2008年7月28日月曜日

In Rough&Tough Times...Timing is everything.

先週の金融市場も随分色々なものを見せてくれました。

先々週は週初からFreddie Mac, Fannie Maeといった米国のGSE救済問題に端を発する米国売りが加速したものの、財務省のPaulson長官が公的資金注入を含む抜本的な支援策をまとめると木曜日から相場が急反転すると言う流れとなりました。

その流れを受けた先週は米国市場の復活と原油価格を筆頭に商品市場の下落が続き、特に米株価の上昇と原油価格の下落に大いに注目が集まりました。

木曜日には、米国の新規失業保険申請件数が弱く、中古住宅販売も10年来の低水準となった事で米国のアキレス腱も再認識された格好で米国市場が株も通貨も反落しかけましたが、それ以前にドイツのIFO景況感指数も大幅に悪化していた事や金曜日早朝には遂に先進国では最高金利のニュージーランドが利下げを断行(8.25%⇒8.00%でまだ十分高金利ですが…)するなどのライバル経済圏の失速も表面化したことで週末には米国市場が小幅復活して終了しました。

ドル円が107.16⇒106.37⇒107.45⇒107.99⇒106.59⇒107.94 という断末魔のような乱高下を演じていますが、その他の通貨やアセットも似たようなもので、非常に脈絡の無い値動きを繰り返しています。

先週の相場で個人的に非常に印象深かったのが各市場のExpertの悲観振りです。

元ベテランファンドマネージャーで今では個人の株式投資家のグル的な存在であるJim Cramer氏が先週遂に持株を全て売り払うよう投資家に助言しています。Mad Moneyという彼の株式市場解説及び投資指南の番組は米国時代は私も毎晩見ていましたし、彼の著書も数冊読んだのですが、”There is always a bull market somewhere”という信条の彼が自身の20数年のキャリアの中でここまで絶望的な状況は初めてだと言う理由で保有する全銘柄を一旦処分すると言う助言をしたことは大いなる驚きでした。

また本格的な調整が入るのかどうかに注目が集まる原油価格についても日本人にこの市場を語らせるならAstmaxの江守氏かYosoukaiの松本氏かということになると思うのですが、その江守氏から、「現状は原油価格を押し上げる要因が全く見当たらない」という原油価格には相当期間聞かれたことも無いようなベアな発言も出ています。

米株市場も原油市場も目先のサポートが効いている状態で、その後下げ渋ってはいますが、株式市場も商品市場も年季の入ったベテラン専門家の目には弱気材料ばかりが目立っていると言う事のようです。

ところで全く同じ事が通貨市場でも言えるのではないかと感じています。どの通貨を見ても明確に指摘できるのは弱気材料ばかりなのです。

各市場とも、この数週間の状況を見る限り、中々持続的なトレンドが出難いようです。

換言すれば、LongでもShortでも短期トレードでの収益機会は十分にあると言う事になりますが、問題はタイミングです。

Time is money in life, time is of the essence in business and NOW TIMING IS EVERYTHING IN THE MARKET NOW.

2008年7月22日火曜日

Betting on a turnaround ? : U.S. refinery stocks are coming back?

先週の市場の動きに関しては幾つかの非常に興味深い現象がありました。原油、金、米ドル、株式等がBreakout寸前の領域から結構な反転を見せた事は既に述べましたが、その背景で幾つか目を引く動きが観測されているのです。

そのうちの1つが1バレル$150突破を多くが確信する中で、所謂インサイダーを含む非常に影響力のある勢力が原油の下落にBETする戦略を取っていた事です。

具体的には、George Sorosが保有している原油のポジションを売却するという直接な動きに加えて、米国のRefineryへの大口投資と言う行動があります。Refineryというのは、製油所、精製所の事ですが具体的な企業名で言えばValero, Tesoro, Sunoco というのを聞いた事がある人は多いのではないでしょうか。

この業界はインサイダー、アウトサイダー問わず今年の年初に最も激しく売り込まれたセクターの1つなのですが、実際に懸念どおり(?)今年の株価は約40%のダウンで、ほぼ原油価格の上昇幅と逆符合の関係(原油価格は43%上昇)になっていました。原材料である原油価格の上昇を製品価格であるガソリン、ガス、ヒーティングオイルの価格に転嫁出来なかったのが原因で、第一四半期の収益が実に98%減少という恐ろしさでした。

