2010年8月9日月曜日

Another bad job..............

 先週の目玉は何と言っても金曜日に発表された毎月初恒例の前月の米雇用統計と言う事になるでしょう。この時ばかりはサッカーに例えれば市場全体がフーリガン状態になり、一夜限りの盆踊り大会的な様相を呈することもしばしばです。
今回も弱い数字が予想されていたのですが、結果は予想以上に悪い内容で、且つ今回も過去月分の下方修正がありましたので尚更印象が悪いものだったと言えるでしょう。
 7月はNFP(Non-farm payrolls)が▲131,000人で6月に続いて国勢調査(Census)要員の政府系臨時雇用者数が▲143,000人となった事の影響を受けていますが、それ以上に重要な民間部門の雇用者数が+71,000人に留まり、5月と6月の数字を合計で97,000人分下方修正していますので過去の数字も水脹れしていたと言う事になりました。失業率は9.5%で横ばいでしたがない世y的にはかなり深刻な状況と言えるでしょう。
 これを受けて市場の方では以下のような反応になっています。
債券市場
2年債利回りは史上最低となる0.5%まで下落した後0.51%で終了。
・10年債利回りは前日の2.9%⇒2.82%に低下。
株式市場
・Dowは▲0.2%の$10,653.64、S&Pは▲0.37%の$1,121.60、Nasdaqは▲0.2%の$2,288.44で越週。 
為替市場
・ドルインデックスは80.08まで下落して80.41まで小戻しして越週。9週連続の下落は2004年以来初。
・ドルは対円で85.01まで下落。(2009年のボトム84.81に肉薄)
・ユーロは対ドルで一時1.33台を回復して1.3278で越週。
・北米の隣人、カナダの雇用統計も悪くてカナダドルも大き目の下落。
今週の注目点は、FOMCで市場が織り込み始めた追加の緩和策(量的緩和)へのベクトルが示されるかどうかと言う事になります。
雇用と消費と言う米国経済のアキレス腱が浮き彫りになりつつある中で最早”出口政策”の議論は吹き飛んでいる状況です。市場はここまでもう9週間もドル売りで動いてきており、ユーロなどは対ドルで6月の1.1875のボトムから1.33台まで急進して来ているのですが、果たして米国抜きでの世界経済の回復がどれだけ可能なのかと言う議論に視点が移る時には、ユーロや新興国通貨などに再び強めの下落圧力が復活する可能性もあるでしょう。
一方で、突出せずとも終わってみたら結構な円高になっていたというこれまでの展開はこれからもだらだらと継続していく気配が濃厚なように思います。
消去法的な円買い等という個人的には同意しかねる説明も跋扈しているのですが、今起きているのは明らかな積極的な円買いだと思います。海外からの円資産購入圧力はかなり確認出来ているのです。今は欧米を中心に世界中がデフレーションの陰に怯えている状況なのですが、10年単位でデフレに向き合いながら世界第二位の経済であり続けた日本の実力と経験が買われていると言う側面は過小評価するべきではない筈です。