2011年3月27日日曜日

This may tip demand/supply balance of currencies.

今回の大地震と津波の被害は甚大ですが、本邦輸出企業においては多少の明暗はあっても総じて甚大な影響を受けていると言い切ってよさそうです。

先ずは生産拠点の海外にシフトを進めてきた企業と国内中心だった企業の間には一定の明暗が分かれています。また国内中心の企業においては西日本中心か東日本中心かで更に明暗が分かれています。
 ただし、自社の生産拠点の多くは西日本だと言う所でも結局は部品の調達などで影響を受けてしまうと言うところが殆どであり一時的にではありますが生産力そのものが大きく落ち込む結果となるでしょう。

一方で輸入企業ですが、被災地の復興需要等もあり様々な資材、食料、エネルギーの輸入は大幅に増加する事が確実です。

これらの事象が齎す結果は明らかで、輸出の大幅な減少と輸入の大幅な増加ということになります。

その結果として、4月から6月位にかけては日本は一時的に貿易赤字になってくるのではないかと見ており、為替市場の需給バランスも大きく変わってくる事になるでしょう。先々週につけた76円台がドル円の大底になるとしたら今後は需給バランスの変化と本邦貿易収支の一時的な赤字転落トリガーに相場は円安方向にトレンドを転換させていく事になるのではないでしょうか。

中長期的な相場観と言う事になりますが、夏場にかけては円安トレンドが発生する展開を想定しておく必要があるかもしれません。

Focusing on USDJPY this week.

今週は木曜日が3月31日の本邦会計年度末であり非常に重要な日になります。ついでに言えば海外勢にとっても2011年の第一四半期の締めの日となりますのでグローバルに重要な日と言っても良いでしょう。

この3月31日(木)のドル円ですが、以下の意味でとても重要です。

1 各企業がこの日の為替レートで決算を行う事。
2 歴史上最も円高の水準での決算がほぼ確実である事。
3 しかも新会計制度で広範囲での徹底した時価評価が義務付けられている事。

2についてですが、3月18日(金)に断行された協調介入を継続して90円台にまで円安ドル高にしたとしても史上最高値(円高)での決算となるのです。

3についてはIFRS等大企業を中心に適用される会計制度の厳格化により従来は簿価評価をしていたようなものも徹底した時価評価が求められるようになるので従来簿価評価をしてきたような資産を80円台の円高で再評価するとかなりの損失が実現してしまうと言うケースも多い事が懸念されます。その意味でも期末の為替レートの重要性は当局も承知しているので今週の介入再開の可能性には一定の注意が必要だと思われます。

実は2011年については年初から先々週まで81円ー84円と言ったゾーンでの長期レンジ相場が続いた訳ですが、年初の水準としては過去最も円高の水準で始まった年と言う事になります。

先週はかなり落ち着いた取引となっていた印象ですが、期末週に波乱があるのかどうかに注目していきましょう。

Top FX Movers Last Week.

先週も材料的には豊富な週でしたが、結果的にはVolatilityの低下と投資家のリスクテイク意欲の回復が目立つ展開となりました。

週次の主要通貨ペアの変動に面白い結果が出ています。上位10ペアを見てみましょう。

      通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)


①NZDCHF↑ 0.6927   0.6582    +345     +4.98%


②AUDCHF↑ 0.9434   0.8971    +463     +4.91%


③GBPNZD↓ 2.1274   2.2195     -921      -4.33%


④GBPAUD↓ 1.5630   1.6290     -660     -4.22%


⑤NZDJPY↑   61.25     58.86      +239    +3.90%


⑥AUDJPY↑   83.43     80.22      +321    +3.85%


⑦EURNZD↓ 1.8683   1.9393     -710     -3.80%


⑧EURAUD↓ 1.3725   1.4233     -508     -3.70%


⑨NZDUSD↑ 0.7531   0.7306     +225    +2.99%


⑩AUDUSD↑ 1.0257   0.9959     +298    +2.91%

これ位ある意味で偏った結果となる事はあまりないと思うのですが、上位10ペアの構成はこういう結果になっています。①全てが南半球通貨の上昇、②NZDとAUDがその他主要通貨に対してタンデムに上昇、③下落通貨はCHF,GBP,JPY,EUR,USDの順に弱い。

結果は単純なのですが解釈は二つあると思います。

・リスクテイク意欲の回復
 これがメインシナリオと考えてよいでしょう。先々週は日本株を中心に広範な資産価格の大幅下落が見られましたので状況が改善しないまでも膠着してきた先週はバーゲンハンティング的な資産買戻しが中心となりました。先週の終値時点で各資産価格の日本の地震・津波・原発パニック直後の底値からの回復具合をチェックするとS&P500は+5.1%、CRBインデックス(商品市場)は+6.7%となっており他の資産価格も同様に反発しています。Gold価格は1オンス当たり$1,448.60の史上最高値を更新し原油価格も1バレル当たり$106.95の直近高値に肉薄する展開でした。

