2011年3月21日月曜日

Other sides of the cordination.

今回の介入の背景について非常に蓋然性の高い話を二つほど紹介しておきます。

1 日本の当事者能力への疑問と不安

今回の東日本大地震の発生や巨大津波の被害に関しては、地震先進国である日本ですら予知出来なかったという事実に世界中が驚愕していますが、だからこそ日本をサポートしようと言う有難い機運が世界中に共有されていたと思います。
 ある意味で、それとは一線を画する評価になっているのが毀損した原子力発電所への対処を巡る日本政府の当事者能力・対応能力です。海外メディアの報道姿勢にも如実に現れていますが、情報は東電からしか出てこない状況であり、日本政府もそこからしか情報を得ていない事。換言すれば当事者である東電が情報を操作出来る環境にあることが海外勢の恐怖を増大させているのです。

これは日本に到着した各国のレスキュー部隊の中で日本政府の情報開示が不十分であると言う理由で(そもそも特に初期段階では把握しているかどうかも疑問視されていたでしょう)現地に行かずに帰国しているところも出ている事でも明らかですし、日本政府が原発から半径20km以内の住民を退去避難対象とし、20km以上30kmの圏内の住民には屋内避難を誘導している中で各国が日本に滞在中の自国民に半径80km以上離れていることや、関西方面への一時避難、場合によっては国外退去を勧告している事でも明らかです。

今回のG7の緊急電話会議に”ええかっこしい”のフランス・サルコジ大統領の呼びかけに各国が応じ、形の上では日本に要請させながらも実質的には周囲が日本を抱込む形で行われた協調為替介入も”放っておいたら日本政府は何も出来ない”という危機感があった可能性が指摘されています。

2 本当に助けたいのは実は日本ではなくて自国企業

国際業務を行う企業には外貨の資金繰りという作業が付きまといます。何か問題が起こると日本企業は外貨の調達に苦しみますが、それと同じ事が外国企業の円の資金繰りで起きています。
 私の周りでも公私共に多くの外国企業や外国の人々が東京から、場合によっては日本から避難しています。拙宅は道路を挟んで向かい側の3軒が欧州企業の駐在員ですが、今はもぬけの殻です。誰もいません。実は業務面でも、自分達は東京から避難するので、東京に残るのならその間の円の資金繰りを代行してくれないかと言う依頼が来たりしもています。

日本や東京から避難する人々を腰抜けと言うのは間違っています。事実危険なのだし、情報開示も不十分でしょう。ポイントは実は中東・北アフリカ情勢も緊迫しており、日本も今のような状況にある中で日系企業は外貨調達に走り、外国企業は円の調達に苦労しているのです。その調達しなければならない円の値段がどんどん高くなってしまっていると言うのが今の状況であり、実は円高で困るのは日本の輸出企業だけでは無いと言うことです。

日本でも事業展開をしている自国の企業にとって調達コストが上昇し、物理的にも(日本や東京を離れて)一層調達活動が困難になる円の価値を下げておきたいというインセンティブが外国政府にあっても何ら不思議ではありません。
 勿論日本を助けると言うのが一義的な事由であった事は疑いませんが、同時に自国企業をサポートする意味もあったという解釈には一面の真理があると思います。

世の中複雑ですね。