2009年9月24日木曜日

FOMC Wednesday.

今日はJob Fridayと並ぶイベント日となるFOMC Wednesdayですね。

北米時間の1415分、今の東京時間では木曜日早朝の午前315分に結果の発表があります。

水曜日のここまでの動きはドルが大きく値を下げた火曜日の展開を受けてシドニー市場から徐々にドルが追撃売りを浴びる格好でアジア時間の終盤に早出の中東勢、欧州勢の参入もあってユーロドルが1.48ミドル、ドル円でも90円ミドルを割り込むドル安となる局面がありました。

今日は特にGBPが買われていますが、発表されたBOE議事録で先般の金利据え置きや175bio英国ポンドの資産買取プログラムの継続が全会一致で採択されていた事などが好感されているようです。

本日のイベントはBOE議事録とFOMCの結果というかサプライズが有っても無くてもAfter the factベースで米債、米株、商品市場がどのように反応するかと言う点ですのでFOMCまでは神経戦が続く展開となりそうです。

イベントの合間なのでポジション調整的な動きが支配している感じですが、今のところはGBPが上昇しているものの原油がバレル当りで3ドル程度下げていてコモディティ通貨はやや苦戦しているようです。ドル円も9050銭を割り込みながら91円台を回復してきています。90円は近くて遠いという結果になるのでしょうか。

本日ユーロが年初来高値、ドルインデックスが年初来安値をつけていますが、改めて確認するまでも無く資産市場と米ドルのTrade-offの関係(逆相関ですか・・)は鮮やか過ぎるほどです。

ところで、双子の赤字問題や先進国通貨での最低金利によるドルキャリートレードの増加などからトリプル安の懸念が付きまとう米国市場ですが、現在は債券上昇、株上昇、通貨が下落という流れが定着しており、米債に至っては史上最大のバブルという私的すら出る状態です。

上手くトリプル安のような展開を避けているなと感心する部分もあるのですが(米国の金融当局は本当に巧みですね)、あらゆるデータが米債や米株の買い手は海外勢であると言う事実を浮き彫りにしており、安易にドル安を放置すると世界中から非難轟々という状態になることが予想されます。

今日のFOMCでも結果と声明文の合わせ技で、米債、米株の保有者に安心感を与えつつ可能かつ無難な範囲内で何らかの出口政策に言及することでFRBは無策とか成り行き任せではないと言うメッセージも与えなければならないと言う点では決して楽な仕事と言うわけではなさそうです。

前任のGreenspan議長はカリスマ性は薄れましたが超がつく一流の呪術師だったと思います。後を継いだBernanke現議長は当初随分心配されたものの既に一流の役者である事は証明済みですので、今日もお手並み拝見と言ったところでしょうか。

2009年9月23日水曜日

Pre-events tug of war.

前の項でも触れた過剰流動性というのは今年の相場を語る最大のキーワードの1つです。

Green ShootsRisk Rallyもこれ無しには不可能だったと断言しても問題はないでしょう。

少し前に代替投資部門の同僚が投資先の欧米ヘッジファンドなどを回って戻ってきました。

様々な先との情報交換を行い、それぞれに違った投資戦略やヘッジ戦略があったようですが、殆ど全ての面談先に共通していた最大公約数的な相場観としては次の2点があったようです。

1 世界経済は最悪期は脱したが、ここからどう回復に向かえるのかは定見なし。

2 過剰流動性が存在する限り資産市場の底割れ的な混乱は起こり得ない。

当局のジレンマは、産業・事業部門への資金供給を意図して金融システムに注入してきた過剰流動性が産業・事業部門にシフトせず、その大部分が金融システム内に滞留して金融機関経由で資産市場に向かっている事ですが、一方で資産市場の回復は経済の自身と活力の回復につながり、株式市場の回復は結果として産業・事業部門の体力を強化しているので一定の効果は出ている事になります。

誤算と言えば誤算だったのは金融部門先行の業績急回復と言う結果となって当局が問題視してきた経営層の高額所得が軒並み復活傾向と言うことなのでしょうが、これにも色々と注文が付き始めていますね。

週末週初で今週のFOMCG20というイベントを警戒して資産市場に調整が入っていましたが、今日はここまでFOMCを待たずして資産市場回復とドル売りという流れが強まっています。