・実は地政学リスク要因も
 安全資産とか市場混乱時の避難先的な性格を持つCHFやJPYは後退しており、USDも弱いのですからRisk-onという事で良いのでしょうが、何故南半球のAUD、NZDなのかという事になるともう一つの側面を考えたくなります。
 中東・北アフリカの情勢は遂にNATO連合軍の軍事介入という事態になり、日本の原発問題も予断を許しません。欧州でも遂にポルトガルが格下げされたり英国も利上げ観測がやや後退しました。こうなるとこれらどの地域からも結構距離のある豪州・NZの安定感は魅力ですし、高金利通貨であるという点も再評価されて良いのではないでしょうか。

全体的にはRisk-onですが、現在進行形のリスクには神経質になっており週越えの資金の置き場所として地政学リスク上メリットのある南半球が選択されたと言う要素もあるのではないかと考えています。

今週はこの二つのファクターを意識して見て行く事にしましょう。

2011年3月21日月曜日

Other sides of the cordination.

今回の介入の背景について非常に蓋然性の高い話を二つほど紹介しておきます。

1 日本の当事者能力への疑問と不安

今回の東日本大地震の発生や巨大津波の被害に関しては、地震先進国である日本ですら予知出来なかったという事実に世界中が驚愕していますが、だからこそ日本をサポートしようと言う有難い機運が世界中に共有されていたと思います。
 ある意味で、それとは一線を画する評価になっているのが毀損した原子力発電所への対処を巡る日本政府の当事者能力・対応能力です。海外メディアの報道姿勢にも如実に現れていますが、情報は東電からしか出てこない状況であり、日本政府もそこからしか情報を得ていない事。換言すれば当事者である東電が情報を操作出来る環境にあることが海外勢の恐怖を増大させているのです。

これは日本に到着した各国のレスキュー部隊の中で日本政府の情報開示が不十分であると言う理由で(そもそも特に初期段階では把握しているかどうかも疑問視されていたでしょう)現地に行かずに帰国しているところも出ている事でも明らかですし、日本政府が原発から半径20km以内の住民を退去避難対象とし、20km以上30kmの圏内の住民には屋内避難を誘導している中で各国が日本に滞在中の自国民に半径80km以上離れていることや、関西方面への一時避難、場合によっては国外退去を勧告している事でも明らかです。

今回のG7の緊急電話会議に”ええかっこしい”のフランス・サルコジ大統領の呼びかけに各国が応じ、形の上では日本に要請させながらも実質的には周囲が日本を抱込む形で行われた協調為替介入も”放っておいたら日本政府は何も出来ない”という危機感があった可能性が指摘されています。

2 本当に助けたいのは実は日本ではなくて自国企業

国際業務を行う企業には外貨の資金繰りという作業が付きまといます。何か問題が起こると日本企業は外貨の調達に苦しみますが、それと同じ事が外国企業の円の資金繰りで起きています。
 私の周りでも公私共に多くの外国企業や外国の人々が東京から、場合によっては日本から避難しています。拙宅は道路を挟んで向かい側の3軒が欧州企業の駐在員ですが、今はもぬけの殻です。誰もいません。実は業務面でも、自分達は東京から避難するので、東京に残るのならその間の円の資金繰りを代行してくれないかと言う依頼が来たりしもています。

日本や東京から避難する人々を腰抜けと言うのは間違っています。事実危険なのだし、情報開示も不十分でしょう。ポイントは実は中東・北アフリカ情勢も緊迫しており、日本も今のような状況にある中で日系企業は外貨調達に走り、外国企業は円の調達に苦労しているのです。その調達しなければならない円の値段がどんどん高くなってしまっていると言うのが今の状況であり、実は円高で困るのは日本の輸出企業だけでは無いと言うことです。

日本でも事業展開をしている自国の企業にとって調達コストが上昇し、物理的にも(日本や東京を離れて)一層調達活動が困難になる円の価値を下げておきたいというインセンティブが外国政府にあっても何ら不思議ではありません。
 勿論日本を助けると言うのが一義的な事由であった事は疑いませんが、同時に自国企業をサポートする意味もあったという解釈には一面の真理があると思います。

世の中複雑ですね。

More on G7 Intervention.

金曜日の朝は、木曜日に円が急騰していた事やG7各国が緊急の電話会議を行うと言う事でかなりの緊張感がありましたが、多くの市場関係者にとっては協調介入を確信する状況ではなかったと思います。

兎に角日本の立ち位置が非常に難しいものでした。万が一にも原発事故を回避出来なかった場合には怒涛の日本売りとなり、株、債券、通貨のトリプル安となる事は明らかですので原発事故のリスクを回避するメドが立ったところで介入を行うと言うのがベストシナリオだったと思います。従って、これは本邦当局も認めていますが、このG7緊急電話会議は日本が招請したものではありませんでした。フランスのサルコジ大統領が音頭を取った格好なのですが、日本として拒否する選択肢もありませんでしたので後はその場の流れで決まったと言っても過言ではないような過程だったのではないかと思っています。

