金融市場を動かすのは所詮は人間ですので、短期変動を左右するのは市場参加者に共有される認識が全てです。
相場の世界では、Pivot(節目)となる水準を通過して相場が走る場合と反転する場合があるのですが、前者のケースをPoint of Recognition、後者をExaustion Pointと呼んでいます。
どうも金融市場は全般的に各市場がそんなPivotal Pointに近づいて来たのではないでしょうか。
4月以降実に執拗に継続してきた所謂Risk Rally(株や商品などリスクアセット全般の上昇)に冷水を浴びせる可能性大と考えられていた雇用統計やFOMCと言った8月前半のイベントは確かに市場のVolatilityを上昇させはしたもののそれらのハードルを一つ一つ消化してアセット市場は足腰の強さを証明しながら8月終盤戦を迎えようとしています。
株式市場を例に取れば今や世界中がこの市場に追随していると言っても過言ではない上海株式市場に大幅な調整が入った事で、一時はRisk Rally相場は間違いなく終わったか、少なくとも終わり始めているという危機感が広がりましたが、その後の回復も驚異的な粘り腰を見せており、アジア、欧米の株式市場も先週末時点で一部に年初来高値更新というレベルまでの復活が見られています。
私自身も株式市場はそろそろ危ないと見ていました。特に中国当局が流動性を絞り始めているとの思惑などで上海市場が大幅調整の気配を強めていた時点で米株市場ではShort-sellers(空売りポジション)が駆逐されてベアキャンプの持高が年初来最低にまで落ち込むと言う状況になっていましたので、「これはちょっとした反落相場が来る」という思いを強くしていました。
事実市場にはかなりの激震も走ったのですが、これを書いている時点ではその後の回復力の方も非常に印象的であり、改めて「過剰流動性恐るべし」という思いを強くしているところです。買いたい人は買ってしまった状態で、深めの調整もありそうだという予想に反してまだまだ買い遅れ組みが今回の下落局面を恵みの雨とばかりに群がってきたような価格の回復でした。
株式同様に中止している為替市場ではほぼRisk Rallyの調整⇒米ドル上昇という図式で動いていると言ってよいのですが、まさに株式市場と歩調を合わせて乱高下と言う展開になっています。
今月のEURUSDの動きを日足チャートで見てみましょう。
乱高下なのですが面白いのは大きな陽線や陰線は週末前後で出ている事です。
そして先週末の金曜日は結構な陽線、つまりEURが対USDで上昇して終了しているのですが、まだほぼ月初の水準に戻ったと言う段階ですので今後はEURUSDが1.44ミドルを超えて今月の高値を更新していけば明確なドルベア認定と言う事になりそうです。
一方その前で力尽きれば、Exaustion認定の可能性が強まり、米ドルの逆襲というシナリオでよいかと思うのですが如何でしょうか。
金融市場は秋の陣に向けての正念場と言ったところでしょうか。