で・・・これが今猛烈に買われていたと言う事なのですが、つまり原油価格の下落にBETした動きと考えられるわけです。

具体的にはこういう動きがあります。

1 $12bio規模の米国有数のヘッジファンドCaxtonがValero, Tesoro, Sunocoを含む代表的なRefinery6社への投資を急増させた。

2 $22bio規模のシカゴの巨大ヘッジファンドCitadelがTesoro社株に集中投資、またHolly社株の持ち高を2007年度末時点の8倍に増加。

3 Renaissance($30bio規模のNYのヘッジファンド)は、Valero社とCalumet社への投資を増加。

4 Leutholdという$5bio規模の投資会社が6月から原油価格の下落予想を背景にU.S. Refineryへの投資を開始。

5 U.S. RefineryセクターのInsiderも過去8年で最大規模の自社株買いの動きを見せている。

これはおまけですが・・・

6 セントルイス連銀のEngelhardt総裁が2006年のVelero社の役員就任以降初めて同社株を約50万ドル相当購入した。

このような動きを見ていると非常に興味深いのですが、先ず単純に彼らは何かを知っている可能性が否定出来ないと考えられます。
 一方でここに名前の出ているヘッジファンドも含めて、ファンド勢の多くが為替市場では米ドル売り方向のBETをしていた事も間違いないという事実があります。
 ある意味では、為替ではBreakoutの戦略を取り、原油ではReversalの戦略を取って両者をバランスさせていた可能性もあるのではないかと思います。

我々はOutsiderですが、視野を拡大して思考をRefineしないと、この相場付いていけませんね。

2008年7月21日月曜日

スキットしないSkit?

先週の金融市場は、ややもすればSkit(⇒寸劇)を見せられていたような展開でした。

消化不良が残ると言う意味では、スキットしない寸劇(Skit)と言ったところでしょうか。

Stagflationという景気後退局面での物価上昇、エネルギー・食料価格の上昇、脆弱な金融セクター、不動産市場の下落、世界的な株式市場のベアマーケット入り、米ドル安など山積する問題の全てが同時並行的に悪化していくと言う悲観的な観測が世の中を覆い尽くしたかに見えた週の半ば以降、木曜日と金曜日で相場がちょっとした反転を見せています。

原油価格は、1バレル$150手前で急反落。


1オンス$1,000突破かと思われた金も反落。


米国金融株全体の動きは週後半で大規模なショートカバー。


米ドルのインデックスもこの通り・・・

突然の市場の安定?⇒Stabilization,いや金融セクターが息を吹き返した?⇒Revitalization, 大口プレーヤー或いは当局の市場操作?⇒Manipulation等色々な憶測を呼びながら後半は阿鼻叫喚の金融市場となりました。

月曜日に10658銭で寄り付いたドル円は水曜日に10377銭まで下落した後切り返し、木曜日には10711銭まで絶叫の上げを見た後1円ほど下落しますが、金曜日の北米市場の終値はほぼ107円まで回復しています。

Stagnation?, Inflation?, Stabilization?, Revitalization?, manipulation?……what remains here is a QUESTION.

ちょっとこの辺を掘り下げていきましょう。

2008年7月13日日曜日

Causes,like curses,eventually came home to roost.

昨年の8月以降、米国のサブプライム問題に端を発した金融混乱は、①実体経済への波及、②時間差を伴う欧州への波及、③より多くの時間差を伴うアジア新興経済への波及、という経路を経て今米国に再上陸して来たようです。

ほぼ1年を掛けて地球を一回りしたかのような印象ですが、その運び手となったのは原油価格を筆頭とする商品価格の高騰びよる世界的なインフレーションだったと言えるのではないでしょうか。

米国の混乱は、今年の3月17日のベアスターンズ救済時点でクライマックスを迎え、今年の第二四半期となる4月~6月の3ヶ月は欧州やアジア・新興国の問題や脆弱性も露呈すると言う複雑な展開となり、ひたすら米国危機をテーマに市場が動いた第一四半期とは様相を一変するテクニカルな市場展開が続きました。

しかし第三四半期入りした7月初あたりから米国の米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対する、年初から燻っていた売り圧力が急上昇した格好で11日の金曜日には米連邦準備理事会(FRB)が資金を直接貸し出す支援策急浮上しました。公定歩合による窓口貸し出しと呼ばれる制度の対象の拡大という事になりますが、FRBが「最後の貸し手」として緊急時に必要な資金を供給して資金繰りを助けるとともに、中央銀行の関与を通じて信用を補完するのが狙いです。