ADB(アジア開発銀行)の経済予測で東アジア経済(除く日本)全体の経済成長予測を2009年が3.4%⇒3.9%に上方修正し、これが2010年には6.4%にはねがると言う強気なViewが示された事、更にニュージーランドの経済指標が強く、経常収支が実に6年振りに黒字化したことでNZDが急騰している事を受けて商品市場や株式市場などの資産市場が逆襲に転じていると言う背景があります。

週末週初で回復してきたDXY(ドルインデックス)は呆気なく再びロープ際でパンチを浴び始めた感があります。

30分チャートで一度回復したサポートラインから最転落しています。

少し長めのチャートでも明確ですね。前回ボトムの76.03が割れると74台ミドルまで続落というシナリオも出てきます。

金融市場の気候変動も落ち着きませんね。この動きの中で一時は92円台まで上昇していたドル円が今日は90円台も垣間見て今これを書いている水曜日の午前140分時点で91円近辺で取引されています。90円を再び射程内に納める位置まで来ていますが、92円台までやっているのでドル売りポジションは結構解消されている可能性も高く、再び突っかける局面があれば要注意ですね。

世界経済とノリピー

今週は注目のFOMCがありますね。

勿論今回も金融緩和や引き締めと言った金融政策に関しては何も変化はない事が織り込まれていますが、同時に出される声明文の内容が重要ですね。

FOMCとして景気の底打ち感を強調した声明文を出す事は確実ですが、最悪期を脱したというニュアンスから一歩進めて景気が回復しているというトーンをどこまで出してくるのかと言う事が最大の注目点でしょう。

また調子に乗って(?)、現状の過剰流動性というカンフル剤を打つ事で経済を浮揚させている状態に関する出口政策に関して突っ込んだ発言などがあれば少々金融市場全体がバタつく事になると言うリスクシナリオにも注意ですね。

過剰流動性により発生した金融バブルが崩壊してウォール街の4大投資銀行のうち事実上3つが消滅するほどの激震が生じた訳ですが、経済の血液である資本の流れが凍り付いてしまったことを受けて一時の緊急措置的に行われた過剰流動性の供給と放置という非伝統的手法は、今やこのまま放置すれば資産バブルとハイパーインフレーション、性急に出口戦略を組めば資産価格の暴落とデフレーションへの逆戻りというDilenmaを提供していますので出口政策の存在をちらつかせながらも時間軸は示さないと言うような微妙な舵取りが求められています。

これは不謹慎な例えで言えば、今後麻薬を止めて更正⇒社会復帰を目指すノリピーに対して先ずは禁断症状を抑制するべく潤沢な麻薬を提供するようなものですので両刃の剣的な政策である事は事実です。ここまでは非常に上手く出来て来たので賞賛を集めると同時にFRB議長としての再任も果たしたバーナンキ議長ですが、ここから先の舵取りを間違えて本当の出口政策で失敗すると歴史的にもその評価は地に堕ちる事になるでしょう。

非常に難しいところですね。

先ほど鳩山首相の国連演説が行われました。国際政治舞台へのデビューは先ずは及第点と言うところかと思いますが、次はバーナンキ議長の市場とのコミュニケーション能力手腕に注目しましょう。

2009年9月22日火曜日

How they get even........

さて・・・

円は何処に行くのでしょうか。

ドル円の90円割れがあるとすれば今月内の勝負の可能性が高いと考える幾つかの材料があるのですが、この日本のシルバー連休中に海外市場で一勝負やってしまう可能性も否定出来ません。

10月の初めから中国が国慶節(建国記念祭)、更にユダヤの休日も重なるはずですので大きなポジションの手仕舞いは9月中に行われる可能性が高いと思います。

 これは90円を行使価格やノックアウト等のトリガーポイントとするオプション取引の満期日も9月中に消化される可能性が大きいという事です。

ドル円はこれも大きなポジションの満期が来ていた可能性の高いIMM上場物市場の権利行使日であった先週の水曜日~木曜日で9012銭まで下落したものの、その後は週末にかけてドルが反発した流れで91円台を回復し、今週は週初から92円台に乗せる動きとなりました。

ちょっと90円からは距離が出来てしまった感じもあるのですが、ここからの商品市場や株式市場の調整の深さやドル金利の再下落という動きでもあればまだまだ予断は許しません。

以下はIMM市場の円の先物価格の値動きですが、サポートを割り込んで結構下落バイアスを強めています(注;円先物なので下落なら円安です)が、どうなるでしょうか。

そんな事を考えながらニュースを見ていたら鳩山新首相夫妻が外交デビューとやらで渡米するシーンが放映されていました。

Oh………..なるほど・・・・

ドル円を短期間で再度下向きにFLIPさせる可能性があるのは、今のところ鳩山さんの言動なのかもしれませんね。

対等な日米関係がテーマなのですが、このEvenな関係の中身については文字通り双方に言い分がありそうですね。

Lets stay tuned on this.

