2008年11月16日日曜日

Walking on a thin ice...

出張や体調不良などで間が空いてしまいましたが、その間に発表された世界中の経済指標や金融市場の乱高下を見ながら、世界経済は待ったなしの状態まで追い詰められていると言う思いを強くしていました。


新興国市場は再び大きな資本流出の波に洗われており、複数の金融当局が市場介入で自国通貨の下落を必死に食い止めています。アイスランドを筆頭に複数の国がIMFに緊急援助を要請していますが、現在のIMFの資金量には限界があるのは明白である為、投機筋も手を緩めていない感じです。


一方でIMFを支える筈の先進国にも全く余裕は無い状況です。先週も木曜日には欧州の中心であるドイツの第3四半期GDPが予想外の縮小となり少なくとも過去12年で最悪のRecession入りとなり、欧州全体も15年振りのRecessionに突入しました。


 米国もこれまで経済を支えてきた個人消費と不動産市況の急速な減速が一層明らかになっています。過去の景気減速時には全くと言ってよいほど影響を受けていなかった別天地であるNY市の減速も目を引くのですが、特にQueens地区の不動産の下落が加速していると言うデータがあります。NY市は15個のZip Code(郵便番号)を持ちますが、同地区は実にそのうちの12個を占める地区であり、いよいよ本丸のManhattan島の攻防が開始されそうな気配です。雇用の悪化に関しても木曜日の失業保険申請件数では1週間以上継続して就職活動をしている人の数が1983年以来と言う高水準になっています。


このような状況を受けて既に多くの国々が①預金の全額保護、②金融緩和、③金融機関への資本注入、④その他財政出動を打ち出していますが、既にボーダーレス化の進んだ国際経済を立て直す鍵は国際協調が握っていると言っても過言ではなく、その意味で間もなく始まる今週の市場動向は、この週末にワシントンで行われたG20緊急サミットの成果に対する金融市場の審判が注目されます。


1010日にLiborが最高値を付け、Dow8千ドルを割り込んでから暫く市場は調整的な回復過程にありましたが、先週は再び株価が下落傾向を強めて、投資資本の中央回帰圧力により日本円と米ドルが押し上げられるパターンが復活しています。



G20ですが、全体と部分でかなり見え方が違うと言う印象を持っています。


結論からすると20もの参加国の間にある危機認識の温度差を詰めきるのは難しかったかなと言う印象ですが、総論では国際協調姿勢を打ち出しながらも各論部分では今後のIMFや世銀の役割強化、金融市場の監視・規制強化の部分では足並みの乱れが目立ちますし、これを絶好の機会とばかりに米国と米ドルを中心とした世界経済及び金融市場のあり方に揺さ振りをかけようと言う動きも随分目立ちました。


最低ラインというか、一応の及第点は確保したかに見えるG20金融サミットですが、週明けの動きから注目していきましょう。