2007年9月1日土曜日

英語検定とTOEIC

英検とTOEICと言うものにはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

英語検定と言う制度が日本で生まれたものであり、TOEICというものは海外で生まれたものであると言う"起源"(ちょっと大袈裟?)から考えても当然かもしれませんが、前者は色々な意味で日本的であり、後者は欧米的であるというのが私の考えです。色々な分野に共通する話なのですが、その典型的なものの1つにクレジットと言う概念へのアプローチ方法の違いがあると思います。
 以下はクレジット=信用供与、信用創造として話を進めます。サブプライム問題を震源地に揺れる金融市場の中で色々な事を考えたのですが、これもそのうちの1つです。

私はかつて住宅ローンを中心とした貸し出し業務に従事していた事がありますが、申込人から提出を受けた収入などの条件をチェックリスト上で審査して対応の可否を判断すると言うもので、結果は当然ながら可か否かのどちらかのみでした。

 更に、対応可となった場合の実施条件についても 余裕でパスした人もギリギリでパスした人も同じ貸し出し条件となるというものでした。

これは、住宅ローンなどの申込人を受験者に置き換えれば、結果は合格か不合格しかない英検型の対応と言う事が出来ます。

一方で米国ではどうかというと、ローン(モーゲージと呼ぶ事が多いですが)の申込人の過去の経済活動が既にスコアリングされていて、そのスコアに応じた貸し出し条件が決定されると言うシステムです。

 「対応できます」か「対応できません」ではなく、「あなたのスコアだとこういう条件になりますよ」というのが基本線なのですが、これは上記の英検型との対比においてTOEIC型であると言う事が出来ます。

また、日本の金融機関は申し合わせたわけでは無いのでしょうが、A銀行で断られた場合、B銀行やC銀行では住宅ローンが組めたと言う場合は極めて稀であり、最も低金利でローンが組める都市銀行や地方銀行で謝絶された場合は、市中金融機関と言われるところで対応してもらえるケースも多いのでしょうが両者間の適応金利の差は非常に大きなものがあります。こういうところは明らかに日本の金融システムの硬直性だと思っています。

一方でTOEIC型であれば、大袈裟に言えばスコアの数だけ対応条件があることに加えて、同じスコアに対しても、金融機関ごとに対応条件が異なるために一生懸命探すとより低い金利でお金を貸してくれる相手が見つかったりもします。

日本の場合は自分で取引銀行に相談に行くのですが、米国の場合はモーゲージブローカーに手数料を支払うと自分の代わりにあちこちと交渉してベストな条件を探してくれると言うパターンも多いようですし、なんとWEB上で金融機関側が条件入札を競うというシステムもあります。

"When banks compete, you win" というのがキャッチだったと思いますが、この辺りは米国の金融システムの柔軟なダイナミズムであると言えるでしょう。

このダイナミズムが行き過ぎてしまったのが今回の問題の震源地となっているのですが、背景は上記のような競争の中で、日本で言う最初の数年は返済が楽なステップ型返済パターンが随分増えた事とその住宅ローン(モーゲージ)債権を切り売りして小口投資家にまでばら撒くと言うリスク分散が可能になっていたと言う背景があります。

ただ・・・・・・ではこのダイナミズムは間違いだったのかというと、そういうものでもないだろうというのが私の考えです。

英検よりも、TOEICのほうが私は好きなのです。