2010年8月15日日曜日

A Week of Potential Reversal.

先週は金融市場における重要週となったようです。幾つかのイベントを消化して多くの市場が持続的なトレンドに入った可能性が高いと思います。
先ずは日米の先週の大きなイベントの復習から見て行きましょう。
・FOMC 
今回も予想通り政策金利は0%~0.25%というレンジに据え置きました。更に設備稼働や雇用回復が低水準に留まっている事、将来のインフレ期待が抑制されている事等を理由として明確な景気回復見通しの後退を宣言した声明文を発表しました。
 また注目されていた新たな金融緩和策としては、第一弾として実施されていたMBS証券買取の期日到来分の再投資と投資対象を米国長期債に絞ると言う量的緩和第二段とでも言うべき政策の発表を行いました。
・官邸/MOF/BOJ
菅首相を含む閣僚や高級官僚の多くが夏休みを取っていた期間に円高が進行しました。節目と目された85円を割り込んだドル円は一時84.72まで下落した後85円台に小戻し下状態で揉み合っていましたが、産業界の声やメディアからの批判に背中を押されたのか本邦政治、金融当局の中枢レベルに大きな動きがありました。
 休暇中だった菅首相が仙石官房長官に電話で指示を出したとの事で、その後は多くの政治家や官僚レベルからの口先介入や当局から金融機関への状況紹介(一般にレートチェックと呼ばれる行為)が繰り返されました。わざわざ休暇明け直後の野田財務相が緊急会見を開いたり、週明けには菅首相と日銀の白川総裁が意見交換をするという発表が行われており、週明け以降の動きからも目が離せなくなってきました。
これらの動きを受けた金融市場ですが、特に注目される動向として以下の動きが挙げられるでしょう。
・株式市場の反落
 株式市場は大きく反落に転じています。FRBの第二ステージの量的緩和を好感するシナリオもあったのですが、結果的には高値を付けてから反落と言う動きとなりました。背景としてはFRBがそこまでやらなければならないほどに景気実態は脆弱なのだと言う事実に市場が気が付いたからという分析と市場はFRBにもっと踏み込んだ対応を期待していたので失望売りが出ていると言う解説に分かれています。
・為替市場の反転
為替市場ではユーロが反落、米ドルが反発という展開になっています。豪ドルなど資源国通貨も対米ドルで失速しており、あらゆる通貨に対して広範な円高相場となっています。
・長期金利 続落
長期金利は世界的に続落。さらに金利低下(=債券の買い圧力)が長期ゾーンにシフトして来ています。投資家的に表現すればデュレーションの長期化ということになります。米国債券の10年物利回り低下は3%を切っても止まりません。本当に2.5%を目指しているものと思われます。
・商品市場は斑模様
商品市場は金価格が安定感抜群と言う感じで堅調推移を保っている一方で原油価格などは大き目の下落をしています。またロシアの年内輸出禁止などの措置により一時は高騰しかけていた大麦、小麦などの穀類の価格も上値が重い展開になっています。インフレよりデフレのリスクが台頭しているとあっては商品価格の上値が限られるのは当然とも言えるでしょう。
以上のような流れが先週の動きですが、株、商品、為替においてトレンドに転換が見られています。今週の動向にも注目が必要ですが、特に為替市場における円高の動きに関しては今週は非常に重要な週となりそうですね。