Currencies are taking a breather.

米株の次は少し通貨の世界を覗いて見ましょう。

 

ドルインデックスDXY

 

これはどうやら一息入れた感じでしょうか。一時は暴落の雰囲気もありましたが先週末のドル金利上昇もあって一旦切れたサポートラインを回復してきました。チャート上は一度切れたサポートラインは、反発上昇時のレジスタンスラインとなるのですが、それをクリアした格好です。どこまで上値を追えるのかは不透明ですが少なくとも一旦ドルの下値追い戦略はリスクが高いと思われます。

 

米ドルが一息つくキッカケを作った一因はGBPの下落でした。特にBOE(英国中銀)のキング総裁が銀行貸出を増加させるべく銀行が中銀に置いているリザーブ預金の金利を下げると言う方針を打ち出した事で状況が一変しました。

 

GBP

上記の通りの流れの中でWeeklyチャートはヘッドアンドショルダーを形成しているように見えます。この通貨は方向が出ると将棋の飛車のような値動きをするので要注意ですね。

 

AUD

 

金価格の上昇の最大の受益者の1つですが、これもサポートラインを割り込み始めました。反転の兆しとはいえませんが、少なくとも一旦失速ですね。

 

全体感からすればとにかく米ドルが底を打ったかどうかの見極めが必要ですね。この連休中にもう少し動きが出てきそうな気もしています。 注視しましょう。


The silver week might see off this silver lining rally.

今週はシルバーウィーク。

ゴールデンウィークに掛けたものか敬老の日に掛けたものなのか良く分りませんが、お休みを頂けると言うのはありがたい事ですね。また丁度このタイミングに合わせて相場の方も一旦水入りという状況のように思います。

金、原油などの上昇、米国は債券上昇米国金利の低下、米株上昇、通貨はドル売りという流れが幾分調整的な動きをし始めているようですね。

試しに米株をPick-upして見ましょう。

200日移動平均線からの乖離が一部で注目を集めています。

以下のチャートはBespokeという投資会社によるチャートですが、S&P500200日平均線からの乖離率が19835月以来となる+20%に到達しています。実はほんの半年前には乖離幅としては記録上最大となる-40%に下方乖離していたのですが、そのマイナス方向への記録上最大の乖離率から一気に26.5年振りの上方乖離率まで駆け上ってきたと言う事になります。

Risk Rally, Green Shoots等と言われた過去半年の強気相場の凄さが伝わってくるチャートですが、流石にここで著名どころのHFにも米株を売り始めるところが増えてきたようです。

この株式市場の上昇は世の中が根本的に修復していない中でのベアマーケットラリーに過ぎないと言う指摘も依然として多いのですが、悪い中での好材料のことを雲の晴れ間にたとえてsilver-lining(雲のふちが銀色に見えるので)と言いますが、後から振り返るとこのsilver weeksilver liningの最終段階だったということになるのかもしれませんね。

2009年9月13日日曜日

A little girl is now called GOLDilocks ?

金価格の上昇は金融市場の大きな注目を集めました。

1オンスあたりの価格が1,000ドルを超えたという事が注目を集めた事もありますが、そもそも利子や配当というインカムゲインを生まない金がこれだけの資金を集めてしまう事実の背景にあるものは何なのか。投資家の世界で何が起きているのかという事が様々な憶測や議論を呼んでいるのです。

1 インフレーション懸念

これは間違いなくあります。現在インフレーションが起きているという議論は間違っていると思いますが、一歩間違うと将来手の付けられないほどのインフレーションが発生するリスクは否定出来ない程の過剰流動性が世の中を跋扈しているからです。インフレーションの副作用は物価上昇と通貨価値の下落ですのでどうしても現物資産が買われるのですが足元の実体経済はデフレ傾向ですのでちょっと違和感もあると言うのが正直なところです。

2 デフレーション懸念

と言う事でデフレーションリスクですが、従来からあるデフレーションの副作用は物価下落、通貨価値上昇というコンセプトが崩れてきているような気もします。特にここ数年は金融混乱と言う荒波にもまれてきましたのでインフレだろうがデフレだろうが好ましくない事態が起こる時には普遍的価値を持つ貴金属で財産を保有するという概念が出てきているのではないでしょうか。

