2008年4月30日水曜日

Nation of Inflation and ration.

これからFOMCの発表がありますが、どのような結果が出るにしても金融市場における今後の最大のテーマは物価の上昇という世界的現象に集約していく可能性が大きいと思います。

Lost decade ⇒ 失われた10年 と言う言葉がありますが、90年代半ばからの10年ほどの間の日本はDeflation(デフレ)状態にあったと思われ、30代~40代の世代でもInflationの怖さは実感していないと思われますが、これは非常に危険な事だと思っています。

私は丁度その間米国にいてInflationの怖さを身を持って実感していました。

Creeping Inflation( 忍び寄るインフレ)と言う言葉がありますが、これは本当に恐ろしい現象です。最近日本でもあちこちで物価が上昇して騒ぎになっていますが、買い物をするときに実感出来る部分はまだ可愛いものです。
 本当に怖いのは、月末などに如実に資金繰りの苦しさを実感する時です。まさにCreeping なインフレが一番怖いのです。

そう・・・96年位までのNYでは、月初にサラリーの入金がChecking口座に入ると一定額をSavings口座に振り替えた上で、普通に生活する分には全く問題なくその月を過ごす事が出来ました。
 97年あたりからは、月初にSavings口座に振り返る金額が半減し、やがてはそれも隔月となり、最後は滅多に振り替えをしなくなりました。

毎年相応の昇給があり口座に振り込まれる金額は確実に増えていましたし、生活もどんどん倹約型にシフトして行きましたが、何故か資金繰りは苦しくなる一方でした。

Creeping Inflationの所以であり、怖さでもあったのは中々原因が特定出来なかったことです。
ある時に口座の取引明細とクレジットカードの利用明細をよ~く見てみると・・・・・・・・・・以前と同じところで同じような買い物をし、外食を控え、贅沢品も買わない・・・・月初の入金額(給料)は増えている・・・にもかかわらず・・・・入金が出金に追いつかない。 まさにそういう状況でした。

日々の日用品、バター、ミルク、野菜、肉類、車のガソリン、電気、ガス代、水道代、電話代・・・そういうものの一つ一つが良く見ると半年前、1年前よりもかなり高騰していてその集積が予想外の出費増加に繫がっていた事が発覚した時には心底驚愕した事を覚えています。

2003年あたりから離米した2007年まではひたすら貯蓄を取り崩しながら家族を養うという期間だったと思います。私が経験したInflationは、本当にCreepingでした。

日本でも物価高騰が騒がれない日は無い位になってきました。景気の過熱というよりは原材料費やエネルギー価格の高騰による悪いインフレという側面を感じていますが、なんと品物によっては価格高騰だけではなくものの確保が出来ずに品切れ状態となってしまうと言う状況も報告され始めています。

会社の女性は、近所のスーパーでバターが品切れだったそうで、入荷予定を聞いたら配給制なので見込みが立たない状態だと言われてしまったそうです。

Inflation(物価上昇)からRation(配給)へ・・・・?

韻を踏んでいる場合ではないのですが、エネルギーや食料の自給率もかなり低いこの日本は大丈夫でしょうか?

アジアでも一部の国では米の輸出を禁止したり、食物不足で暴動が起きたり、購入出来る数量に上限を設けたりという措置が取られ始めています。

近代社会の根本を揺るがすような話ではないでしょうか・・・・・
このような状況下ですら大復活の予兆すらない日本の農業というのも良くわかりません・・・・

世の中不思議だ・・・

This is not the same "gOLD" story.


北京オリンピックの聖火リレーの騒動と金融市場のゴチャゴチャした動きを見ていると市場も世相の構成要素の一部であり、なんとなく落ち着かない世相なのだと言う事が再確認される思いです。

火曜日は日本は"昭和の日"という休日でしたが、海外市場では米ドルと日本円が上昇しています。FOMC前のポジション調整と言う意味合いもあり、さほど大きな動きでもないのですが潮流としては株式市場と商品市場が下落、米ドルと日本円が上昇と言う絵になっています。

