これからFOMCの発表がありますが、どのような結果が出るにしても金融市場における今後の最大のテーマは物価の上昇という世界的現象に集約していく可能性が大きいと思います。
Lost decade ⇒ 失われた10年 と言う言葉がありますが、90年代半ばからの10年ほどの間の日本はDeflation(デフレ)状態にあったと思われ、30代~40代の世代でもInflationの怖さは実感していないと思われますが、これは非常に危険な事だと思っています。
私は丁度その間米国にいてInflationの怖さを身を持って実感していました。
Creeping Inflation( 忍び寄るインフレ)と言う言葉がありますが、これは本当に恐ろしい現象です。最近日本でもあちこちで物価が上昇して騒ぎになっていますが、買い物をするときに実感出来る部分はまだ可愛いものです。
本当に怖いのは、月末などに如実に資金繰りの苦しさを実感する時です。まさにCreeping なインフレが一番怖いのです。
そう・・・96年位までのNYでは、月初にサラリーの入金がChecking口座に入ると一定額をSavings口座に振り替えた上で、普通に生活する分には全く問題なくその月を過ごす事が出来ました。
97年あたりからは、月初にSavings口座に振り返る金額が半減し、やがてはそれも隔月となり、最後は滅多に振り替えをしなくなりました。
毎年相応の昇給があり口座に振り込まれる金額は確実に増えていましたし、生活もどんどん倹約型にシフトして行きましたが、何故か資金繰りは苦しくなる一方でした。
Creeping Inflationの所以であり、怖さでもあったのは中々原因が特定出来なかったことです。
ある時に口座の取引明細とクレジットカードの利用明細をよ~く見てみると・・・・・・・・・・以前と同じところで同じような買い物をし、外食を控え、贅沢品も買わない・・・・月初の入金額(給料)は増えている・・・にもかかわらず・・・・入金が出金に追いつかない。 まさにそういう状況でした。
日々の日用品、バター、ミルク、野菜、肉類、車のガソリン、電気、ガス代、水道代、電話代・・・そういうものの一つ一つが良く見ると半年前、1年前よりもかなり高騰していてその集積が予想外の出費増加に繫がっていた事が発覚した時には心底驚愕した事を覚えています。
2003年あたりから離米した2007年まではひたすら貯蓄を取り崩しながら家族を養うという期間だったと思います。私が経験したInflationは、本当にCreepingでした。
日本でも物価高騰が騒がれない日は無い位になってきました。景気の過熱というよりは原材料費やエネルギー価格の高騰による悪いインフレという側面を感じていますが、なんと品物によっては価格高騰だけではなくものの確保が出来ずに品切れ状態となってしまうと言う状況も報告され始めています。
会社の女性は、近所のスーパーでバターが品切れだったそうで、入荷予定を聞いたら配給制なので見込みが立たない状態だと言われてしまったそうです。
Inflation(物価上昇)からRation(配給)へ・・・・?
韻を踏んでいる場合ではないのですが、エネルギーや食料の自給率もかなり低いこの日本は大丈夫でしょうか?
アジアでも一部の国では米の輸出を禁止したり、食物不足で暴動が起きたり、購入出来る数量に上限を設けたりという措置が取られ始めています。
近代社会の根本を揺るがすような話ではないでしょうか・・・・・
このような状況下ですら大復活の予兆すらない日本の農業というのも良くわかりません・・・・
世の中不思議だ・・・