2009年3月16日月曜日

Weekly Recap(March 9-13)

先週の金融市場は幾つかの潮流に乱暴に洗われたという展開でした。


Risk Appetiteの復活

これについては依然半信半疑の参加者も少なくないのですが、結構なメジャーどころも含めた影響力のある勢力が果敢にこのシナリオで動いているのは明白です。


金融市場に関しては株価の反発、円安、そしてドル安という方向に影響しています。総括すれば、Risk Aversionシナリオで好まれたポジションを反転させているという事です。

株価に関しては有力議員を含む米国議員団がSEC(証券取引委員会)に対して2007年に廃止したUptickルール(空売り規制の一種)の復活とMark-to-Marketルール(時価会計)の抜本的な柔軟化を働きかけていると言う報道もサポート要因となりました。


また、週初にはCiti, 次いでJPMorganChase1月―2月の期間で営業黒字を確保したと言う発表もRisk Appetite復活の触媒となりました。

2 スイス中銀の利下げ+介入


週後半にはスイス中銀が利下げプラス為替介入により為替市場を大混乱に陥れました。0.25%の利下げで政策金利を0.50%から0.25%にまで引き下げて、いよいよゼロ金利政策が視野に入ったところでスイスフラン売りの為替介入に打って出たのです。この自国通貨売りは対ユーロで行われたと思われますが、一部報道では対ドルでも行われたとレポートされています。結果的にユーロスイス、ドルスイスというクロスが上昇しています。


スイス中銀の為替介入と言うのは19958月以来初めてであり、この中銀による為替介入のトラックレコードは極めて高い(介入効果、成功率が非常に高い)事から市場は一気に追随モードとなり、ユーロスイス買い、ユーロドル買い、ユーロ円買い、ドル円も買いという連鎖が生じました。


円に関しては週半ばに反発していた矢先でしたが、このスイス中銀の政策がかつての日本のそれと酷似している事から市場の一部には本家本元の日本も円売り介入をするのではないかという思惑も広がっています。


週末の時点で金融市場は依然として Risk Appetiteの復活モードを支持しているのですが、Risk Aversionで好まれたGoldと米ドルが下落して、原油価格が反発してきていると言うのが象徴的と言えるでしょう。

週末のG20は成果に乏しい内容で、米国が提案して日本が賛成した各国がGDP2%分の財政出動で足並みをそろえて需要を創造するという提案は欧州などの反対で頓挫したようです。


このような中でRisk Appetiteが萎えることなくこの動きが持続性を持つのかどうか。週明けからの相場の注目点はこれに尽きます。


米ドル下落Gold下落、原油が上昇