3 ドル安懸念

世界経済が好調で国際不均衡が拡大してきた時に膨張する赤字問題を理由に米ドル暴落リスクが叫ばれていましたが、結局この過剰貯蓄と過剰消費が混在する国際不均衡問題では米ドルが暴落する事はありませんでした。

 寧ろ世界経済がおかしくなって国際不均衡は寧ろ縮小に向かう中で米ドルが結果として落ちてきたと言うことは皮肉な事です。これが短期的な現象ではなくて持続的なトレンドとして根付くならば世界中のエコノミスト達が何を見落としていたのか、何故米ドルの動向はかくもTricky且つDeceivingなのかのヒントとなるでしょう。

金とドルインデックスのチャートは見事な逆相関です。

それにしても思うのですが。。。。

ゴルディロックスという少女が熊の親子留守宅にお邪魔してスープを飲んでみたら、お父さんのスープは熱すぎて、お母さんのスープはぬるすぎて、子のスープが丁度よく美味しかった。次に椅子にに座ってみると、同じようにお父さん、お母さんの椅子は、固すぎたり柔らかすぎたりして子どもの椅子が丁度よい。次はベットも同様だったという童話になぞらえてインフレにもならずデフレで失業が増えたりもしないほど良い範囲で振幅する経済をgoldilocks economyと名付けて絶賛していたのはほんの数年前のことでした。

それが今はインフレでもデフレでも怯えて金が買われるという状況になってしまっているわけです。

Goldilocksという少女は思春期を迎えてGOLDilocksと名前を変えてしまったかのようです。

熊の親子の方は相変わらず景気に関してBEARでしたというのは一応オチになりそうですね。

What are actually increasing ?

秋の気配が濃厚となってきました。結構過ごし易い日が増えてきた気がしますね。

金融市場でももう少しからっとした過ごし易い日が増えてくると良いのですが、むしろジメジメしたようなスッキリしないような展開が目立つようです。

何と無くトレンドが出ているようでも加速感は無く、盛り上がりや達成感も全く見られないという印象なのです。

大きな絵としては、株式堅調、金価格は1オンス千ドル回復へ、米ドルがじりじり下落、円高が進行 という感じですが、そのどれをとっても上記のような盛り上がりに欠ける展開の中で淡々と進んでいるという印象です。

9月は、色々なアノマリーがあるのですが、Volatilityの上昇、米ドルの下落という傾向は少しずつ今年も確認され始めていますが、株式市場の下落と言うもう1つのアノマリーについては未だ明確な兆候はなく、そのせいかトレンドが出掛かっているように見えるVolatility上昇や米ドル下落にも勢いが出ないという状況です。

9月も中旬に入ってきますので週明け以降の展開に注目していますが、ここへ来て幾つかの市場において取引高の急増という現象が報告され始めています。これはもしかするとトレンドの加速なり反転の兆候ではないかと注意深く観察しているのですが、少し紹介しておきましょう。

日本円

取引高の統計が把握し難いOTC(店頭)取引ではなく、上場市場の通貨先物取引は出来高が把握出来ます。日本円の先物取引のオープンインタレストが急増しています。

このチャートで見るとやはり最高値、最安値のタイミングと取引高急増のタイミングは明らかな相関があります。円高はドル円のレートで言えば90円の攻防戦が目前ですが、勝負は間もなく決するのかもしれません。

ドルインデックス

米ドルは反発の気配もあったのですが、何か確信犯的なドル売りが持ち込まれたために力ずくで叩き落されつつある感じです。金が千ドルを突破したタイミングでもありましたが、何か意図的な動きであった可能性も無視出来ない気がします。ドルインデックスは結局節目と見ていた77.75水準をあっさり割り込んで下に抜けた格好ですが、ご覧のとおりチャート下段の出来高が急増しています。

EUR

金の1000ドル超えもあり、当初米ドルの下落を食い止めてきたのは寧ろAUDなどの資源国通貨だったのですが、ドルインデックスがサポートを割れてからは寧ろEUR、円、CHFなどのメジャー組みの躍進が目立ってきました。足元の米ドル下落はもはや貴金属などの上昇の対価というよりも元々あった外貨準備調整の動きのようにも見えます。

このCriticalなタイミングと水準でのCriticalな取引量の急増は何を意味しているのでしょうか。

出来高と共に急増しているのは、Confidence or Anxiety ?

Stay tuned.