2010年2月21日日曜日

Cllision of currents.

先週の金融市場も色々な動きがありましたね。

どこの市場も結構なドタバタ劇を演じているのですが、総合的に分析すれば現時点では主に二つの潮流が主導権争いをしているように見えますが如何でしょうか。

1 欧州の混乱継続

ギリシャの財政問題は深刻さを増していますが、EU(欧州連合)として何らかの形で救済の手を差し伸べる事は確実視されています。先週初めに行われた欧州首脳会議に注目が集まりましたが、ここでは具体的な救済方法は示されずギリシャに3月中旬までの期限を与えて自助努力の策定と過去に行った不透明な金融取引の詳細の説明をするという宿題を突きつけて時効の中断を図りました。

ここで言う過去の金融取引というのはギリシャ政府が財政の赤字を粉飾するために行っていたとされるデリバティブ取引のことで、これまでに Bond Swapですとか単純に為替取引というような記述がなされていました。ギリシャ政府は少なくとも成約時には合法であったと主張すると共に他国だってやっているはずだと言う爆弾発言を行っており、これのせいでイタリアなどに疑惑が飛び火してしまいました。今回の欧州危機は依然出口が見えてきません。

2 FEDの公定歩合引き上げ

木曜日の北米市場のクローズ前に突然FEDが公定歩合を0.5%から0.75%に引き上げました。実に20066月以来の公定歩合引き上げはその意外な実施タイミングと併せて金融市場を大きく揺さぶりました。FEDは金融引き締めを意味するものではなく正常化の一環であることを強調しており、事実Discount Windowと呼ばれる制度を通してFRBから融資を受けている金融機関は数も金額も極めて小規模であるために経済的な影響は非常に限られると言う指摘も多いのですが、やはりそのメッセージ性、シグナル性から来る影響は大きく市場は今年の11月までに50bpの利上げを完全に織り込んだ水準にまで市場金利を押し上げてしまいました。またドル金利のイールドカーブは短期金利が反発する格好でフラット化しています。

3 ソブリンというテーマ

2010年の大きなテーマの一つがソブリンリスクであるというのは決して新しい話ではないのですが米国、欧州、日本の国としての債務履行能力が規模的な限界に近づいていると言う危機感から足元のドル上昇トレンドの合間を縫うかのように財政黒字国の通貨が買われる動きが目立ち始めました。投資に詳しい人ならグローバルソブリン債を知っていると思います。金融危機を受けて民間の債務を敬遠して国の保証が付いている債券を集めて商品化したもので相当な売れ筋商品でしたがここへ来てかなり資金が流出しています。ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランド・・・そうそうたる国々の債務返済能力に疑問符が付されたことや財政実態を不透明化するデリバティブ取引の存在が表面化したことなどから無理もないとも言えますが事態の動向によっては今後とんでもない問題に発展する可能性もありそうです。

1のテーマに関しては混乱から安定へ

2のテーマに関しては金融緩和政策の出口政策実施の遅延国から着手国へ

3のテーマに関しては赤字国から黒字国へ

そんな潮流が市場トレンドとしての主導権争いをしていると言うのが現状の鳥瞰図ではないでしょうか。

今週は旧正月明けの中国市場が1週間振りに取引再開となりますが、こちらも預金準備率引き上げ後の初取引となりますのでその動向は大きな影響力を持つでしょう。