2008年7月13日日曜日

Causes,like curses,eventually came home to roost.

昨年の8月以降、米国のサブプライム問題に端を発した金融混乱は、①実体経済への波及、②時間差を伴う欧州への波及、③より多くの時間差を伴うアジア新興経済への波及、という経路を経て今米国に再上陸して来たようです。

ほぼ1年を掛けて地球を一回りしたかのような印象ですが、その運び手となったのは原油価格を筆頭とする商品価格の高騰びよる世界的なインフレーションだったと言えるのではないでしょうか。

米国の混乱は、今年の3月17日のベアスターンズ救済時点でクライマックスを迎え、今年の第二四半期となる4月~6月の3ヶ月は欧州やアジア・新興国の問題や脆弱性も露呈すると言う複雑な展開となり、ひたすら米国危機をテーマに市場が動いた第一四半期とは様相を一変するテクニカルな市場展開が続きました。

しかし第三四半期入りした7月初あたりから米国の米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対する、年初から燻っていた売り圧力が急上昇した格好で11日の金曜日には米連邦準備理事会(FRB)が資金を直接貸し出す支援策急浮上しました。公定歩合による窓口貸し出しと呼ばれる制度の対象の拡大という事になりますが、FRBが「最後の貸し手」として緊急時に必要な資金を供給して資金繰りを助けるとともに、中央銀行の関与を通じて信用を補完するのが狙いです。

窓口貸し出し制度は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機の対応時に銀行から大手証券会社に適用対象を広げており、FRBと傘下の地区連銀との取り決めによって金利や期間、対象などを見直せるという柔軟な体制とした事で、今回のファニーメイとフレディマックへの適用も特別な立法を伴わずに実現できる可能性が高いと考えられます。

週前半から米国債とこれら公社債の利回り格差は22年来最高水準となり、負の連鎖から週を通して状況は悪化の一途を辿りました。

これは世界中の金融セクターのアキレス腱とでも言うべきポイントなのですが、この半公半民的な両公社の発行する公社債を世界中の金融機関が大量に保有している事で、バランスシート悪化懸念から世界中で金融セクター主導で株式下落が起きており、金曜日の北米市場ではダウが一時11千ドルを割り込み、為替市場ではドル安進行でドル円が一時105円台、ユーロドルは1.59台半ばまでユーロ高・ドル安が進行しました。

原油価格、金価格共にそれぞれ$150、$970と言う水準を射程距離に捕らえるレベルまで上昇しており、7月相場のVolatility 上昇は金融市場全体を例外なく襲う竜巻となる可能性が上昇しています。

他人を呪うと結局自分に戻ってくるという戒めを、巣に戻るヒヨコに例えて、

Curses, like chickens, will always come home to roost.

と言いますが、今回の事象は、混乱の原因を作った米国に焦点が舞い戻ってきたと言う事で、

Causes,like chickens, have come home to roost.

とでも表現しておきましょう。