7月も終盤となっていますが、今の金融市場はちょっとユニークな状況にあるようです。
金融市場の状況を把握する時の基本は価格軸と時間軸による分析で、特に価格が高値や安値を更新している時などは明確なトレンドが強く意識される事になります。
一方の時間軸の方は少々ニッチな着眼軸で、「陽線がXXだけ続いたら・・・」、「過去10年のうち8回はY月は陰線になっている」というようなアノマリー的な確率論や過去の統計データや天体の動き等まで取り込んだサイクル(周期)理論のようなものまで多種多様です。
ユニークな状況にあると書いたのは、足元の金融市場はこの皆が注目する価格軸並にニッチな時間軸の方でも注目されていると言う意味なのです。
例えば・・・
- 過去の主な景気後退時の株価下落は7月17日前後から。
- 過去2年間のクロス円もこの時期にピークアウト。
- 著名なサイクル理論が7月最終週~8月初を重要変化日と予想。
等という注目点がありました。
このような状況下で米国を中心に注目度の高い経済指標や企業決算が相次ぎましたが、これまでのところ大筋で予想通りか予想を上回る良好な内容が殆どで、金融市場では慎重論が徐々に後退し、積極的なリスクテイク再開へのバイアスが着実に強まってきました。
● MSCI World Indexが週次ベースで4.6%上昇の1,027.5でクローズ。このIndexが1,000を 超えたのは昨年11月以来。
- ダウが約4%上昇の$9,093でクローズ。1月以来の$9,000回復。
というような動きがありましたが、この他にも日本株を含む世界中の株式市場全体が複数の重要レジスタンスを上抜けし、商品市場も内容にばらつきが目立ちながらも原油価格などが極めて堅調な動きをしています。
1つのチャートで株価代表として①MSCIインデックス、Bricksなど②新興国市場インデックス、そしてこれらリスク資産が買われる時に対価として売り込まれる③ドルインデックス(相関を正にするべく逆数を使用)をプロットすると非常に綺麗な相似形となります。
投資家目線で市場を見るとセンチメントの綱引きはどうやらRisk-onモードにしっかりと傾いてきたという結論になると思います。
投資活動の再加速によりRisk資産上昇、ドル安、円安というのがメインシナリオになり始めているという事ですね。
実際、この動きを止めるには上記の変化候補日が過ぎ去らないうちに何か予想外の新たな材料が出てくる必要があると思われます。
まだ完全にRisk-onモードがコンファームされていないピースの1つが為替市場なのですが、ここでドルと円がしっかり下落するのかどうかも大きな注目材料になりそうです。