
2年債利回りは史上最低となる0.5%まで下落した後0.51%で終了。
・10年債利回りは前日の2.9%⇒2.82%に低下。
株式市場
・Dowは▲0.2%の$10,653.64、S&Pは▲0.37%の$1,121.60、Nasdaqは▲0.2%の$2,288.44で越週。 
為替市場
・ドルインデックスは80.08まで下落して80.41まで小戻しして越週。9週連続の下落は2004年以来初。
・ドルは対円で85.01まで下落。(2009年のボトム84.81に肉薄)
・ユーロは対ドルで一時1.33台を回復して1.3278で越週。
・北米の隣人、カナダの雇用統計も悪くてカナダドルも大き目の下落。
今週の注目点は、FOMCで市場が織り込み始めた追加の緩和策(量的緩和)へのベクトルが示されるかどうかと言う事になります。
雇用と消費と言う米国経済のアキレス腱が浮き彫りになりつつある中で最早”出口政策”の議論は吹き飛んでいる状況です。市場はここまでもう9週間もドル売りで動いてきており、ユーロなどは対ドルで6月の1.1875のボトムから1.33台まで急進して来ているのですが、果たして米国抜きでの世界経済の回復がどれだけ可能なのかと言う議論に視点が移る時には、ユーロや新興国通貨などに再び強めの下落圧力が復活する可能性もあるでしょう。
一方で、突出せずとも終わってみたら結構な円高になっていたというこれまでの展開はこれからもだらだらと継続していく気配が濃厚なように思います。
消去法的な円買い等という個人的には同意しかねる説明も跋扈しているのですが、今起きているのは明らかな積極的な円買いだと思います。海外からの円資産購入圧力はかなり確認出来ているのです。今は欧米を中心に世界中がデフレーションの陰に怯えている状況なのですが、10年単位でデフレに向き合いながら世界第二位の経済であり続けた日本の実力と経験が買われていると言う側面は過小評価するべきではない筈です。

2010年8月2日月曜日

A woman wishes her man remembers her birthday but not her age.

A woman wishes her man remembers her birthday but not her age.

女性の誕生日は覚えているが年齢は忘れている・・・そういう男は確かに女性にとってはMr.Rightなのかもしれませんが、そんなやつがいたら友人としてはつまらないような気がしますね・・・

今回は、私はこういうやつの方が友人としては余程愛せるという男の話をしましょう。

少し前にある友人から飲みに誘われました。場所は彼と何度か行った事のある六本木の店。彼はその店に意中と言うほどではないにしてもかなりお気に入りの女性がいて過去の何気ない会話の中で聞き出した彼女の誕生日を記憶していたようなのです。彼はその女性の誕生日に店に行きたいので私を誘ったと言う事でありました。

いよいよ当日。私は予定通り彼と待ち合わせてその店に行って来ました。予約の時間が8時だったので普段よりは相当早めの退社となりましたが、色々と趣向を凝らした出し物で結構笑わせてくれる店でもあるので私も楽しみにしていました。

そこに行くのは多分1年振り位だったと思うのですが、店のスタッフは結構入れ替わっているようでした。飲み物の注文を取りに来るスタッフでも初めて見る人が多く、彼は意中の女性が見当たらない事に不安を訴え始めました。

That's none my my business..... そう思いながらも、私は少々彼が気の毒になり一緒に周囲を探し始めた時でした・・・・

「こんにちは! お久しぶりですね!!」

そう・・・彼女が・・・彼の意中の女性の声がして、驚いて振り返ると、彼女はずっとそこにいたかのように笑みを浮かべて佇んでいました。

「XXXさん!!」(注:XXXには彼女の名前が入ります) 

彼は嬉しそうに雄叫びを上げると堰を切ったように話し始めました。不安が霧散した時の彼はいつも饒舌です。

「私はあなたの誕生日を覚えていました。今日の予約はあなたの誕生日を祝福するために取ったものです。もう大分前から取っていました。」

彼の畳み掛けるような攻撃に、彼女は驚いたような表情で聞き入っていましたが、その悩ましく輝く瞳は私には陥落寸前のようにも見えました。流れはほぼ完璧なように私には思えたのです。

ここが勝負と思ったのでしょう。彼は足元に隠しておいた(私もその時初めて気が付きました)彼女への誕生日プレゼントを取り出して彼女に手渡しました。私はこの友人から実に多くを学んだような気がしていました。

