2007年9月16日日曜日

Every moment in life is unique and has meaning.

7月に家族を呼び寄せてから生活が一変した事は言うまでもありません。

皆大変ですが、特に事実上日本を初めて見る子供たちにとっては完全に異国に来たようなものです。
学校はどうするのか、公立?私立?インターナショナル?・・・受験はしますか?・・・ETC

だって・・・子供でしょう? え?受験するなら4年生からでは準備が遅い?・・・・え?・・え?・・・え~?
と言う感じなのですが、なんでも有名校に行かせようと思うなら各有名校別に準備する事が違っていて希望校毎にお奨めの塾まで違う・・・・・ここまでは耐えますが、5年生、6年生でその塾に入るために低学年から行くべき塾がある・・・?

塾に行かせるにしてもそれはあくまでも学力を高める目的であって、早々と決めていた希望校に入るための特別な準備をする場ではないだろうと思うのですが、今のご時世どうやらそれは完全な奇麗事のようです。

と言う事で・・・・・

どうも私立にしても塾にしても色々な人々が不当な利益を得ている構図が出来上がっているような気がしてしょうがないので、取り敢えずは子供の英語力を維持させてそれを伸ばしていく事に注力し、最後は米国の大学なり大学院なりにでも行ってくれればいいという作戦で動く事にしました。

さほど遠くない場所に充分共鳴出来るコンセプトで運営されている帰国子女向けの英語学校(?)があったのでこの週末も土曜日クラスなるものをトライヤル体験してきました。

「お父さんはまた後で」と言われて約一時間後に戻る事にして子供だけを残して私は駅に向かいましたが、学校から2ブロックほどしか離れていない交差点での出来事でした。

「危ない」・・・・・という誰かの声がしました。そして次には、車が急ブレーキを踏む音が続いたのです。

ガチャーン・・・・・と言う音がして・・・・息子と同じくらいの男の子が乗る自転車の側面にタクシーが突っ込みました。

私を含めて周囲の人々が駆け寄り、急停止したタクシーからは運転手が下りてきます。

子供は直ぐに立ち上がり、逃げるようにそのまま自転車で立ち去ろうとすらしました。どうやら子供に擦り傷以上の怪我は無く、自転車にも大きなダメージは無いようでした。

さて・・・どうしようか・・・という話になりました。擦り傷程度、自転車もOK... 警察を呼ぶかどうかと言う話になりましたが、「今は気が動転して興奮状態なのでわからないけど、後でどこかが痛くなったりと言う事もあるし一応記録に残しておくべきでしょう」という事を私も述べましたが、社内ルールもあるのでしょう、タクシー運転手も警察を呼ぶ事に同意して直ぐに連絡していました。「子供が飛び出してきた」と・・・。

私は子供のそばに居続けました。とにかく何も心配しないでいい、誰にも怒られないし、皆怪我が無かった事を喜んでいるんだと言う事を頭をなでながら伝え続けましたが、彼は両親に連絡が行くということになった時に大粒の涙をたくさんこぼして泣き始めました。

話を聞いていると、彼は自転車で近くにある大きな駅に携帯電話のデジカメで写真を取りに行くところだったようです。「お母さんは、いつも凄く怒る。」「警察は僕を逮捕するの?」「警察ってお父さん?」・・
そんなことを言いながら泣きじゃくる彼が孤立しないように私はそこに居る事にしました。どうせ息子を迎えに行くまでには充分時間があったのです。

彼の自転車に彼の名前と自宅の住所、電話番号が貼ってあったので、集まっていた集団の中の女性が彼の自宅に連絡を入れました。

「大丈夫ですので落ち着いて聞いてください、XX君は今車とぶつかってしまいました」
「特に怪我などはしていないようです。警察も呼びました。ここに来られますか?怒らないであげてください」

「そういう言い方では駄目だ!」・・・運転手が近寄ってきました。「しっかり叱り付けて二度と飛び出さないようにしてもらわないと」彼は大きな声でそう言っていました。

この野郎・・・保身こいてんじゃねーよ・・・ 悪いけど、あんた・・・・加害者なんだよ。私はこみ上げる怒りを抑えつつ、自分がここに残ってよかったと思っていました。周囲の大人はタクシーが上手に止まったとか、制限速度守ってたから子供が怪我しなかったみたいな事を話していたし、何事かと思って見に来る野次馬達には運転手が、「あの子が飛び出してきた」みたいな話をしていたので、私は自分が彼の味方をしてあげようと決意していたのです。

確かに、交差点の優先道路を走っていたのはタクシーでした。そこに非優先道路から彼の自転車が停止せずに交差点に進入してきたのです。
 でも・・・彼がタクシーの側面に突っ込んだのではなく、停止せずに先に交差点に進入してきた彼の自転車の側面にタクシーが急ブレーキをかけながら突っ込んだのです。
 業務上交通事故は減点も大きいのだとは思うし、その事には同情しますが、子供を叱り付けて終わりと言うのはやはり違うと思います。

やがて彼のお父さんが駆けつけました。ご父君は警察の方でパトカーで駆けつけた警察の人々とも顔見知りのようでした。

「多分うちの子が飛び出したのでしょうが、車と自転車なのでその点はご理解ください」

そう言って運転手にも釘を刺して清々と処理に当たるご父君を見て私は大いに安堵し、別の警察官から目撃者として私の連絡先などを聞かれた後は開放されました。「警察ってお父さん?」というのはこういう意味だったのだと言う事も判明しました。

金融市場には、 Every moment in the market is unique. という格言(?)があります。全く同じ二つの相場展開というのはないし、狭いレンジ相場にも何らかの意味があります。それを考え、感じ取るように努力すると言うのがある意味では我々の日常なのです。

神の配材・・・などと大袈裟な事は言いませんが、私が偶然その場に居合わせて、彼の父親が到着するまで彼に付き添ってあげた事、特に予定も無く付き添ってあげられる私があそこにいたこと・・・・そんな事にも実は意味があったのではないか・・・・そんな気がしています。

それにしても・・・・もっと弱者である子供に優しいコミュニティーであってよいのではないか・・・・子供を咎めるような雰囲気が無いでもなかったことはとても気になっています。

あの少年が、ご両親に怒られずに、また電車の写真を取りに行かせて貰っている事を祈っています。