2011年1月23日日曜日

Thoughts for Inflation.


ユーロ反発と並んで注目されるのが中国を先頭にアジア・新興国に金融引き締めの動きが広がってきている事でしょう。今朝(1月23日)の日経朝刊にはこれらの国々の外貨準備が急増している事が指摘されていました。米国のQE2などで金融システムに注入された過剰流動性の投資先として将来有望なアジアなど新興国に継続的な資金流入が起きており、結果としての自国通貨上昇を相殺する目的で中央銀行が外貨買い/自国通貨売りの為替介入を継続している事が主な背景です。

この人為的な自国通貨安と外貨買い介入の結果として市場に出回る自国通貨の過剰流動性により新興国の多くで不動産価格や株式市場のバブル化が進行し、自国通貨安による輸入物価の上昇と合わせてインフレ懸念が急上昇しています。先進国はこれで自国のデフレ圧力を中和しようとしているわけですがデフレの無い新興国ではひたすら物価が上昇しインフレ懸念と国民の不満が上昇すると言う困った図式が出来上がる訳です。

だから自国通貨高を容認しなさい・・・・或いは管理相場を取っているところは自国通貨を切上げなさいという助言的圧力を先進国が新興国にかけている訳ですが、今のところは新興国の多くは通貨ではなく金融政策でインフレを抑え込もうと躍起になっています。金利を上げると余計に世界中から資金が流入するという悪循環も生じますが、2011年は新興国のインフレが暴走するというリスクシナリオを内包した成長拡張路線が走っていると言う感じでしょうか。
 先週も中国の一層の引き締めを警戒してAUDやNZDなどが売り込まれる動きがありました。中国の第四四半期のGDPの伸びは9.3%の市場予想を大きく上回る9.8%でした。11月に28ヶ月ぶり水準となる5.1%の上昇となって心配されたCPI(消費者物価)は4.6%との伸びに減速していましたが市場は4.4%までの減速を織り込んでいたのでこれも予想よりも強かったと言う評価になります。
 中国は2010年は預金準備率(RRR)を7回引き上げていますが、利上げは2回だけでした。2011年はより実効的な効果を求めて利上げを増やすのではないかという憶測が出てきています。中国が減速するとAUD,CADなどの資源国経済も減速する事に成るので資源国通貨を買ってG3通貨(USD,EUR,JPY)を売って置くという戦略を取っていた勢力が必死にポジションを縮小する動きが観測されており、最も売り込まれていたEURの反発が特に目立つ結果になっています。

GOLD DAILY

SILVER DAILY


AUD,NZD,CADとともにGOLD,SILVERにも調整が継続中です。資源国通貨との相関による物と言う背景もありますが、それ以上に新興国発のインフレーションが先進国のハイパーインフレーションの引き金を引くと言うリスクシナリオが足元は若干後退していると言うことが大きいのではないかと思っています。いずれにしてもGOLDやSILVERを買い遅れている投資家にとっては恵みの調整が始まっていると言う見方を個人的にはしています。