いよいよここで彼女が口を開きます。
うっとりとした瞳、彼から手渡されたばかりの誕生日プレゼントを抱えた彼女の薄い唇から流れ出るように紡がれた感動の言葉は・・・・・・

「どうもありがとうございます。私・・・今年だけは・・・今年だけは・・・今日を誕生日にしておきます。」

・・・・・・・・・・・・お、おい・・・・・おい・・・お前さ・・・間違えてるよ・・・この子の誕生日・・・・・

私はやっぱりこの友人が好きです。放って置けません。こういうやつの方が心から愛すべきだと女性も思わないでしょうか?

Top Movers Last week

先週の為替市場のTop Movers上位10ペアは以下の通りです。

Current Bar Current Last Change(Pips) Change(%)


GBPNZD   2.1608 2.1184         +424      +1.96%

GBPUSD 1.5684 1.5419           +265      +1.69%

NZDCHF 0.7555 0.7663           -108       -1.43%

NZDJPY 62.70 63.54                  -84       -1.34%

USDCHF 1.0409 1.0543           -134       -1.29%

EURNZD 1.7962 1.7741           +221      +1.23%

USDJPY 86.45 87.45                -100       -1.16%

AUDNZD 1.2455 1.2316          +139      +1.12%

EURUSD 1.3050 1.2906          +144       +1.10%

GBPCAD 1.6144 1.5966         +178        +1.10%

GBPが殆どセリーグの阪神状態で、気が付くと首位というイメージなのですが、上位10ペアの中で買われている側で3回も登場しています。一方で先週は安全通貨が売られる流れでしたので売りサイドでよく登場するのが円,CHF,USDです。

実はNZDも面白くて売られる側の通貨として最多の3回も登場している一方で買われる側の上位で2回登場しています。その2回の売り側が円とCHFなのでちょっと奇妙な流れです。

どちら側にもUSDが絡まないクロスも多いのが先週の特徴だとも言えるような感じですね。単純なドル安だユーロ高だというだけではなくて北米通貨、欧州通貨、アジア通貨、コモディティ通貨などの通貨集団間での相対的な綱引が展開されていると言うことかと思います。

2010年8月1日日曜日

Exit from Exit Policy.

2007年にサブプライム問題、2008年にはリーマンショックと世界経済は唐突にバラ色だったレールを脱線し、その後は異常な低金利状態を長く続ける事や更に踏み込んだ量的緩和と言われる領域に足を踏み入れてまで経済活動を刺激していかないと経済が持たない状況になっていました。

  2009年には、最悪期は脱したという思惑から金融市場が大復活し、金融経済が実体経済を引っ張り上げる事で世の中が修復に向かうと言う楽観論が跋扈して世界中の中央銀行が上記のような異例の緩和状態から通常の金融政策への回帰時期を探る段階に入りました。ここで言う以上状態からの脱却は”出口政策”(Exit Policy)と呼ばれ、アジアなど新興国や先進国では豪州、NZ,カナダなどの資源国が先行して実際に利上げを断行してきた事は記憶に新しいところですね。
  ここで、G3(日米欧)の中では最も早期に出口に向かうはずだったのが欧州なのですが、実際にECBが生来のインフレファイター的な姿勢を強めてそのようなシグナルを発していた矢先の欧州危機が2010年前半のテーマとなったのは皮肉なところです。逆に景気回復モードを強めていた米国がここに来て急速に経済データを悪化させてきたのは極めて悪循環としか言えません。当初は弱めの経済指標というマクロと予想を上回る企業業績というミクロの綱引で時間稼ぎが出来てきましたが、どうやら前者の弱さが際立つ状況となり米国の長期債が買い進まれた結果、米国の金利は下落トレンド入りが明確になってきました。

  以下のグラフは米国の10年債利回り(金利)の推移ですが、ほぼ周期的な反発を繰り返しながら前回高値を下回る水準で折り返す典型的な下落トレンドのイメージです。 週末の時点で30年金利が前日の4.08%⇒3.98%、10年金利が2.99%⇒2.91%に下落しています。

米国の金利低下は他国のペースを完全に上回っているのでこれはストレートに為替市場でのドル売りの動きに直結しています。金曜日もドルは対円で一時85円台に入り(85.95)、8ヶ月振りの安値を更新しました。対スイスフランでも半年振りの安値を更新しています。