・株式市場の下落⇒日本円上昇
・商品市場の下落⇒米ドル上昇

という従来からの図式が作用しているのですが、ここでは敢えて特に後者に注目したいところです。

金価格が前回ボトムの1オンス$880のサポートを割り込んでいます。これは最近最高値を更新し続ける原油価格に大きく遅れを取ってきた金価格が再反落の過程に入ったと言う可能性を強く示唆するものです。
 インフレヘッジの代表的アセットなので、長期的な上昇トレンドまでは崩れないのでしょうが流石に最近は投機資金が原油に向かい始めており、意外にも中国を抑えて米国、インドに次ぐ世界第三位の金輸入国であるトルコのデータを見ても3月の輸入量が2月の実に27分の1にまで落ち込んでいた事が示すとおり、新たな資金の流入が細ってきている事が背景だと思います。

一方、原油価格にも大き目の調整が始まっている可能性があります。以下に注目している動きを2つほど・・・

1 OPECからのメッセージ

 先週末にローマで行われた世界エネルギーフォーラムで原油価格高騰を背景に増産の議論が出るかと期待されたOPEC諸国代表からは寧ろ先進国経済圏での需要の頭打ち傾向への懸念が示される事態となり原油価格は一気に1バレル$120の最高値の壁に向かって直進しました。
 直後にOPEC首脳がある意味でケツをまくる(素晴らしく品のある表現ですね・・・)発言をしたことに関係者はショックを受けました。

"人々が原油高と騒いでいる問題の本質はドル安である"

原油が高いのではなく、ドルが安いのだと言っているのです。多くの商品価格は原則ドルで建値され、取引もされるのでドルの価値が下がれば原油価格が上昇するのは当然ではあるわけです。
 更に同首脳は、従って米国がドル安問題に有効な手を打てば原油価格も収まるのだと言う話をしており、彼らの試算では、ドルの価値(=ドルインデックスと思えばいいでしょう)が1%変化すると原油価格は$4変化すると言っています。

これは、昨年中国がフランスとの二国間協議の最中、人民元の切り上げの必要性を持ち出された時に中国サイドから、「その問題は米国に聞いてくれ」と切り返された事と基本的に同じ性質のものでしょう。
人民元も米ドルを中心とした通貨バスケットへの連動を基本とした変動バンド性である以上、ドル安ならば人民元も安いのだと言う開き直りであり、ここでも暗に米国に対してドル安放置をやめるようにシグナルが発せられたと言う訳です。

このように中国、そして今回は中東産油国からケツを捲くるという臭いシグナルを発せられた米ドルがどういう行動に出るのか、どういう回答を用意するのか。

その答えの一端が水曜日に始まるFOMCの金融政策と声明文の中に示される事になるはずです。

金融市場はこのイベントの重要性を正しく理解して商品市場でも投機資金が足早にリスク縮小の動きに出ていると言う事になります。

リスク分散で商品市場に資金が流れ込み続けた結果、リスク縮小時には商品市場から資金が流出するようになっていると言うわけです。

This is not the same old story....not the same gold story.

Stay tuned. We are almost 24 hours away from FOMC meeting now.

2008年4月28日月曜日


When fundamental and technical do not see eye to eye.


株式市場の予想外の大復活と同様に為替市場では米ドルが気を吐いています。

ユーロが対ドルで遂に1.60超えを達成したのが4月22日の火曜日でしたが、結局1.6020を高値に反落し、25日の金曜日には1.56lowまで約400ポイント下落して週の取引を終えています。


米ドルは対円では週初に103円台を回復したことで短期ベクトルが完全に反転しており、終盤には105円に迫る勢いを示した後104円半ばでの越週となりました。週初の安値が10267銭ですので、こちらは丁度2円ほどの上昇幅と言う事になります。


ここ2週間ほど、特に先週の北米市場のセンチメントの改善は著しいものがあり、株式市場も通貨市場でも米国復活とでも言いたくなるような動きが見られたわけですが、過度の悲観論が後退した事は間違いないものの、米国経済のファンダメンタルズを考えれば決して楽観は出来ない状況が続いています。


米国がどれほど落ち込んできたのかを最近の経済指標から見てみれば、全く材料に事欠かないと言う感じなのです。


・4月18日 Jobless claims  4年振り高水準

・4月24日 New Home Sales 17年振り低水準

・4月25日 Consumer Confidence 25年振り低水準


 これだけ見れば株式市場や米ドルの復活は一時的な調整とも思えるのですが、ファンダメンタルズに対抗してテクニカル的には少し違う絵が見えてくるのが悩ましいところです。

以下は、ドルインデックスとユーロを同一チャート上に描いたものですが、注目するべきは最近のユーロ反落、ドル上昇の動きは共にチャートのペナント型ウェッジを綺麗に抜け出ており、ユーロはサポート割れ、ドルはレジスタンス超えを達成している事です。