ところで実際の介入ですが、野田財相から「G7各国が円高阻止の協調介入で合意して午前9時から実施する」という発表が8時台になされるという極めて珍しい事実上の予告介入となりました。

金曜日だけの主要通貨ペアの動きを見てみましょう。

      通貨ペア  終値   前日終値 変動(pips) 変動(%)
①NZDJPY↑58.86 56.60      +226      +3.84%


②AUDJPY↑80.22 77.30      +292      +3.64%

③EURJPY↑114.24 110.59   +365      +3.20%

④GBPJPY↑130.75 127.25   +350      +2.68%

⑤CADJPY↑81.83  80.05     +178      +2.18%

⑥USDJPY↑80.56  78.88     +168      +2.09%

⑦NZDCHF↑0.6582 0.6447 +135     +2.05%

⑧AUDCHF↑0.8971 0.8807 +164     +1.83%

⑨CHFJPY↑89.39   87.78    +161     +1.80%

⑩NZDUSD↑0.7306 0.7176 +130     +1.78%

当然ですが、1位~6位までを含む合計7通貨ペアが円安方向の動きでランクインしています。上昇したサイドの通貨は多様な状況で NZD3回,AUD2回,EUR,GBP,CAD,USD,CHFが一度ずつでした。

USDJPYの上昇がやっと6位という状況なのでも判るとおり、今回のG7各国による過度の円高是正の円売り介入はUSDJPYの買い上げ介入だけではありませんでした。
 日本時間に東京市場で行われた介入は当然USDJPYの買いだったのですが、市場の関心は他国の中銀の介入がUSDJPYの買いなのか、各国通貨に対する円売りで来るのかという点にシフトしていきましたが、どうやらECBはEURJPYの買い、BOEはGBPJPYの買いという具合に介入が執行された模様です。これも極めて稀有な事と言えるでしょう。
 欧州時間に介入に参加したことを認めているのは、ECB,BOE,ドイツ中銀(ブンデスバンク)、イタリア中銀、フランス中銀です。北米市場では米、加の参加があったようです。

兎に角珍しい事ずくめの協調介入でした。昨年の9月15日の介入が本邦のMOF/BOJによる単独かつ単発(単日)で終わってしまった事との比較において今回はどの程度の規模で持続出来るのかに注目が集まります。

Top FX Movers Last Week.

東日本を大地震と大津波が襲ったのが3月11日(金)でした。今でも奇跡的な生存者が発見・救出されている事に勇気付けられる思いですが、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともにご遺族の方々や避難所で不便な生活を送られている方々に心からお見舞い申し上げます。

先週は、地震や津波の被害規模以上に原子力発電所のダメージや放射性物質の拡散度合い、そして日本の問題対処能力への疑問・評価を材料に相場が乱高下する展開でした。
 金曜日には、G7当局による協調為替介入で急騰した円を売る動きもあり、今週以降の相場展開も極めて先の読みにくい状況となっています。実はリビア情勢も欧米中心の連合軍が軍事介入する展開となっていますので原発関係が落ち着くと、これもより大きな材料になってきそうです。

先ずは先週の週を通した動きを主要通貨ペアの動きで確認してみましょう。

  通貨ペア      先週終値 前週終値 変動(pips) 変動(%)
①AUDCHF↓ 0.8971    0.9421    -450       -5.02%



②NZDCHF ↓0.6582    0.6900    -318       -4.83%


③CADCHF ↓0.9150    0.9547    -397       -4.34%


④EURAUD↑1.4233     1.3709   +524      +3.68%


⑤EURNZD↑1.9393     1.8711   +682      +3.52%


⑥AUDJPY↓ 80.22       82.93     -271       -3.38%


⑦USDCHF↓0.9008    0.9295    -287       -3.19%


⑧NZDJPY↓ 58.86      60.72      -186      -3.16%


⑨EURCAD↑1.3955   1.3524    +431    +3.09%


⑩CADJPY↓ 81.83     84.07      -224      -2.74%

この組合せの上昇サイドでの登場回数はCHF4回,EUR3回,JPY3回となっています。逆に下落サイドに登場した回数は AUD3回,NZD3回,CAD3回,USDが1回でした。

ポイントは2点あると思います。

・日本の原発とリビア情勢の緊迫を材料にCHFが上伸している。
・日本の復興需要による資金の本国還流(及びそれを期待した動き)により円が上昇している。

更に円に関しては、本邦個人投資家を中心とした証拠金勢のポジションが大きく円売り・外貨買いに傾いていた事や日経平均の大幅下落によるリスク回避圧力の急上昇等の要因も指摘出来ると思います。

円の高値更新は3月17日(木)でしたが、ドル円が76円25銭、ユーロ円が106円50銭まで一気に急落しています。これが翌日となる3月18日(金)のG7協調円売り介入の引き金を引いたと言う事になりますが、昨年9月15日の日銀単独介入の時よりはかなりの効果があると思われます。

大局的には、遂に世界中のSocial Trendが旧秩序の破壊の過程に入っていると思いますので金融市場も大きなうねりの中にいることは間違いないでしょう。

家族や資産をしっかり守る時が来ました。