ギリシャ問題に揺れる欧州の動向や旧正月休暇明けの中国市場の動向に注目が集まった先週の金融市場はかなりの乱高下相場となりました。
GOLDのWeekly Chartから覗いてみましょう。前週、前々週と上昇してきたGOLDですが、先週は長い下髭を残しながらも陰線で引けているのが目に付きます。
GOLDのポイントは究極の資産であると言うことでしょう。俗世の先行きに関する不透明感が上昇するとRISK-OFFと表現される潮流の強まりからあらゆるリスク資産から安全資産への資金還流が起こります。概念的には以下のイメージです。
RISK-ON : 安全資産 ⇒ リスク資産 への資金移動
RISK-OFF : リスク資産 ⇒ 安全資産 への資金移動
では、何が安全資産で何がリスク資産なのでしょうか? 実はここが大きなポイントなのです。一般にはこういう分類になると考えてよいでしょう。
リスク資産 : 株式、不動産、大部分のコモディティ、社債、派生商品(デリ
バティブ)、新興国市場 etc
安全資産 : 現金、先進国の国債、ごく一部のコモディティ
GOLDの場合は実はこの両者の間を行ったり来たりしているイメージなのです。他の貴金属同様にリスク資産に分類されるケースもあれば、最近では将来の世界的ハイパーインフレーションへの懸念などを背景とした通貨不安から現金以上の究極の安全資産とみなされる風潮も強まってきています。
つまりGOLDに関してはRISK-ONでもRISK-OFFでも買われる理由があると言う状況にあり、事実昨今の欧州の混乱を受けて通貨としてのEUROから引き上げた資金でGOLDを買うと言う動きが活発化したことからGOLDは欧州混乱の受益者となってきました。しかし前述の通り先週のGOLDは陰線で終了しています。
では、EUROは買い戻されてきたのでしょうか?これが実は結構微妙です。
EURUSDのWeekly Chartでは週内の乱高下を消化して先週は開始値と最終値が殆ど同じと言う往来相場となっています。
いったい世の中、金融市場は落ち着きを取り戻し始めているのでしょうか?
答えを持っている可能性があるのは日本円かもしれません。
USDJPY Weekly Chart
EURJPY Weekly Chart
ご覧の通り、株式市場、商品市場、欧州通貨と米ドルの関係が少し落ち着き始めているかのように見える中で、次の混乱の足音に警鐘を鳴らすかのような不気味な陰線が出まくっているのがドル円、クロス円のチャートなのです。
駄目押しにGBPJPYも出しておきましょう。(Weekly)凄い円高ですね。
実はここへ来てギリシャなどのソブリンリスクが上昇する中で海外勢を中心に日本のソブリンリスク上昇懸念から現行の円の水準が高すぎると言う指摘と共に今後大きく円安方向への大転換が起こると言うシナリオが増加しています。今回の円高はそれを嘲笑うかのような現象であり、まだまだ多くの市場参加者は何か重要なものを見失っている、或いは見誤っているという事を示唆している可能性があります。
明日からの3月相場では円の動向からも目が離せませんね。
日本円はJPYやYENと表記されますが、YENは普通の可算名詞として使用される時には”憧れ、渇望、欲求、需要”と言うような意味になります。今の円高には多くの市場参加者が解明し切れていない円需要が隠れている可能性があります。
まさに A yen for YEN is getting momentum. と言うことです。円だけに360度の注意を払いたいですね。