これは普通に考えればテクニカル的には相場は一旦反転したと判断するのが普通ですね。




ただし、ごく短期間のうちに相場が呆気なく元のペナント型ウェッジの中に押し戻されれば今回のBreakoutが”騙しの髭”となり、偽物だったという判断となりますので今週は前半にFOMCがあるので油断は禁物です。


ファンダメンタルズとテクニカルの指し示す方向感の乖離は短期間で修正されるような気がしますので、大型連休中の金融市場からは目が離せませんね。


どうせ私も含めて多くの金融市場関係者はカレンダー通りの出勤でしょうから、大型連休という気もしないのですが・・・・

2008年4月27日日曜日

US market made a strong statement.

米系主要金融機関の決算が注目されたのが先々週だったとすれば、より広範な企業決算に注目が集まったのが先週ということになります。

実に157社にも及ぶ主要企業の決算が発表されたわけですから株式市場にとっては月末のFOMC前のちょっとした正念場であったと言う事が出来るでしょう。

そして、米株市場は多くの人々にとって予想以上というよりも、予想外と言った方がふさわしいような復活劇を遂げたと言う事になりそうです。

週の序盤で底堅さを確認した後は、中盤の攻勢も見事の一言で、特にこれまで嫌われ続けていたセクターや銘柄の復活が著しい事、そして予想を裏切る決算や経済指標への弱気な反応よりも予想を上回る決算や経済指標への強気の反応の方が圧倒的に目立っていた事は特筆に価するという印象でした。

4月23日の水曜日には金融保険保障会社のAMBACが実に$1.66billionもの損失を計上した事よりもBoeing社の38%の増益に大きく反応。

4月24日の木曜日には保険セクターのTravelersの収益予想の上方修正、Aflacの純利益14%アップ等にも後押しされて保険大手AIGの株価も7.1%上昇しました。同じく死に体と思われていたFordがサプライズ収益を計上した事でGMまで6%弱の上昇となり自動車セクターも大賑わいでした。

復活の狼煙宣言となるかどうかは、微妙なところですが正直ここまでの復活劇は私自身全く予想していませんでした。

今週は俄然注目度を増したFOMCがありますが、金融市場の利下げ期待(織り込み度合い)が、25bpの利下げを80%弱織り込むと言う水準にまで利下げ期待も萎んでおり、ここ2週間の米国市場の一大復活劇が短命に終わるのか、息の長いものになるのかはその内容と同時に発表となる声明文の内容次第ということになりそうです。

日本の黄金週間の連休中は、結構動くか全く動かないかに2分される傾向もありますが、今年は動く方かもしれないですね。

2008年4月21日月曜日

In the closet was .... friendly skelton.


先週の大きな注目材料の1つが米国主要企業の第一四半期決算発表でした。

巷のアナリスト予想の骨格は、事業法人は好決算が予想されるもののサブプライム問題に端を発した市場の混乱等を背景に金融セクターが計上する金融資産の評価損失が大きく拡大している可能性が高いというものでした。

金融主要紙は、多くの憶測記事で決算発表を控える主要金融機関の損失額の急拡大予想を掲載して心情の警戒心を煽り、木曜日のメリルリンチに関しては、同社株に対して購入されたPut Optionのコントラクト数が134万枚に達して個別銘柄ベースのオプション取引高の記録を塗り替えると言う事態となっていました。

月曜日 Wachobia,  火曜日 State Street,Washington Mutual, 水曜日 JPMorganChase, Wells Fargo,  木曜日 Merrill Lynch, 金曜日 Citigroup

金融機関ではそういうラインナップでしたが、これらの金融機関が市場の予想通り or Better という内容の決算を連発したのと、金融セクター以外の主要企業(Intel, IBM, Google, Caterpillar etc)の決算が素晴らしい内容だったことで米株市場が躍進しました。

実はここまで、ファンド業界では、特にMutual Fund勢のポートフォリオのCash比率が未だかつて無い水準にまで上昇していた事が話題になっていたのですが、これらの"待機資金"が米株市場に集中的に再投入された可能性が高いのではないかと見ています。

