先週の市場の動きに関しては幾つかの非常に興味深い現象がありました。原油、金、米ドル、株式等がBreakout寸前の領域から結構な反転を見せた事は既に述べましたが、その背景で幾つか目を引く動きが観測されているのです。
そのうちの1つが1バレル$150突破を多くが確信する中で、所謂インサイダーを含む非常に影響力のある勢力が原油の下落にBETする戦略を取っていた事です。
具体的には、George Sorosが保有している原油のポジションを売却するという直接な動きに加えて、米国のRefineryへの大口投資と言う行動があります。Refineryというのは、製油所、精製所の事ですが具体的な企業名で言えばValero, Tesoro, Sunoco というのを聞いた事がある人は多いのではないでしょうか。
この業界はインサイダー、アウトサイダー問わず今年の年初に最も激しく売り込まれたセクターの1つなのですが、実際に懸念どおり(?)今年の株価は約40%のダウンで、ほぼ原油価格の上昇幅と逆符合の関係(原油価格は43%上昇)になっていました。原材料である原油価格の上昇を製品価格であるガソリン、ガス、ヒーティングオイルの価格に転嫁出来なかったのが原因で、第一四半期の収益が実に98%減少という恐ろしさでした。
で・・・これが今猛烈に買われていたと言う事なのですが、つまり原油価格の下落にBETした動きと考えられるわけです。
具体的にはこういう動きがあります。
1 $12bio規模の米国有数のヘッジファンドCaxtonがValero, Tesoro, Sunocoを含む代表的なRefinery6社への投資を急増させた。
2 $22bio規模のシカゴの巨大ヘッジファンドCitadelがTesoro社株に集中投資、またHolly社株の持ち高を2007年度末時点の8倍に増加。
3 Renaissance($30bio規模のNYのヘッジファンド)は、Valero社とCalumet社への投資を増加。
4 Leutholdという$5bio規模の投資会社が6月から原油価格の下落予想を背景にU.S. Refineryへの投資を開始。
5 U.S. RefineryセクターのInsiderも過去8年で最大規模の自社株買いの動きを見せている。
これはおまけですが・・・
6 セントルイス連銀のEngelhardt総裁が2006年のVelero社の役員就任以降初めて同社株を約50万ドル相当購入した。
このような動きを見ていると非常に興味深いのですが、先ず単純に彼らは何かを知っている可能性が否定出来ないと考えられます。
一方でここに名前の出ているヘッジファンドも含めて、ファンド勢の多くが為替市場では米ドル売り方向のBETをしていた事も間違いないという事実があります。
ある意味では、為替ではBreakoutの戦略を取り、原油ではReversalの戦略を取って両者をバランスさせていた可能性もあるのではないかと思います。
我々はOutsiderですが、視野を拡大して思考をRefineしないと、この相場付いていけませんね。