窓口貸し出し制度は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機の対応時に銀行から大手証券会社に適用対象を広げており、FRBと傘下の地区連銀との取り決めによって金利や期間、対象などを見直せるという柔軟な体制とした事で、今回のファニーメイとフレディマックへの適用も特別な立法を伴わずに実現できる可能性が高いと考えられます。

週前半から米国債とこれら公社債の利回り格差は22年来最高水準となり、負の連鎖から週を通して状況は悪化の一途を辿りました。

これは世界中の金融セクターのアキレス腱とでも言うべきポイントなのですが、この半公半民的な両公社の発行する公社債を世界中の金融機関が大量に保有している事で、バランスシート悪化懸念から世界中で金融セクター主導で株式下落が起きており、金曜日の北米市場ではダウが一時11千ドルを割り込み、為替市場ではドル安進行でドル円が一時105円台、ユーロドルは1.59台半ばまでユーロ高・ドル安が進行しました。

原油価格、金価格共にそれぞれ$150、$970と言う水準を射程距離に捕らえるレベルまで上昇しており、7月相場のVolatility 上昇は金融市場全体を例外なく襲う竜巻となる可能性が上昇しています。

他人を呪うと結局自分に戻ってくるという戒めを、巣に戻るヒヨコに例えて、

Curses, like chickens, will always come home to roost.

と言いますが、今回の事象は、混乱の原因を作った米国に焦点が舞い戻ってきたと言う事で、

Causes,like chickens, have come home to roost.

とでも表現しておきましょう。

2008年7月7日月曜日

Please be extra careful all my friends.

もう10日位前でしょうか、妻が近所のスーパーでクレジットカードが使えなかったという報告をしてきました。

日本で不便に感じる事の1つがクレジットカードの使用が一般的ではない事で、外食をしても現金のみという事も少なくないし、受付可能でも店員が慣れていなくて奥に人を呼びに言ったり、機械がボロくて結局使えなかったりと言う事も珍しくありません。都内でこれだから地方も含めた日本全体という意味では、まだまだ現金主義が中心なのではないでしょうか。

その近所のスーパーでも何度か機械が不調な時があったので特に気にしていませんでしたが、ふと気が付くと、携帯電話にクレジットカードの会社から留守電が入っている事に気が付きました。

胸騒ぎがしてカスタマーサービスに電話をしてみると・・・・

やはり、最近海外で多額の使用履歴があり、取引の正当性を確認したいとの連絡でした。
 海外には旅行も出張もしていない旨を伝えて明細を聞いてみると、トルコ、フランス、スイスでそれぞれトルコリラ、ユーロ、スイスフラン建てで合計6回、金額にして100万円以上の取引がチャージされており、事態を怪しいと感じたカード会社側の判断で一旦カードを無効にしたという連絡でした。

新たな番号でカードを発行してもらうと共に指定の書類を提出する事で身に覚えの無いチャージの支払は免除してもらえる事になりましたが、本当に恐ろしい世の中になったものです。

そういう思いをした直後に・・・Amazonからセキュリティを強化するのでアカウント情報のアップデートを依頼するE-Mailが入りました。こういうのも気をつけないと詐欺の事も多いのですが、Amazonのロゴマークもどう見ても本物だったので取り合えずリンクをクリックしたところ・・・・何と既に詐欺の報告がなされた偽サイトであるという警告が出ました。

そこでもう一度、メールのロゴマークを確認すると・・・・分りますか?下の写真で左が詐欺で右が本物のAmazonサイトに出ている同社ロゴです。唯一の違いは最後の点が偽物は右下、本物は右上にあると言う事と社名下の矢印の色が並べてみれば少し違うように見える事くらいでしょうか。写真がややピンボケで恐縮です・・・
銀行、カード会社、Amazon、e-Bay、Paypalなどを精巧に模倣して個人情報を提供させる詐欺はPhishing詐欺と呼ばれますが、悪意と技術のレベルはここまで来ていると言う事を認識して特にE-mailなどではどんなにロゴや文面が本物に見えてもメール内に貼られたリンクから個人情報をアップデートすることは絶対に避けるべきだと思います。








I am afraid this could happen to anyone....please be extra careful and take good care of yourselves. We are living in a strange world where we have to protect ourselves at all times.



