先週は年初である事に加えて8日(金)に発表される米雇用統計で流れがひっくり返る可能性もあったので投資家コミュニティは慎重に動き始めていましたがトレーディングキャンプの勢力は短期回転売買中心でスロースタートを切っているのではないかと思います。
12月第一週に発表された11月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP:Non-Farm payroll)が予想以上に強い▲11千人だった事で米国の雇用が急ピッチで改善していると言うシナリオが急浮上していましたので先週末に発表された12月の雇用統計は大きな触媒となることは確実でした。
それにしてもいい加減なものだと言ってしまえばそれまでなのですが、今回の数字についての事前予想も非常に強い内容が目立っており、年が明けてからはNFPが数十万人の増加という予想すら出ていたようです。
実際に蓋を開けてみると12月のNFPは▲85千人で事前予想の中心値である±0を大幅に下回る内容である一方で10.1%に悪化すると思われた失業率は10.0%に踏み止まり、更に11月のNFPが▲11千人から+4千人に上方修正されるという斑模様の内容となりました。11月のNFPのプラスというのは2008年の1月以来の事です。
この内容を受けて米国市場はドル売り、株売り、債券買い(金利低下)となりましたが、その後徐々に反転し、ドルはそこそこの反発、株は前日比小幅プラス、長期金利はほぼ横ばい水準にまで戻しての週越えとなりました。
今回の数字も含めて米国の雇用がどこまで回復しているのかという議論は今後もますます活発化することでしょう。
今回の数字のポジティブな解釈の1つに寒波と大雪の影響が十数万人規模で足を引っ張ったのでそれが無ければNFPはプラスだったというものがあるのですが、個人的な経験からは実は少し反対の懸念も持っています。
私は個人的にもっと強い内容を予想していたので12月の雇用統計はかなりのネガティブサプライズでした。
一個人の局地的な経験を持って米国社会の慣習を一般化する程愚かではありませんが、少なくとも私が勤務していた会社では人事部の方針で金曜日に従業員のレイオフを行う事は極力回避していました。日本の感覚では必ずしも合点がいく訳でもないのですが家族と過ごす週末直前にレイオフするのは非人道的だと言う考えからです。当然ながらクリスマス休暇前には尚更ですので12月には解雇やレイオフは少なく今回の数字は予想外のポジティブサプライズとなり、逆にここでHOLDされた人員削減が年明けに行われるので2月や3月あたりからの数字の悪化に要注意と思っていましたのです。
改めて雇用統計は事前予想が最も難しく集計方法によるテクニカルなブレも大きい指標のようですね。
改めて2008年からの雇用者数の減少は大規模です。下図の横軸が年度、縦軸がNFPです。これを見ると雇用減少の深刻さと同時に一端景気が底を打てば雇用も急激に戻ってくる可能性も確かにあるのかもしれませんね。