2009年9月13日日曜日

A little girl is now called GOLDilocks ?

金価格の上昇は金融市場の大きな注目を集めました。

1オンスあたりの価格が1,000ドルを超えたという事が注目を集めた事もありますが、そもそも利子や配当というインカムゲインを生まない金がこれだけの資金を集めてしまう事実の背景にあるものは何なのか。投資家の世界で何が起きているのかという事が様々な憶測や議論を呼んでいるのです。

1 インフレーション懸念

これは間違いなくあります。現在インフレーションが起きているという議論は間違っていると思いますが、一歩間違うと将来手の付けられないほどのインフレーションが発生するリスクは否定出来ない程の過剰流動性が世の中を跋扈しているからです。インフレーションの副作用は物価上昇と通貨価値の下落ですのでどうしても現物資産が買われるのですが足元の実体経済はデフレ傾向ですのでちょっと違和感もあると言うのが正直なところです。

2 デフレーション懸念

と言う事でデフレーションリスクですが、従来からあるデフレーションの副作用は物価下落、通貨価値上昇というコンセプトが崩れてきているような気もします。特にここ数年は金融混乱と言う荒波にもまれてきましたのでインフレだろうがデフレだろうが好ましくない事態が起こる時には普遍的価値を持つ貴金属で財産を保有するという概念が出てきているのではないでしょうか。

3 ドル安懸念

世界経済が好調で国際不均衡が拡大してきた時に膨張する赤字問題を理由に米ドル暴落リスクが叫ばれていましたが、結局この過剰貯蓄と過剰消費が混在する国際不均衡問題では米ドルが暴落する事はありませんでした。

 寧ろ世界経済がおかしくなって国際不均衡は寧ろ縮小に向かう中で米ドルが結果として落ちてきたと言うことは皮肉な事です。これが短期的な現象ではなくて持続的なトレンドとして根付くならば世界中のエコノミスト達が何を見落としていたのか、何故米ドルの動向はかくもTricky且つDeceivingなのかのヒントとなるでしょう。

金とドルインデックスのチャートは見事な逆相関です。

それにしても思うのですが。。。。

ゴルディロックスという少女が熊の親子留守宅にお邪魔してスープを飲んでみたら、お父さんのスープは熱すぎて、お母さんのスープはぬるすぎて、子のスープが丁度よく美味しかった。次に椅子にに座ってみると、同じようにお父さん、お母さんの椅子は、固すぎたり柔らかすぎたりして子どもの椅子が丁度よい。次はベットも同様だったという童話になぞらえてインフレにもならずデフレで失業が増えたりもしないほど良い範囲で振幅する経済をgoldilocks economyと名付けて絶賛していたのはほんの数年前のことでした。

それが今はインフレでもデフレでも怯えて金が買われるという状況になってしまっているわけです。

Goldilocksという少女は思春期を迎えてGOLDilocksと名前を変えてしまったかのようです。

熊の親子の方は相変わらず景気に関してBEARでしたというのは一応オチになりそうですね。