2011年2月6日日曜日

EUR and USD are switching places.

長期金利の上昇が今後の世界経済及び金融市場の台風の目となる事は間違いない状況になってきたようです。為替市場のドルやユーロの状況は欧米の金利動向次第となっており、円金利が明確に出遅れるようならドル円やユーロ円が円安方向に振れて行き、年度末に向けて輸出業界が一息つける状況になるかもしれませんし、財政懸念は日本も全く同じですので円金利が欧米よりも早く上昇するようならドル円は遂に80円を割り込むと言う展開もあり得そうです。

USDは週末に向けて反発しました。一連の経済指標が強めに振れて長期金利が上昇した事が大きかったと言えるでしょう。注目されたNFP自体は+36千人と弱めで直後にドルは売り込まれましたが失業率が9.4%から9.0%という2009年4月以来の水準にまで低下していた事で反発に転じました。昨年11月には9.8%でしたので2ヵ月後で0.8%も改善したと言うのは1958年以来最大です。 

FRBは単月データでは動かないと明言しており、飽くまでもデータの集積と傾向を分析している訳ですが、2ヶ月は飽くまでも2ヶ月でしかないのですが、一部の理事達は3ヵ月連続である傾向が続くとそれは3と言う数字以上の意味を持ち始めるという事も明言しており3月初に発表される2月の雇用データの重要度は莫大なものになりそうです。

雇用以外でも米国の経済指標は好調で、1月のISM製造業インデックスは予想を上回る60.8まで上昇しました。これは2004年以来最高の数字です。ISM非製造業インデックスも59.4まで上昇しており、こちらも2005年以来の水準となりました。

これらを受けた週後半の米金利上昇は顕著で、10年ゾーンで昨年の5月以来、30年ゾーンでは昨年の4月以来となる水準まで上昇しました。昨年(2010年)は長期金利低下トレンドが走った時期で金融機関もヘッジファンドも債券ノロングポジションで大きな収益を計上した訳ですが、先週末には夏から秋にかけての金利低下を殆ど取り戻す水準にまで長期金利が復活したと言う事になります。


USDCHF DAILY ドルは週後半に上昇。
 一方欧州ですがECBがインフレファイターとしての中央銀行のイメージを鮮明にして周辺国のソブリン懸念による経済の失速が続くとしても物価上昇は許容出来ないという利上げバイアスをすら仄めかしていた為に一時は米国よりも大幅に金利が上昇し、通貨としてもユーロが大きく反発していたのですが先週のECB会合で政策金利を据え置いた後の記者会見では随分基調がトーンダウンした景気配慮バイアスが強まっていた事で金利も通貨も反落する展開となりました。


EURUSD DAILY ユーロは週後半に大きく失速
  また、この週末に欧州周辺国救済スキームの規模と内容に関する欧州首脳サミットが開催されていますが、ここでも随分足並みが乱れていると言う状況が露呈されてしまったようです。今週も引き続きユーロが下値リスクに晒される展開が続く可能性が無視できないのではないでしょうか?