百聞は一見にしかずと言う事になりますが、以下のチャートが示すごとく先週は週央の水曜日に突然円が急騰すると言う動きがありました。
ドル円
AUD円
改めてチャートで確認すると週初から地味な陰線が出ていた事が分りますが、これは従来のレンジ内での動きですので特別なインパクトはありませんでした。水曜日も東京市場では落ち着いたレンジ取引が続き、金融市場は大きなトレンドが出ない夏枯れ相場に突入するのではないかと言う懸念が語られ始めていました。株式市場の不安心理のバロメータであるVIX指数が週初に2008年のリーマンショック以前の水準の水準にまで下落して金融混乱は完全に正常化したと考えられていました。
Things happen when least expected. と言いますが、まさに今回の円高は最も期待されないタイミングで、誰も予測しない形で起こりました。
ドル円は95円を割り込んでも93円~94円ゾーンのサポートが頑強であり、少しテクニカルな話になりますが同水準に設定されていたオプション取引のトリガー要因から来る過剰なガンマ供給に守られており、ドル円の下落リスクは非常に小さいと考えられていました。
(オプションのガンマというのは簡単に言えばバリケードのようなものです。)
水曜日のロンドンFixingと言われる決済フローが出る時間の少し前当りからこのバリケード地帯が陥落したことでこれを頼りに円売りを仕込んできた勢力の撤退フロー(ロスカット)等も巻き込んでドル円は91円80銭まで急落し、翌木曜日の小休止を挟んで金曜日の北米時間には91円77銭mで安値を更新した後、92円40銭近辺まで戻して越週しました。
6月までは金融市場の台風の目は米国の長期金利上昇で、他の市場の多くは長期金利動向によって右往左往している状態でした。
7月に入り、どうやら台風の目は為替市場に移動して眠れる通貨であった日本円を乱暴に揺り起こしてしまったかのようです。
Financial Genieは、長期金利には飽きたようですが、元の壷の中には戻らずに為替市場で暴れ始めたのではないでしょうか。そしてGenieの目に留まったのは明らかに日本円という事になりそうです。
突然の円の動き・・・・Genieの仕業だとするならば、文字通り円くは収まらないのかもしれませんね。