(←This is a reported phishing website.だって・・・OOPS)

2008年7月6日日曜日

A story of four wives.

4人の妻の話・・・・と言えば、実際に4人まで妻帯が許されているイスラム教の話のようですがこれはある仏教の本で見つけた話です。

ある男に4人の妻がいました。

かねてから計画されていた事ではありますが、ある時に男は遠いところまで長い旅に出かける事になりました。

男は、第1夫人に同行を依頼しますが、直ぐに断られてしまいました。第1夫人は男が最も時間、お金、そして愛情を注いだ夫人でしたがにべも無く断られてしまったのです。

男は、第2夫人に同行を依頼しました。第2夫人は事実上第1夫人と同等なくらい大事にしていた夫人なのですが、彼女もきっぱりと同行を断りました。

男は3番目に目を掛けていた第3夫人に同行を打診しましたが、第3夫人はの返答は、「皆と共に村の外れまでお見送りいたします」と言うものでした。

最後に男は仕方なく第4の夫人のところに頼みに行きました。第4夫人の事は最も粗末に扱い、滅多に気にかける事も無い状態でしたが、彼女は快く長旅への同行を承諾してくれました。

最初に仏教と言うヒントを書いてしまいましたので、既にお気づきの方もいるとお思いますが、この男は実は死出の旅に出掛けるところだったのです。

そして、第1夫人=我々の体(=外見)、第2夫人=財産、第3夫人=親類、第4夫人=我々の心、という説明が続きます。

現世の煩悩というものは、本来あるべき重要度の順番を大きく狂わせているのだと言う事を気付かせてくれる話だと感心させられました。

金融市場を動かすのは、欲望と恐怖と言われますが、考えてみれば煩悩そのものであるとも言えましょう。市場で生き残るためにはその恐怖と欲望をコントロールせよといわれますが、仏教では煩悩を捨てろと教えます。

我々は、悟りを開くまでの道のりは長いのでしょうが、せめて煩悩を制御する事から心掛けたいものですね。

早いもので2008年も後半に入る今、新たな課題を見つけたような気がします。

Eternal Lighthouse も そんな道を照らす灯台でありたいものです。

"No Mas" & "No Bias"

“No Mas” “ No Bias”


先々週にFRBが先行き不透明感を残した後で迎えた先週は金曜日が米国の独立記念日で北米市場が休場となる実働4日間という週でした。

金融市場のほうではECBの金融政策決定会合と米国の6月雇用統計の発表が重なるBig Thursdayに向けて世界中の株式市場が下落傾向を強めると共に債券市場が上昇し、長期金利が低下するという流れとなりましたが、最後は週末連休を控えた北米勢を中心にリスク量を落とすオペレーションが中心となり、前半のドル売りを主導したユーロは対ドルで1.5910から1.57割れまで反落し、1バレル当り$145台まで上昇し、まさに無尽の野を行く感のある原油市場も小休止して週の取引を終えています。

為替市場では、ユーロ、GBP CHFAUD,NZDなどが一旦は上昇しましたが最後は反落。円は多くの新興国通貨と共に前半のドル安地合いでも波に乗れず、月曜日の10499銭を最高値に木曜日には10693銭までほぼ2円もの反落を見せて越週しています。

終わってみれば、揺ぎ無かったのは原油高と株安、それに次ぐのが債券上昇=長期金利低下という流れでしたが、それにしても木曜日にECBが予想通りの0.25%の利上げを発表して政策金利を4.00%から4.25%に引き上げた後に前週のFRBに付き合うかのように今後の事を"No Bias"であると宣言した後の市場の急ブレーキには少々驚かされました。

1980年の5月にスパースターSugar Ray leonardを圧倒してウェルター級王座を奪取したパナマの英雄、Roberto Duran 11月の再戦で、ペースを掴めず(私には互角の展開に見えましたが)、8回途中で突然試合を放棄して世の中を凍り付かせた時の有名な言葉が"No Mas"英語のNo Moreですね)ですが、何だか今回のTrichet総裁の"No Bias"発言もこれに準ずる発言かのような印象ですね。

そこに待ち構えていたかのような猛暑日到来・・・・連日の30越えはきついですね・・・・。

まさか金融市場はこのまま夏枯れの様相を呈していくのでしょうか? トレンドを維持する原油市場と株式市場がその答えを握っていると言う事になりそうです。