  株式市場への影響はいつもMIXなのですが、金利低下は企業の資金調達コストの低下と言うプラス材料である一方で金利低下要因は経済の弱体化であるという意味ではマイナス材料ですし、また投資家的な視点では債券と株式はトレードオフ的な判断となるので金利低下を織り込んだ債券買いは株式の売り要因にもなります。したがって株式市場への影響は今のところ斑模様でしかないと言ったところかと思います。

  金利と言う視点を離れて見れば我々はより大きなテーマに直面していることに気が付きます。古くて新しいテーマでもあるのですが、要するに世の中はインフレーションに向かっているのかデフレーションに向かっているのかと言う事です。世界中が前例のない緩和策を行っており金融システムには前代未聞の規模の過剰流動性が注入されっぱなしのまま出口政策の議論も遠のくばかりと言う状況を(ハイパー)インフレーションへの序曲とする警鐘には一理も二理もある訳ですが、一方でそのお金がクレジットの悪化などにより必要なところに循環していないとする反論は一理あると言うよりも完全な事実です。このお金の流通速度をVelocityと言うのですが、今はこれが死んでいると言う事ですね。

  インフレ警戒かと思うとデフレ圧力が先に来たり、出口政策等といっていると緩和政策への逆戻りが議論されたりと言う状況は恥ずかしながら生来の方向音痴の私などがよく経験する電車を降りようとする時に思っていたのと反対のドアが開いたと言うちょっと気恥ずかしい状況に似ているような気がします。

Weekend+Monthend = Deadend ??

先週の金融市場でも色々な事が起こりました。特に金曜日は週末でもあり月末でもあるということで週と月の需給が最後に均衡する水準に大いに注目していましたのですが、ちょっとスッキリしない週越え/月替わりになっているという印象ですね。
1 米国
注目された第二四半期のGDPですが、予想を下回る年率換算+2.4%と言う数字でした。また過去年度の下方修正もあり、これがまた冴えない内容だったとしか言い様がありません。2007年GDP+2.1%⇒+1.9%、2008年GDP+0.4%⇒0%、2009年GDPは▲2.4%⇒▲2.6%となっており、インフレどころかデフレ懸念が急上昇というイメージになっています。結局は日本型のデフレ経済に突入という見方が急台頭しており次のFOMC会合などにおける米国の動きに注目が集まります。
2 英国
逆に第二四半期GDPが予想を上回る数字となった事でGBP高相場となっている英国ですが、BOEのキング総裁は議会に対してGDPという指標はぶれる物であり、英国が議論するべきはブレーキを踏むことではなくどの程度のアクセルを踏むべきかという景気刺激策のことであると楽観を戒める演説をしています。消費依存から輸出主導への構造転換を行い貯蓄率を上昇させていく努力が必要だと述べているのですが、米英欧日が同じ方向に舵を切るとグローバルマクロ経済は一気に縮小に向かう事にもなるので難しい議論ですね。
3 豪州 
欧州のStress Test後の市場の動きが必ずしもRisk-on相場への回帰だと言い切れない理由の一つが豪州が弱くはないのですがぱっとしない事でしょう。豪州の第二四半期GDPは予想を下回る年率換算+3.1%(市場予想は+3.4%)でした。これで将来のつかり上げ観測が冷やされた格好で為替市場でのAUDも今ひとつ伸びを欠いた展開となっています。
4 NZ
一方で市場の期待通りに政策金利を25bp引き上げたのがNZですが、中央銀行が今後の利上げの有無やペースに慎重な見通しを示した事で市場の失望感を誘い、週の後半は為替市場はNZDを手荒く売り込む動きを見せました。
とにかく米国を中心としたデフレ観測は要注意です。世界の日本化という有難くないテーマが急浮上している中で課題先進国としての日本に関しては様々な思惑が渦巻きますが、ネットで見れば資金の流入超となっているはずで不気味な円高圧力が定着しつつあると言うのが8月初頭の状況であると言えるでしょう。
今年の8月相場は、投資家のRisk-on的な楽観が強まり、資産市場が上昇してVolatilityは低下すると言う単純な夏枯れ相場にははならないというViewを維持して行きたいと思います。