特に水曜日に躍進、木曜日に小休止して金曜日に再躍進という中盤から後半に伸びを拡大したパターンはテクニカル分析的にも非常に強いモメンタムの証左となります。

金融市場では主要金融機関が未だ多くの含み損を隠しており、今回の決算ではそれが明るみに出ると言う警戒感があったわけですが、週後半には、それらはどうやら思ったほどではなかったらしいと言う安堵の楽観に変わって行ったという事になりそうです。

こういう時に、押入れに隠してある白骨死体というイメージで、sleleton in the closet という表現が多用されますが、メリルのPutオプションの購入者達が期待したような"骸骨の行進"の週とはならなかった訳ですね。

There came out a little friendly sleleton from the closet of US financial institutions.
That sums up the whole week, leaving much more sleletons of short term speculators all around.

今から私も押入れを開けて・・・・布団を敷いて寝るとしましょう。 床に寝る生活も今では当たり前になりました。

2008年4月20日日曜日

The genie is out of the bottle.......


金曜日の夜は遅くまで吉祥寺と言う街にいたのですが、時折金融市場の様子をチェックしながら皆で驚きの声を上げていました。

米ドルが反発している。ユーロが、円が、スイスフランが・・・・下落している。金が大幅に下落している。米株が上昇している。ドルは全面高か・・・・いやいや原油が最高値を更新している。・・・・ETC,ETC...

酔いと戦いながら最後に見たのはドル円が104円台後半、ユーロが1.57low、金価格は910ドルを割り込んでいました。最大のライバルとなった原油価格が反落することなく米ドルが大きく反発すると言う歪な状態となっていました。

Now the genie is out of the bottle....

酔うとひたすら睡魔に襲われる私は、そう思ったのを最後に終了時に起こされるまで寝ていたように思いますが、奇跡的に乗り越さずに帰宅して爆睡し、土曜日の朝になってから北米市場の終値を確認するとドル円は103円台後半、ユーロは1.58台、原油価格も1バレル117ドルに迫る史上最高値水準で終了していました。

やはり米ドルは小反落して終了していましたが、それにしても先週は米ドルが大きく下落する可能性のあった週であり、途中までは実際にユーロ、原油価格などが対米ドルで史上最高値を取り、他の欧州通貨やオセアニア、アジア通貨も大きく上伸していた事を考えれば、予想外の大健闘で正念場の週を終了したと言う事になるのではないでしょうか。

4月は後半に入りますが・・・ちょっとこのぶっ壊れた状況が継続すると考えるしかなさそうです。米ドルが、ユーロが、GBPが、円、CHFが・・・金が、原油が・・・そして株価も・・・・これらが濁流のように脈絡無く乱高下するような展開が続くのではないでしょうか。

昔・・・確か"ハクション大魔王"だったですかね、ランプの中から出てくる魔法使いのアニメがあったと思うのですが、あれのモデルとなったと思われるのがイスラムの伝承のGenie(ジニー)という精霊です。

このGenieという精霊は、アニメ同様にランプから出してくれた人の願いをかなえてくれるだけではなく結構騒ぎも起こしてしまう厄介な性質もあり、これをランプから出してしまうと大騒ぎとなると言う事から英語でも「大変な事になりそうだ」、「収拾がつかないぞ」、「もう誰にも止められない」という状況で、"Genieをランプから出してしまった" と言う表現を使う事があります。

The genie is out of the bottle. まさに今の金融市場はそういう状況かもしれません。

昨年の秋にマレーシア出張をして、ある政府系運用機関を訪ねた時にレセプションで暫く待たされたのですが、周囲のショーケース内にはイスラム文化の資料の展示があり、多くの古めかしい壷なども飾られていました。

私がふざけて壷の側面を手で摩る仕草をしていると、受付の女性が笑いながら、
"Are you looking for Genie?" と言っていました。時代を超えたキャラクターというところでしょうか。

とにかく今後、Genieさんとの対面が増えそうです。間違いなくランプから出てしまったはずなのですから。

2008年4月13日日曜日

G7 Recap2 :Current of Currency --- Points & Thoughts

流石にこれだけ世界景気が問題を抱えていれば、今回のワシントンで行われたG7会合では普段よりも相当気合を入れた議論が行われたのではないでしょうか。

G7やIMFなどは多くの企業で年中行事と化している(?)経営会議のような、ある意味季節的なお祭り行事的な要素が無いとは言えないのですが、特にG7会合は過去にも歴史の転換点となってきただけに、世界が大きな課題に直面している時には大いに注目していく必要があります。

