金曜日の朝は、木曜日に円が急騰していた事やG7各国が緊急の電話会議を行うと言う事でかなりの緊張感がありましたが、多くの市場関係者にとっては協調介入を確信する状況ではなかったと思います。
兎に角日本の立ち位置が非常に難しいものでした。万が一にも原発事故を回避出来なかった場合には怒涛の日本売りとなり、株、債券、通貨のトリプル安となる事は明らかですので原発事故のリスクを回避するメドが立ったところで介入を行うと言うのがベストシナリオだったと思います。従って、これは本邦当局も認めていますが、このG7緊急電話会議は日本が招請したものではありませんでした。フランスのサルコジ大統領が音頭を取った格好なのですが、日本として拒否する選択肢もありませんでしたので後はその場の流れで決まったと言っても過言ではないような過程だったのではないかと思っています。
ところで実際の介入ですが、野田財相から「G7各国が円高阻止の協調介入で合意して午前9時から実施する」という発表が8時台になされるという極めて珍しい事実上の予告介入となりました。
金曜日だけの主要通貨ペアの動きを見てみましょう。
通貨ペア 終値 前日終値 変動(pips) 変動(%)
①NZDJPY↑58.86 56.60 +226 +3.84%
②AUDJPY↑80.22 77.30 +292 +3.64%
③EURJPY↑114.24 110.59 +365 +3.20%
④GBPJPY↑130.75 127.25 +350 +2.68%
⑤CADJPY↑81.83 80.05 +178 +2.18%
⑥USDJPY↑80.56 78.88 +168 +2.09%
⑦NZDCHF↑0.6582 0.6447 +135 +2.05%
⑧AUDCHF↑0.8971 0.8807 +164 +1.83%
⑨CHFJPY↑89.39 87.78 +161 +1.80%
⑩NZDUSD↑0.7306 0.7176 +130 +1.78%
当然ですが、1位~6位までを含む合計7通貨ペアが円安方向の動きでランクインしています。上昇したサイドの通貨は多様な状況で NZD3回,AUD2回,EUR,GBP,CAD,USD,CHFが一度ずつでした。
USDJPYの上昇がやっと6位という状況なのでも判るとおり、今回のG7各国による過度の円高是正の円売り介入はUSDJPYの買い上げ介入だけではありませんでした。
日本時間に東京市場で行われた介入は当然USDJPYの買いだったのですが、市場の関心は他国の中銀の介入がUSDJPYの買いなのか、各国通貨に対する円売りで来るのかという点にシフトしていきましたが、どうやらECBはEURJPYの買い、BOEはGBPJPYの買いという具合に介入が執行された模様です。これも極めて稀有な事と言えるでしょう。
欧州時間に介入に参加したことを認めているのは、ECB,BOE,ドイツ中銀(ブンデスバンク)、イタリア中銀、フランス中銀です。北米市場では米、加の参加があったようです。
兎に角珍しい事ずくめの協調介入でした。昨年の9月15日の介入が本邦のMOF/BOJによる単独かつ単発(単日)で終わってしまった事との比較において今回はどの程度の規模で持続出来るのかに注目が集まります。