2011年4月10日日曜日

Metals have another story.

株式、通貨などが堅調でドルや円に対して上値を更新する展開になっています。

Risk-onやCarry-Trade等と言った表現でアセット市場のUpbeatを煽るヘッドラインも多い訳ですが、その中で金や銀などの貴金属の価格上昇に関しては今でも二つの解釈が交錯しています。

GOLD DAILY

 1つは新たな購買層として中国の中間層(ミドルクラス)がこぞって貴金属の買い手となっている事や相変わらずインドからの購入意欲も強いと言うような話で、貴金属の上昇もRisk-on的な投資ブームの一環として語られるパターンです。

もう一つは、株式などの資産価格の上昇は金融政策の演出による幻影でしかないというも

SILVER DAILY
 のです。何かあれば、ひたすらお金の供給量を増やし、その価値の希薄化の対価としての価格上昇を享受しているにに過ぎないという事です。

アメリカ合衆国の建国の精神に盛り込まれた通貨の健全性維持の精神は金や銀の含有量を誤魔化す行為には極刑の適用を求める程でしたが、その時に1ドル=24.1グラムの銀と規定された筈の米ドルはその後ニクソン大統領によりこの比率での銀への交換義務を免除され、米国は借金してでもWall街中心の金融市場を盛り上げると言う事を繰り返してきました。

この借金=多額の米国の赤字の維持についてはずっとその可否が問われてきましたが、リーマンショックや欧州ソブリン問題などを経て現行のQE2(量的緩和第二段)にまで到達するに付け、その印刷され続ける米ドルの価値の暴落はいつ起きても不思議では無いと言うレベルにまで来ていると言う危機感が強く表明されるようになって来ました。

凄いチャートがあるのですが、以下は米株のS&P500のチャートを今でも米ドルの代わりに銀貨を貨幣として使用していた場合の株価です。

2000年以降のテックバブルに始まる最高値更新ラッシュも実は単なる価値の減少プロセスであったということになってしまいます。

上記のチャートの通り、銀価格はこの2ヶ月で20ドル台から40ドル超えまで上昇しており、この銀や金と言うお金の元祖で再評価した場合には株価など多くの資産価値はその上昇が幻影であったかのように見えます。

以上のことを斟酌すると、今の資産価格上昇をRisk-onと解釈する事が出来る一方で、実は今起きている事はRisk-onによる資産価格の上昇と言うよりもPaperMoneyの暴落の初期段階であり、安全資産と考えられてきたグループから米債、米ドル、日本円などが脱落し、お金の元祖である金や銀への資金流入が急速に増大しているだけだと言う見方も出来るのでしょう。

私が今の株価上昇で従来どおりVIX指数が低下して、通貨市場のオプションのVolatility等も低迷している事に違和感を感じるのは後者の見方が無視出来ないレベルで現実となりつつあると感じているからです。

時々書きますが、GOLDにはOLDとGODが入っていますので、価値の根源としてずっと在るものという意味が込められていると感じています。心配する程度の資産のある人は現有資産の内容を根源的価値という切り口で再評価してみるべき時なのではないでしょうか。