・金融安定化フォーラムに金融市場の改善策を提言させた。

・世界を代表する民間金融機関から10名の代表者を招待して情報交換と共有を図った。

等の新たな試みが注目を浴びましたが、閉会後に発表された声明文も前回分の踏襲と言う安易な選択を避けて、声明文の内容を変えてきた事などには一定の注意を払っておくべきでしょう。一定の評価をするべきであると言い換えるべきかもしれませんね。

正確な統計は持っていないし、数字を計算する事に意味も無いので敢えて遡ることもしませんが、例えば為替と言う切り口だけで見ても歴史上国際的な枠組みによる所謂協調介入が行われる時には直近のG7会合の声明文における為替市場に関する記述が変わっている事が普通です。

既に複数の識者(?)や市場関係者(?)等から声明文への失望感や実効性への懐疑的な感想が出されており、それらの全てに一理も二里もあります。

しかし、内容云々ではなく、内容が変わったという事実には一定の評価をしておくべきだと言う事は一応認識しておいて損は無いでしょう。

週明けは、金融市場が安定すると言うよりは、G7への失望感から不安定さを増す方向の動きが先行する可能性のほうが高いと思われます。

ドル、円、ユーロ、スイスフラン、英国ポンド、豪ドル、新興国通貨群・・・・・為替市場の潮流も依然として濁流や渦を巻きながら最終的には大きな共通ベクトルに収斂していく事になるのでしょうか。

調整以上のドル反発は価格軸でも時間軸でも限定的・・・・現時点ではまだそれがメインシナリオというところなのではないでしょうか。

G7 Recap

先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が11日、ワシントンで開かれ、共同声明を採択しました。

声明は、世界経済は、引き続き困難な時期に直面し、短期的な見通しは悪化したと厳しい認識を示し、国際金融市場の混乱も想定したより長引いていると指摘しています。

また、為替市場でのドルの急落に対して懸念を示すとともに、金融不安を抑え込むための安定化策として各国の金融当局が連携して大手金融機関への監視を強めることなどを挙げています。

世界経済の現状認識では、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」焦げ付き問題をきっかけにした混乱から抜け出すどころか、さらに悪くなっているとの厳しい見方で、前回(2月)、前々回(2007年10月)に用いた「ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は引き続き堅固」との表現は消滅。

為替相場については、「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があったと指摘し、「経済や金融の安定へ与える影響を懸念している」として、円やユーロに対するドルの急落に強い懸念を示した内容になりました。

特定の通貨を念頭にG7共同声明が為替相場に懸念を表明したのは、ユーロ安が進んでいた2000年9月のプラハG7以来ですが、今回の共同声明は、各国が「引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」との前回声明の表現を踏襲しています。

金融安定化策の内容は、日米欧の金融監督当局などで作る金融安定化フォーラムが最終報告書としてG7に提出したものですが、 「100日以内」に実行しなければならない優先順位の高い勧告として、金融機関に対し、今後発生する損失見込みなどについて、次回の決算発表時に開示することなどを求め、2008年末までに実施する施策として、国際的に活動する大手銀行や証券会社ごとに監視するため各国の金融監督当局による会合を設置することなどを挙げた内容です。

G7会合として今回初めて、みずほコーポレート銀行、米シティグループなど日米欧の金融機関10社を招いた夕食会が開かれたのですが、一部金融機関側から「今後も悪いニュースが出てくるなど、市場の安定化にはなお時間がかかるとの意見が出ていたそうです。

以上先ずは客観的事実でした。

RED-HANDED at HUND-RED.

G7会合を控えた週末の金融市場はGE社の減益が引き金を引いた株式市場の下落が続く中でドル売りが進行し最後は小幅に戻して終了しています。
最近は特に株式市場などで悲観論が大きく後退する動きもあった中で米ドルにも安定感が出ていましたが、今回のG7会合に向けた準備段階で欧米の足並みの乱れが表面化するなどの不安材料も出ており、イベント前に多くの市場参加者が警戒姿勢を強めたという背景がありそうです。

3月17日に95円77銭まで円高ドル安が進行したドル円は、その後103円水準までの反発を見せましたが先週は100円割れ寸前から103円超え寸前と言った大きな値幅の中を乱高下する気迷い相場の様相を強めていました。

為替市場の主要プレーヤーのセンチメントとしては、相場観としてのドル安円高を維持しながらも一旦ドルが105円程度までは反発する可能性があるとしてドル売りポジションを解消する動きがありましたが、先週後半からは注意深くドル売りを再開する勢力もあり、100円を割れていたら所謂トレンドフォロー型のモデルファンドなどが追随してくる可能性が大きかっただけに週明けの市場動向も大いに注目されるところです。

思えば3月の100円割れという出来事はその後の不可解且つ時として魑魅魍魎とした乱高下相場の幕開けでした。

 邦銀勢の証言(?)によれば、ドル円が100円を割った時に彼らのディーリングルームでは拍手喝采だったそうです。しかしそこからほんの数日の間に95円台まで円が急騰し、呆気なく3円ほど戻して保合いとなった後に103円レベルまで大幅な調整が入り、その後も再度100円を割ると見せては急反発するドル円の動きにどれだけの投資家・トレーダーが翻弄されてきた事でしょうか・・・・

100円割れはドル安の到達点だたのか、更なるドル安への幕開けなのか?

先月の100円割れからこの週末のG7会合までの丁度一ヶ月間程度の為替市場は、この1995年以来の"100円割れ"という事象の虜となり、翻弄され続けてきたと言えるでしょう。

多くの人々が、LongでもShortでも相場に"捕まってきた"訳です。

丁度英語では、現行犯で捕まることを、(Be) Caught red-handed. と言いますが、hand+redと考えれば、HANDREDです。 これはまさに、HUNDRED...ではありませんか !!

皆があそこ(100円)で捕まったのも何か偶然ではないようにも思えませんか?

Traders got caught red-handed at hundred.

G7を消化した週明けからは、次のChapterが始まりそうですね。

2008年4月6日日曜日

Bloom where you are planted.

週末は実家の近くの山に花見に行きました。

メインイベントは子供達を初めてバッティングセンターに連れて行くことでしたが、サブイベントがこの花見だったと言うわけです。

人ごみや、特に酒盛りというのでしょうか・・・ドンチャン騒ぎと言うのが苦手なので"花見"と言うものにはなんら思い入れは無いのですが、山中の名所は流石に酒盛り等とは無縁のようで、本来の文字通りの花見が楽しめました。
都心の桜の名所などで夜間などもライトアップされて多くの見物人に賞賛されるのも凄い事ですが、訪れる人も圧倒的に少なく人工的な照明などとも無縁の環境で、力の限り咲き誇ると言うのもどこか見事な、圧倒されるような気持ちがしました。
我々も含めて訪れた人達が一様に話題にしていたのが"一輪咲き"のような状態の花でした。

遠め目には圧倒的に咲き誇る花の集団ばかりが目を引くのですが、近くで見ているとポツンと離れたところでけなげに、しかし見事に咲いている花が幾つかありました。

圧倒的な力を持つMassの一部となって中で自分の持ち場をしっかりこなすのも、そんなMassからは少し離れたところでかえって人々の目に留まるような花を咲かせるのもそれぞれに味のあるものだと感心しました。

丁度桜の木々自体が都心の夜間照明でライトアップされるようなところにいるのも山中で違った趣を形成するのも甲乙付けがたいのと同様に、花の咲き方にも色々あるのだと言った所でしょうか。

Bloom where you are planted.

最近読んだ本の一説で、頭に残った言葉の一つが浮かんできました。

人生には自力ではコントロール出来ない要素も沢山あるのだから、自分で出来る事を精一杯やって自分の花をしっかり咲かせる事が大事であると言う事で、植物の種が自分が落ちた場所で精一杯立派な花を咲かせるという例えが出ていたと思います。

Bloom where you are planted.

う~ん・・・・悪くないな~。。。と花見の後はちょっといい感じになったのですが・・・・・・・

山に入ったのは失敗だったかもしれません。完全にスギ花粉という敵陣の真っ只中に乗り込んだようなものでした。帰宅後は頭痛に鼻づまりで何をする気にもなれず、今ごそごそと寝床を出てきてこれを書いてまた寝ようとしているのです・・・・

"花見"に行って、"目鼻"をやられましたとさ。 相場は大荒れですが、また週初に整理してみましょう。